第21話 スターフォックス64(STG)

「フォックス、後ろに付かれた!」

「後ろを頼んだ!」

「あわわわー! やられるよー!」


 敵の機体に後ろから攻撃を受けて被弾していく戦闘機に乗った三匹の仲間たち。

 雇われパイロットのリーダー、キツネのフォックスも仲間を助けるのに必死だ。


 ──このソフトはスーファミでの開発を中断し、新たにNintendo64で製作したスターフォックスの続編にあたり、400万本という異例の売り上げを誇り、シューティングゲーム(以下略STG)としてもっとも売れた作品であり、ギネスにも認定されて大ヒットしたソフトでもある。


 Nintendo64が後期に開発した電池式の振動パックが同梱されたソフトとなっており、その振動パックをコントローラーに装着してプレイすると敵の攻撃や振動を受けたりする際に指が痺れるくらいに激しく振動する。

 当時のテレビCMで某有名女優さんが『痺れるー!』と言いながら、このゲームをプレイしていたシーンはあまりにも有名である。 

 振動パックに入れた電池がすぐに切れてしてしまうのは難点だったが……。


 ──ゲームは惑星コーネリアから敵の本拠地、ラスボスのアンドルフが支配した星へと進む正統派な内容な3D STGゲームであり、自機アーウィンを操作し、客観視点の自動スクロールとして、敵によって崩壊させられた街中の大空を舞っていく所からスタートする。


 操縦機はショットレーザーとロックオンしてチャージして放つホーミングの弾丸が撃て、放つことにより任意で爆破でき、周りに大ダメージを与えるストックの上限のあるボムも使える。

 リング状のパワーアップアイテムで自機の耐久力回復や三段階にレーザーが強化されるという仕組みだった。


 ──また、機体が敵の攻撃や障害物に当たると飛んでいる片翼が壊れて、攻撃力が半減し、両方の翼が破壊されると移動中、常に上へと操作しないと徐々に高度が落ちていくというリアルある操縦設定となっている。

 敵の攻撃は機体を高速で回転して弾くローリングで防げ、ブーストで加速でき、宙返りやブレーキなどでスクロール画面を一時的に遅れさせることもできた。


 余談だが、カメラワークをパイロット視点としてローリングをするとグルグルと機体が回転して意味が分からなくなる。

 操縦者さん、こんな状況で敵の弾を弾いてるんですか?

 ブラックアウト所じゃないですよ、人間じゃないですね!? 感がひしひしと伝わる。

 登場キャラは人間じゃないけどね。


 ──時には戦闘機以外にランドマスターという戦車も操縦し、一時的にエアの力で上空に浮上できるホバリングや、アーウィンのように回転中は弾は撃てないが、カニの横歩きのように横へと回転できるローリングができる。


 さらにステージ一度きりだが、潜水艦ブルーマリンの操縦もするのだ。

 フォックスさん、どんだけ器用に操縦こなすの、スゲーな。


 ──このゲームは任天堂では珍しいフルボイスを採用しており、とにかくキャラが喋るし、登場キャラも個性があり魅力的だ。

 容量の都合上、使い回しの台詞があったり、音声が曇ったりもするが、無線という立場を利用した上手い演出となっており、プレイ中はそんな違和感は全くない。

 見事にあっぱれな巧みな作りである。


 ──フォックスの三人の仲間もユニークで中々味のあるキャラクターたちだ。


 カエルのスリッピーはボス戦でボスの残り耐久力を表示したり、ウサギのペッピーは機体の操作やボスの倒し方を教えてくれ、鳥であるプロの腕前のファルコは積極的に敵を撃墜し、彼を追いかけると別ルートでの惑星への移動を教えてくれる。


 ──時にフォックスのライバルであるスターウルフを名乗る4匹が乗る戦闘機も登場し、広々とした360度に飛行できる箱庭ステージとなる所で、彼らとの一騎討ちでのバトルも強制的に発生する。

 ライバルはフォックスの仲間たちを一人ずつ張りつかせ、しつこく追いかけ回して攻撃を浴びせてくるのだ。

 フォックスはリーダーのウルフの攻撃を避けて攻撃しながら、仲間も守り抜かないといけない。


 そうまでして、なぜそこまで仲間を助けるのかと言うと、各ステージにてフォックスの仲間を無事に帰還させると、それに応じて、ボーナスポイントや勲章が貰えるからだ。


 とあるウルフのメンバーがフォックスにより、撃墜され、墜落時に叫ぶ、『アンドルフおじさーんー!』の台詞はゲームの名言となり、後世にまで伝えられた……おじさんの甥っ子だもんね。


 それから誤って仲間に攻撃を当てると、その仲間がダメージを受け、『ちっ、敵と味方の区別もつかないのかー!』などと強烈な文句を食らうはめになる。

 注意一秒、怪我一生とはこのことだ……。


 ──このゲームはSTGとしてのクオリティーも高いが、指揮官による作戦の指示の従い方次第で、ボスやステージの難易度が変化したりと、やりこみ要素もふんだんにあり、敵の撃墜数や仲間の手助けにより、様々なステージが遊べて、何度でも遊べる作りとなっていた。


 条件をクリアすると遊べるエクストラモードでも、増加された敵から鬼のように弾丸が降ってきたりと、歯応えのあるプレイが楽しめ、油断すると雑魚キャラ相手でも瞬時に仲間が撃墜される展開となっている。

 自機の耐久率も一撃で翼が破壊などと、かなり低めに設定されており、スターウルフとの戦闘では更なる苦戦を強いられ、真っ先に仲間を助けないとフォックスの仲間なんて瞬時に墜落であった。


 そんな激難しいエクストラモードで勲章を全部取ると、素晴らしいご褒美が待っている。


 ──ノーマルモードの他に遊べるバトルモードでは、好きな箱庭のステージで対戦ができ、アーウィンの他にランドマスターや生身で攻撃するスタイルもあったりするが、選んで対戦できても、宙を舞うアーウィンが強すぎるので、アーウィン相手にランドマスターや生身の兵士ではほぼ勝ち目はない。

 あくまでもおまけと言った所だろう。


 ──名曲とも言えるクラシカルなオーケストラのBGMを耳にしながら、通しの総プレイは約一時間。

 敵の攻撃を避けるのではなく、ローリングでひたすら弾き、敵を一機も残さず破壊し、仲間のピンチも秒速で防ぐ……こんな複雑なエクストラモードさえも楽々とクリアしていた当時の自分が凄いなと思う。


 ──その後、任天堂の次世代機ゲームキューブにてスターフォックスの続編も遊んでみたのだが、こちらは一向に面白味が少ないゲームだった。 

 生身の体で武器を構えてダンジョンを移動するステージが鬱陶うっとうしく感じ、このゲームの主役でもあるアーウィンの出番が少なかったせいでもあったような気がする……。


 ──サターンの魅力にとりつかれ、2DのSTG好きの私さえもドハマりした任天堂機種でのスターフォックス64。 


 3DのSTGとして、ここまで夢中に楽しめた作品はないだろう。

 これはSTGの頂点に並ぶ神のようなゲームである。


 プレイした人しかその面白味は伝わりにくいが、まさにこのゲームも時代を越えた名作である。

 今でもそうはっきりと断言できるのだ。


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