第8話 スーパーマリオカート(RCG)

 ファミコン時代から人気だったマリオキャラをレースにした仕組みで、もっともスーファミで神ゲー並みに売り上げをものとした大人気作品であり、ゲームをやる人には知らない人はいない超有名なゲームである。


 一人でプレイするにしても上下に区切られた二画面のレース画面がトレードマークで、当初は少し前に発売した同任天堂作品のFーZEROのようなスピード感のある内容を模索していたが、二画面でのゲームの容量ではスペック上、出来ないことが判明し、FーZEROのような驚異的なスピード感は抑えられている。


 ──このレースゲームは同社人気キャラクターのマリオシリーズからのキャラがレースカートに乗って、合計八人の仲間とレースで勝負して一位を競う内容であり、キャラによってカートの能力が違う。

 マリオなら標準の性能、ピーチ姫やキノピオは加速重視、クッパなら加速は遅いがスピードは最速といった具合だ。


 キャラクターは50、100、150CCの排気量を選べ、三つのレースコースから、初心者、中級、上級のレース場と別れており、1レースをクリアすることで段々と難易度が上がるシステムで、なおかつレースでは4位以内にならないと次のステージには進めない。


 レース上にはアイテムボックスが置かれており、取るとからし入りロシアンルーレットのようにアイテムが回り、くじ引き感覚で相手を妨害するアイテムをものに出来た。

 亀の甲羅にバナナの皮でスピンさせ、スターで無敵状態、相手を豆粒のようにする雷とかだ。


 特に厄介だったのが、赤亀の甲羅で前方のレーサーを追尾して動きを止めるというとんでもないアイテムだった。

 ターゲットロックオン、うっしっし……という怪しげな悪魔になった酔いどれ気分である。


 この攻撃対策として身代わりアイテムの存在が役立った。

 アイテムを落とさずに後ろに繋ぎ止め、飛んできた台風一過な赤い亀と一緒にオサラバ的な感じである。


 雷で豆粒になり、最低速度になり、他のレーサーとぶつかるとペチャンコになるのもオツだった。

 実際のレースではあり得ないギャグっぽい仕掛けである。


 中にはぶちギレる友人もいたが、まあ、ゲームなんだからそんなにムキにならないでと言ったら怒って帰ってしまったという苦い想い出がある。

 じゃあ、毎度最後尾の私はどうなるの? と思ったが……。


 ゲームのBGMもスーパーマリオからのアレンジ曲がメインで原作を知っている人にも思わず顔がほころび、今までにないシリーズの展開だったが、違和感を感じず、スムーズに感情移入させられる作りでもあった。


 ──私はこのゲームはノリと勢いに任せて購入してみたのだが、これが想像以上に手強い相手だった。

 元から私は文化部で学生時代を過ごし、運動系のスポーツは苦手だったからだ。


 レースゲームとは体を預けて車を操縦するもののカテゴリーではスポーツの一種。

 目と耳で感覚を研ぎ澄まし、ハンドルを手元で上手く切りながら、カーブでドリフトして曲がり、足を利用してアクセルとブレーキを使い分けるなどと、体は動かしてなくても車体を動かす全身運動でもある。


 実際にゲームで動かしているのは指だけだが、夢中になっている私はカーブに合わせて体も曲げていた笑えるキャラだったらしい。


 何度もゲームをプレイしても所詮は3位止まりだった私はこれは詰んだなと思いながらも、このゲーム性には中毒性があったため、下手の横好き状態だった。


 そんな私がこのゲームにハマった理由が仲間との対戦レースだった。 


 たまたまゲーム好きな友人の家に行くと、そこには他の仲間も居て、たまたまこのゲームを所持していたので、どうせなら一緒に遊ぼうよと食べられませんな半切り食パン(ゲームソフト)を本体にぶっ刺したのがことの始まりだった。


 仲間と同じレース場に立てて、お互いに白熱した走りをし、色々と邪魔をしてくるライバルたちをボロボロに打ちのめす。


 仲間とプレイするとこんなにも面白い作品だったとは! 

 マリオカートは仲間とのワイワイ騒いで盛り上がるタイプがなんぼのゲームだということ。

 これは私の胸に突き刺さる衝撃の事実でもあった。


 ──私はいつもヨッシーか、マリオかルイージのキャラを選び、扱いやすいキャラの走りが好きだったが、いつも友人は重量級のドンキーかクッパを選択し、直線コースでスピードをグングン上げても毎回追い抜かされていた。


 そりゃ、最高時速はそっちの方が速いからね。

 軽自動車がフェラーリに敵うわけないつーの。


 また、道路には仕掛けもあり、スピードが一時的に上がる板もあり、それを踏むと超高速で未来へとワープする感覚に溺れ、さらにそのスピードに乗ったままジャンプ板を踏むと大きく宙を跳ぶというスリリングなボードもあった。

 これはFーZEROからの名残である。


 レース上にはショートカットというものも存在した。

 下手をするとすぐに最後尾になるが、成功すればライバルたちを周回遅れにして一瞬で一位の座を奪い取れるとんでもない裏技だった。


 ハードコースのラストによるフェンスが全くない虹の橋ステージなどがそうだ。

 レースに不馴れな私には到底真似できなかったが……。


 ──ヲタクに恋は難しい、うちの会社の小さい先輩の話などと様々なコミックスにも登場するこのマリオカートという代物。


 スーファミで大ヒットを飛ばし、ゲーム雑誌でも高く評価されたこのシリーズは後に他の任天堂機種、switchなどにも定番のように移植された。


 そう、好奇心から手に取り、私が初めてハマったレースゲームでもあり、今後のレースゲームをプレイする起爆剤にもなった作品だったのだ。


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