第5話 ファイナルファンタジーⅥ(RPG)

 かつてドラクエが世を賑わせていた時、ドラクエとは全く異なるスタイルのRPGが登場した。


 当時のゲーマーにとって最強のRPGはドラクエと認識されており、人々は様々なドラクエの世界観に魅了されていたのだ。


 そんな時、気鋭のゲーム製作会社であったスクウェアから、ドラクエの後に発売されたファイナルファンタジー(以下FF)というゲームを小さなカセット(ファミコン)に放り込み、ゲーム世界を圧巻させた。


 その後、FFはドラクエのライバル的な存在になり、操作性重視で安定された世界観のドラクエと、ストーリー性が強く戦術がマニアックなFFとなり、この二つのゲームはゲームを知らなくても学校の校長先生のように世の中に知られるような大作となった。

(校長関係ないじゃん)


 しかし、学生の頃の私は親が買っていたスーファミは所持していたが、旧機種のファミコンは持ってなく、FFというタイトルすらも知らずに、当時の友達の会話から『ドラクエ派、ファイファン派?』という話が流れ、『最後の物語り』の名前だったらゲームとして完結したものなのか? と思いながらうたた寝をしていた学校生活があった。


 FFをファイファンかエフエフかの呼び方で年齢層が分かるとも言われる近年……私は勉学に忙しい学生にも関わらず、春眠、あかつきを覚えたという技を極めたのである。


 私が初めてFFを知ったのは偶然、安売りのセールスで売っていたⅥからだった。


 これまた箱や取説のない裸売りという条件で安いのは良いけど、ちょっと困ってしまう感満載なソフトであった。

 箱や取説がないと低価格でしか買い取って貰えず、ヤフオクで売るしかないという現状とは大違いな遠い昔話である。


 私がこのⅥをプレイして最初に思った感想は戦闘システムが独特で難しいこと。 

 悠長にお菓子でも食べながらのんびりとコマンドーな作戦を立てている暇はない。 

 湯呑みに入れたお茶の茶柱が立ったとしても、今日は良いことありそうだなーと余韻に浸る暇もない。 


 スピード感のあるBGMを耳にしながら、ボーとしてるとモンスターからボコボコにされて戦闘不能で旅立ってしまいました感……これがFFに醍醐味でもある、戦闘中でも自動的に時間が流れるアクティブモードというシステムである。


 このせいで戦闘中でもハラハラ何々? と慌てながら脳内で考えて行動しないといけない焦りができて、これは予想以上に大変なゲームだなと思っていた。

 日本の憲法にもよるが、思うだけなら個人の自由である。


 なお、オプションで戦闘コマンドの時に時間を止めるという方法(ウェイトモード)もあるので、落ち着いてお茶菓子を食べながら遊びたいなら、そちらをおすすめする。  


 ──箱も取説も無い中、手探りでゲームをプレイして次に感じたのは映像の綺麗さと重厚なクラシックのような音楽。

 Ⅵはスーファミでも異例な大容量を使用して生み出されたソフトでもあり、私は癖になる感触を覚えた。

 週刊誌のファミ通でも好評価を獲得したゲームでもあった。


 ポチ、レベル○デスの意味が当時は不明だったけどレベルの倍数に関係してんだ、FFも中々面白いなあと思えるほどに……。


 あの、ポチって誰だよ。

 お正月恒例のポチ袋じゃないよね。 

 自分の小遣いで買った記憶があるような……。

(記憶の改ざんか?)


 ──物語は自分に関する記憶を無くしたティナという女性目線の視線から始まる。


 雪の積もる街で魔導機械を乗りこなしながら、仲間の兵士と一緒に反乱兵に立ち向かうという斬新なストーリー。

 一瞬アクション映画の世界に入り込んだような擬似感を思わせてくれる。


『最後の物語り』のタイトル通り、物語は濃厚で緻密に練られていた。

 さらにクリアまでのプレイ時間も長くてやり応えもあり、当時の他のRPGよりも群を抜く、良くできていたストーリーだったのだ。


 後にこのティナが物語のキーワードになるまほうを使いこなし、トランスという秘術さえも手に入れる。


 なぜまほうがキーワードなのか?

 このゲームではまほうを使用できるキャラは少数と限られるのだ。

 普通はまほうの威力のあるアクセを装備しないとまほうのコマンドすらも登場しない。

 これもドラクエとは明らかに違う部分であった。


 そんな戦闘シーンでもユニークな点が色々あった。


 物語の序盤から登場するマッシュという格闘家の男性がメテオストライクという投げ技で巨大な魔列車をぶん投げてしまうシーン。

 人間の乗員が居ないのは分かるが、どんだけ魔列車軽いんだよとツッコミたくなる。

 

 ちなみに、この暴走機関車はとある身近な復活の尻尾でもダメージを与えられる。

 場合によっては逆に逝ってしまう裏技でもあった。


 マッシュの兄によるエドガーの機械のコマンドも笑えた。

 ドリルという技でモンスターに特攻していく姿はまさに『おじさんによる金曜日』的なホラー感も含まれていた。


 他にもあばれるやぬすむなどといった個性的なコマンド。

 FFⅥは物語以外にも戦闘シーンにも色々とこだわりを感じた。


 ──この物語は14人ほどの仲間がパーティーに加わるが、中には特定のイベントをクリアしないと仲間にならなかったり、終盤にならないと仲間にならない相手や、仲間にしなくても物語に影響しないキャラなどと観葉植物のように多種多様である。 

 ここもドラクエとは違う部分である。


 ケフカというアハハと嘲り笑い、やたらとしつこい敵キャラも厄介だった。

 至る所に登場して邪魔をしては消えていき、結局は神に近い存在となってしまう。


 最終的にはこれまた厄介なラスボスとなるが、沢山の信者を率いれて部下にし、本人は最上空で余裕ぶって笑っているとんでもない男でもあった。


 ゲームクリア後に攻略できるバベルの塔のようなダンジョンも厄介で、敵キャラも強敵揃いであり、クリアには至難を伴う。

 FFⅥには遊びどころが満載である。


 元となるスーファミ版では移植先のプレステ版などとは違い、バグが多いのが難点だったが……。


 ──さて、このⅥにてFFシリーズは任天堂から離れ、プレステへとフォーマットを変える。


 私がプレイしたFFシリーズはⅥが初めてで、それ以前のシリーズはプレイしていない。

 単に面倒だったのか、興味がなかったのか……今となってはミステリアスで謎である。


 後にⅨにて過去のFFにあった、白魔術師や黒魔術師などが選べるジョブシステムというのが採用され、物語に原点回帰という核心をもたらすが、残念ながらⅨはゲームクリアしていない。

 これまたドラクエのように、ラスボスにボコボコにやられていじけてプレイしなくなったお子様みたいな自分を思い出す。


 どんだけチキンなんだよと過去の意気地無しに言いたくなる。

 えらく面倒で食わず嫌いなゲーマーでごめんなさいだと……。



         

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