第7話 聖剣伝説3(ACT+RPG)
ファンタジーチックな民族楽器などのBGMを前にして指がイカれるほどにコントローラーのボタンを連打し、モンスターをタコ殴りにする日々。
スクウェアから発売されたスーファミの聖剣伝説3という代物は、とてつもなくプレイヤーを中毒にはめる恐ろしいゲームであった。
ゲームスタート画面で6人の男女のキャラから一人の主人公が選べ、さらにそのメンバーに加える二名を選ぶのだが、選んだ相手によって物語が細かく変化した。
大幅なストーリーは変わらないが、キャラとの掛け合いが面白いので、私は色々なキャラを引き連れて冒険した覚えがある。
──物語は魔力を蓄えて眠っていた魔法の樹、マナの樹の力が邪悪なる相手の力により弱まりつつあり、それなら邪悪なる者を倒し、力を取り戻そうと体の一部を妖精のフェアリーに変えて、主人公の前に降り立つ所から始まる。
だがフェアリー自体も微力な存在であり、マナの力さえも薄れつつあって、マナの力を持った主人公に背後霊のようにとりつくしか生き残る術はなかった。
そう、寝て起きたら見知らぬ妖精がベッドの上で寝ているだ。
愛犬ならぬ、愛らしい妖精の登場に、これには流石の主人公も驚きである。
そんなデュランは立派な剣士となるべく、仲間と共に世界を救う冒険者を目指していくのだが、行く先にこのゲームの売りである巨大なボスが行く手を遮り……聖剣伝説シリーズお馴染みのカニボスのフルメタルハガーである。
猫のような瞳をぎらつかせ、尖ったギザギザの歯を見せながら、鋭いハサミで攻撃してくる姿は獣人族のケヴィンの食欲をもそそり、カニが大きくジャンプし、落下して攻撃するまでの数秒間に美味しい食べ方を考えていたに違いない。
身のこなしが軽いホークアイの意見では、短刀で細かくぶつ切りにして茹でて食べるのが一番なのではと……。
──三人の女性キャラも個性があり、魅力的で、子供染みても母性的なシャルロットに、敬語を多用する真面目な応対のリース、色気溢れるセクシーなお姉さんのアンジェラと、ゲーマーの疲れた心を優しく癒してくれた。
特にリースとアンジェラは人気投票で火花を散らし、現在でも絶大な人気を誇っている。
──基本、このゲームはRPGだが、アクション性が強めな内容であり、モンスターはフィールドでのほほんとしていて、主人公のパーティーが近くに来ると臨戦体勢に入る。
その戦闘もプレイヤーがモンスターとの攻撃範囲に入らなければ、武器を構えたままの移動となり、『君たち、どんだけモンスターとお近づきになりたいんだ?』と思った時期があった。
時期が争いを吸い付けようとする磁気だけに……。
またモンスターとの戦闘では戦闘画面への切り替えはなく、その場でスタートする展開になっており、臨場感にあるスムーズなバトルが楽しめた。
冒頭でも述べたのだが、このバトルはボタンの連打でモンスターに攻撃を繰り出し、それにより技のゲージが増えていき、MAXになると必殺技が使えるという斬新なシステムだった。
経験値やレベルを重ねることで二回クラスチェンジができ、さらに光か闇のクラスを選択できて、クラスによって様々な攻撃が使え、必殺技もレベル3まで使えるようになる。
……ってさっきからクラス、クラスと呟いているが、学校の席替えの話ではない。
しかし、このゲームはひたすら攻撃ボタンの連打でごり押しで進むシステムでもあり、スーファミのコントローラーに不具合が発生することもプレイヤーの間で幾度かあった。
俗にいうボタンが機械の内部の中にめり込んだり、ボタンのゴムが反応しなくなる状態である。
これには交換を余儀なくされる。
部品だけ購入して直すには少々骨のいる作業だったが……。
コントローラーを買うという選択肢もあったが、当時、ゲーム初心者だった私は、『何々、コントローラーって食べれるの?』くらいの何も知らないお惚けぶりだった。
この3をキャラの入れ換えや属性を変えてのプレイなどという理由から、何回もこのゲームをクリアし、存分に楽しんだ私は前作の2もプレイしてみようかと好奇心で遊んでみたのだが、これまた内容も映像も音楽も肌に合わなくて、2は冒険当初からお蔵入りにしたほろ苦い記憶がある。
3はスーファミを最大限に活かした美しい映像でもあり、2にあったバグを恐れ、音楽も音程を下げて馴染みやすい民族楽器にし、それに先ほど述べたストーリーの濃密さ。
いきなり3からではなく、FFのようなタイトルが付いた無印から遊んでいればこのような結末にはならなかったかも知れない。
この3は後にプレステなどにも移植され、キャラのフルボイス化や一部の物語やシステムの追加、さらにクリアしても強くてニューゲームや、クラス4のレベルアップ、敵の強さが格段に強烈になる難易度の追加がなされ、プレステ4やswitchでは3Dリメイクという形で様々な変化を遂げた。
──後に聖剣シリーズはプレステへと販売元を変え、続編となる『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』を発売するが、私の心を揺るがす作品にはならなかった。
「──おい、このゲーム面白いか?」
「お前さんだって今はゲーム音楽が好きなんだろ。似たようなもんじゃないか」
「まあ、そう言われてみればそうだけど……こんな町作りな内容じゃあね……」
久々にゲーム好きな友人の家に遊びに行き、初めて観た動く『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』の変わりぶりに唖然とした。
前回の自由さとはかけ離れた2Dのアニメ柄に筆頭にし、ボコ殴りなフィールドの3とは違い、律儀に戦闘画面に切り替わり、これまたアニメチックなモンスターに立ち向かい、横へと流れていくスーパーマリオのような状態。
これには元ゲーマーの私もがっかりであった……。
私の聖剣伝説のドハマりは3だけに終わったのである……。
──余談だが、この秋に続編の『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』がアニメ化になるのが決定した。
原作は未プレイな私には嬉しい限りで、今からどんな内容になるか、心待ちにしている。
──RPGというより、手軽で簡単な操作で遊べる、アクション性の良さを訴えた聖剣伝説3。
ストーリーはうろ覚えだが、指がおかしくなるほどモンスターをタコ殴りにしていたことだけはハッキリと覚えている……。
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