第3章 いつの日も時代は変わらない内容である、正統派な任天堂64に感謝して
第20話 スーパーマリオ64(ACT)
──任天堂64。
スーファミが大好評だった任天堂がプレステやサターンなどの次世代機に対抗させるために製作した新ハードであり、他機種とは違い、ソフトは円盤使用ではなく、スーファミの延長上でもあるロムカセットでの作りとなっていた。
スーファミよりも小さめになったカセットのサイズだったが、円盤のようにディスクに傷が付いて、再生が出来なくなったり、読み込みが遅くなるという心配はないので、幅広い年齢層のプレゼントとしても大いに売れた。
──ハードの容量はそのハード名のごとく驚異の64ビット。
当時の他のハードの性能上を難なく越え、ポリゴンの映像もより美しく滑らかな作りとなった。
その美しさに酔いしれた私はとある有名人が出演していたテレビのCMにも心を惹かれ、いつの間にか本体とこのソフトを抱き合わせで購入していた。
ちょうどサターンのマイナーなゲームばかりで一息つきたかった私は、久々にメジャーで売れ線のゲームを作り続けていた任天堂の存在が気になっていたのだ。
そんな二次元で活躍していたアクションゲーム(以下略ACT)であるスーパーマリオもこの新ハードの襲来により、完全な3Dとして姿を変えた。
時代の流れを感じさせるACT、それがスーパーマリオ64である。
──例え、ハードが変化しても普段は配管工を生活の糧(現在はマリオカンパニーの会社の社長)にしてる四十代の元気良い運動神経抜群なおっちゃんの冒険は変わらない。
シリーズ初の音声を発し、ジャンプをタイミングよくステップすると三回転ジャンプが使え、三回転目で『ヤッフー!』と高らかに叫びながら体操選手顔負けの宙返りをしてみせる。
三回転ジャンプをうまく使わないと攻略できない場所もしょっちゅうあり、今回のシリーズは今までのようにちから押しで進むことは困難となった。
──スーパーマリオというものはファミコン時代からすでに登場していた任天堂の看板ゲームでもあるが、ファミコンではプレイにそれなりのテクニックが要された。
それはステージが進むゆえに難易度が上がり、九十ステージまで来ると地面も地震によって亀裂が起きたようにボロボロに裂けており、床を歩くだけでも困難を極め、BーDASH(ダッシュボタン)を利用することで亀裂を過ぎ去り、強引に突き進むシビアなゲームでもあった。
また制限時間もあり、時間内にクリアしないとタイムオーバーになるというスピード要素もあり、さらに敵に少しでも触れるとそこでズッコケて宙を舞って画面外に落ちて終わりになってしまうので、ACTが苦手な人には取っつきにくい部分もあった。
反射神経が疎かなプレイヤーならば、ステージ最初にブロックのコインを取ろうと行動したら、その場のクリボーにやられてゲーム終了になるドジッ子なパターンもたまにある。
そりゃ、私だけか……。
その強引さがこの64では無くなり、一撃ではやられない体力ゲージの追加、時間無制限の箱庭ステージ感覚となり、落ちやすい場所も目で判断して避けたり、ジャンプがしやすくなったり、例え、飛んだ先の壁にギリギリ手が届かなくて落下しそうになっても、その飛んだ先の壁際を掴んでよじ登ることが可能になったりと、誰でも遊びやすいゲームへと進化した。
──物語はピーチ姫により城に招待されたマリオがルンルン気分で城に到着すると、ピーチ姫とキノピオが悪の帝王のクッパにより、絵本の世界に封じられた後であり、そのクッパの呪いを封じるために絵本の世界へと乱入するという、後先考えないマリオらしい展開である。
──今までのハードには無かったNintendoの新しい目玉でもある操作ボタン、ゲーセンのミニレバーのような3Dスティックボタンを親指で使用することにより、絵本の世界を自由に探索できるようになった。
親指によりスティックを動かし、力の入れ具合や傾き角度でマリオが動いたり、走ったりして、まるでマリオをラジコン操作してるような気分にもさせてくれた。
このボタンが操作の主役といえ、ちょっとコントローラーが独特の握り方になり、持ちにくいという事故も発生したが、この形は人間工学に基づいて構造された作りであり、そのような違和感は時間と共に消え失せた。
いくらテレビ画面とにらめっこして遊ぶゲームとはいえ、慣れとは恐ろしいものである。
──ゲーム内容もひたすらコインを集めて攻略を進めていくのだが、ファミコンのような点数稼ぎではなく、一定のコインを収集するとキラキラと煌めくスターが出現し、それを集めることで新たなステージが増えるという仕組みだった。
中には下へとウォータースライダーのように滑り落ちながらコインを回収するというレースのようなミニゲームもあり、そのコインを取りながら滑り、条件を満たすと着陸地点にスターがある展開に心がスカッとする部分もあった。
──マリオの反応も実に愉快だ。
動かさずにその場で停止させていると、あくびをしながら、その場に座り込み、寝てしまう場面や、寒いステージだと体を震わせて寒がるシーン、さらに敵からトレードマークの赤い帽子を取られると受けるダメージが倍になるなど、ゲームシステムだけでなく、キャラも愛する制作者の細かな作りが映えて、マリオ自身のキャラにも愛着が沸いてくる。
──BGMも癒し系でほのぼのとして耳に残りやすく、このサントラも大人気となった。
ただ現在ではサントラは廃盤となって、入手が難しくなっており、市場ではプレミア価格が付いている。
──後にこのゲームは後日に販売されたNintendoDSという携帯ハードにも完全移植されるが、コインやスターの数が増えたり、新キャラが使用されたり、一部のマップの名前が変わったりと細かな変更点がある。
私もこの携帯版をプレイしている知り合いのお子さんを見て、懐かしさに感動して、ちょっとその子と64時代の昔話に華を咲かせたこともあった。
──世代を越えて愛されるスーパーマリオ。
私がマリオのアクションゲームを楽しんだのはこの64で終わりだったが、純粋に面白かったゲームであったことは間違いない。
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