第15話 サンダーフォースゴールドパック(STG)

 サンダーフォースゴールドパック。


 ただ文字を目にしただけでは何かのカードゲームのような響きだが、一ヶ月に一作はSTGが発売していたセガサターンからのSTG旋風で突如発表されたメガドライブ(以下略MD)によるサンダーフォースシリーズのサターンへの移植作品である。


 このゴールドパックは二枚に分けて別々の月日にリリースされ、サンダーフォース2MDとサンダーフォース3を収録した『1』とサンダーフォースACとサンダーフォース4を収録した『2』と二作に渡って発売された。


『黄金』と大層なタイトルが付いたこのベスト版的なソフトは当時のMDの映像を駆使した傑作集であり、他の機種にはこのパックは移植されていない。


 またオープニングの映像やサントラモードや別の自機が操縦できる裏技なども追加。

 まるでゲームの基盤そのものを手に入れたようなお腹一杯な満足感が得られる。


 ──サンダーフォース2MDでは縦型で八方向に動いて標的を狙うゼビウスのようなモードと横スクロール画面を移動するモードがあり、1ステージごとに交互にモードが変わるシステムとなっている。


 サンダーフォース3はMDからの移植、ACはアーケードゲームからの移植で、特にスーファミのサンダースピリッツとは違い、AC版のオリジナルは長らく移植されなかった作品であり、ファンの心を震わせた。

 この3からサンダーフォースは完全なる横スクロールの画面へと変化した。


 サンダーフォース4はシリーズ最強の難易度を誇り、これまた初心者にとっては激ムズでむず痒い作品であった。


 予測不可能な部分から敵弾が飛んできて、それに反応した時には手遅れであり、また縦スクロールや後ろに移動するという特殊な動きも追加され、3までの完全なる覚えゲーと見せかけ、中々攻略が難しい作品でもある。


 しかし、4は10もある広大なステージを半々に分けた二部構成と、ストーリー性にも優れたゲームでシリーズナンバー1の人気作でもあり、戦艦ステージで応戦していた味方がやたらと固い謎の一体の敵による流星のような光線によって、ほぼ全滅するという恐ろしやな展開や、その敵の後を追うように作っていた最強の武器を強引に装着させられるシーンなど、中々凝った映像が味わえる。


 そんな味方の強引なサポートによりゲーム後半から、新たに装着された通常攻撃の強化版ブレードとバック攻撃の強化、さらにバスターソード顔負けの近接攻撃専用のサンダーソードで未開の地を切り開いていくのだが、敵さんも黙ってはいない。

 今までにない強力な攻防で新装備を持ったとしても逆に追いつめられるくらいだ。


 確かにサンダーソードは強力な武器だが、光る剣だけに射程距離が極端に短く、使用時に自機が前のめりになり、無防備になることから使いどころを選ぶチャンスはピンチな攻撃でもあった。


 しかもサンダーフォースシリーズは先にも述べたが、完全な覚えゲーでもあり、肉眼で玉を捉えてからの逃げではその場でやられてしまうのがほとんどであり、また敵キャラがダメージを受けているのか分かりにくい表現もあり、初心者には攻略が難しいシリーズでもあった。


 そのためか、本作には新しくお子様にも優しいキッズモードという難易度が追加。

 やられてしまっても装備していたアイテムは無くならないというお優しい設定だ。


 ──一見、一本のソフトで二種類のMDのサンダーフォースが遊べてお得な気分かも知れないが、問題点も多い。


 ゲーム内での多重な敵キャラや敵弾などにより、動きなどが遅くなる処理落ちの高さは勿論のこと、3では敵の耐久率が異様に低くて楽にクリア出来たり、サターン版の4では逆に処理落ちが少なくなり、そのせいで難易度が極端に上がったりと完全移植にはほど遠い内容でもある。


 ──MDの大作二作を一枚のディスクに強引に詰めこんだ容量の都合か、BGMもサターンとは思えないほどに音質が悪いのも残念であり、MD版で遊んだファンをがっかりさせる音源でもあった。


 余談だが、サターンのソフトは音楽CDのような作りとなっており、音楽プレイヤーで再生するとトラック2以降からゲームのサントラが聴けるという嬉しいおまけ要素もある。

 これは俗によるCDーDAという仕組みであり、このソフトではここでしか聴けないアレンジ曲が収録されている。

 その意外なアレンジにド肝を抜かれることだろう。


 後にこのアレンジ音源が別個にCDとして販売されたが、メーカーの都合上、やむ無く廃盤となり、市場で高値となるCDとして並ぶようになった。


 ──この4のエンディングで『物語は終わりではない……』という英語の文面が流れるが、当時のプレイヤーにとっては謎の言葉のままだった。


 それから急遽、4の続編となる新作の発表。

 10年の時を隔ててMDが主流だったゲームの垣根をMDからサターンとし、最新作の5が密かに開発されていたのだ。

 しかも雑誌で取り上げられたゲームの映像は2Dのままの3Dポリゴン仕様となり、新たなる続編の仕上がりに驚きを感じた。


 ──現時点ではレアなソフトとなってしまい、高額で売られているようになったこのゴールドパックシリーズ。


 決してSTGが得意なマニア向けの移植とは言えないが、作りがどうこうより、純粋にSTGが好きなら、サンダーフォースというゲームに初めて挑戦するのなら、本作のゴールドパックを遊んでみてもいいかも知れない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る