第2章 セガサターンでセガの面白さを知って(前編)

第13話 ストライカーズ1945(STG)

 ストライカーズ1945。


 一見何かのスパイな暗号に聞こえそうだが、第二次世界大戦直後の時間軸が舞台で、今や様々なハードに移植され、シューティングゲーム(以下略STG)好きなら誰でもご存じの二人同時プレイも可能な大作である。 

 過去にサターンで発売した戦国エースやガンバードというゲーセンで人気だったSTGを売りにしており、今はただ沈黙を続けている彩京さいきょうからのゲームだ。


 ──ゲーセンならではの縦スクロールの画面で1ステージの終了時間も短いため、初心者でも手に取りやすい作品でもあったが、敵陣から発生する『独自の高速弾』は今までの覚えゲーやパターン化のSTGとは異なり、勘と反射神経で避ける部分が度々あり、多くのゲーマーを苦しめた。

 南米の牛追い祭りならぬ、後にいう彩京系ならではの予期せぬ弾幕の嵐であった。


 特にゲームクリア後による二周目の弾幕の速さには肉眼で追いついていけないほどの驚異的なスピードであった。


 ──私がこのソフトを遊んだのはセガサターンというセガが出した次世代機のハードに触れてからである。


 当時サターンとプレステが家庭機種の頂点でライバル争いを築いており、TVなどでも二社のソフト争いによるCMの嵐だった。

 ゲーム内容の良さをストレートに訴えてくるプレステに、俳優さんを多用したコミカルでドラマチックなサターン。

 私はどちらがいいのか? と頭を悩ませて、ゲームの店員さんに相談した所、サターンの方が面白いソフトが沢山あるという理由からサターンへの購入を踏み切った。


 今思えば良心的に見えていた店員さんも在庫が余っているハードの方を売りたかったというような心情に思わせてくる。

 その店自体は早くも閉店という道を進むことになるが……。


 しかし、当時のサターンの本体は高度な技術を内蔵していたせいか、意外と値が張り、これまでのスーファミの本体とスーファミのソフトを全て売り払った買い取り金と合わせて購入したソフトの一つでもある。


 サターン本体と購入したソフトは3本で、ストリートファイターZERO2と、記憶の片隅にしかない買ったことしか覚えがないソフト(もしやガンバードか?)、そしてこのストライカーズ1945である。


 ゲーム中に操縦できる機体は実在した戦闘機からで、戦時中に日本軍を苦しめたライトニングや、アメリカ軍の何倍もの機動力を活かした零戦など、マニアには堪らないほどの機種がこの目と指先で拝むことができた。


 ──各機体にはボムという強力なアイテムを所持しており、ストック数は限られるが、使えば弾幕などを一掃し、大逆転のチャンスを掴め、どんだけ固いステージのボスでも半壊させる破壊力を持った。

 ちなみにどんな戦車や戦艦の形態のボスでも最後にはゴツいロボットになって攻撃する独特のパターンであり、ストライカーズ1945ならではの『本当にロボット好きなんだなー』的な面白いゲーム性を持っていた。


 ──ライトニングが大きく宙返りしながら巨大な一個の爆弾を落とす姿や、零戦が放つ暴風雨の吹き荒れる爆弾は戦乱の激しさを物語り、ムスタング、メッサーシュミット、スピットファイア、過去のゲームでの再戦による震電などの戦闘機の緻密な攻撃は、プレイヤーの心を揺さぶり、乗組員のパイロットのほとんどが女性という展開も大きな反響を呼んだ。

 ゲーセンモードやオリジナルモードを全クリすることにより、各キャラのセクシーな絵柄が楽しめる仕組みとなっているが、ゲーセンモードでは家庭機種ではカットされたちょっと過激な絵柄もある。


 ──慌ただしい戦乱らしく警告音とメッセージが流れ、前半四面が自身では選べないランダムステージとなっており、戦闘機や戦艦などと戦いを繰り広げる第二次世界大戦を示したような舞台に、後半からロケットに乗り、宇宙へと飛び出して月面などに行く様はありえへん世界観であり、最後は地球を侵略しようとしていた宇宙人の『あわあわブクブク、カニカニわしゃわしゃ』なボスと戦う様は最早、第二次世界大戦の舞台というより、オリジナルに溢れたSF的なストーリーである。

 このラスボスを思い浮かべる度にカニが食べたくなってくる。


 後にこのストライカーズ1945には引き続きサターンやプレステでの続編が発売されるのだが、人気作だけあり、中々手に入らずというより、すでにこの彩京のゲームに対しての興味が薄れていたため、中古で並んでいても買うことはなく、さらにプレステ2で1と2がセットになったスマッシュベスト版にも目にくれず、私の心はセガサターンの後継機種のドリームキャストに夢中だった。


 ──ストライカーズ1945。

 硬派でストレートに伝わってくる戦争の恐ろしさ。


 片道しか燃料がなくて、飲用のアルコールで機体を動かしていた戦闘機、追いつめられた軍にライトニングによる最先端の爆弾の投下……。


 万人向けのゲームにするため、この第二次世界大戦をモチーフにしたらしいが、その効果はいざ知らず、その後の彩京の売り上げは徐々に低迷……。

 独自のSTGでは経営が出来ず、パチスロや麻雀界にまで手を拡げ、後に多会社に吸収されても、売り上げは伸びずに今は『封印』という形になっている。


 今思えばこのゲームとの出会いでSTGの本当の面白さを知ったのかもしれない。


 ストライカーズ1945。

 私の心の中で、懐かしのゲームを彩る作品であることは間違いない。

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