第2話 スーパーアールタイプ(STG)

 当時スーパーファミコンを親が所持していたとはいえ、肝心のソフトは子供には高い値段だった。

 そんな訳で比較的安価だった旧作のファミコン本体を仲間から借りて、ファミコンの中古ソフトを買って遊ぶということを繰り返していた。


 マリオシリーズやドラクエシリーズなどがそうであるが、スーファミのように熱狂して遊べるソフトとは出会えなかった。

 だが、個人的にドラクエなどのRPGの他にツインビーやゼビウスなどのSTGというジャンルが一番好きだということは大体分かってきた。


 その暗躍を拭い去るように私はスクスクとゲーム好きなオタク色に成長し、学校を卒業して、バイトでお金を稼げるようになり、ドラクエⅤに続く新たなスーファミのソフトを入手すべく大人な繁華街(ゲーム買うだけじゃん)へと繰り出した。


 そのゲームショップからの帰り際、通りすがりの大人の方から『Hey you、何のゲームを買ったの?』と聞かれ、無言で自転車のカゴ入れに剥き出しに置かれたソフトの箱を見せて、『Why? これは新種のカレールーの箱?』みたいな表情で見ていたのが今でも忘れられない。


 それが現在にも及ぶ大人気作、RーTYPEのスーパーファミコン版スーパーRーTYPEとの出会いであった。


 このゲームは自身が飛行機を操って、生体兵器に侵された敵キャラを倒し、徐々に自動的に画面が横へと進んでいく2DタイプのSTGである。


 自機にはフォースという敵弾を防げる茹で卵のようなオプションと接続することで真の力を発揮し、赤青黄の出発信号~のようなアイテムを拾うことで三タイプのレーザー攻撃ができ、同じ色を取ると三段階まで威力が上がる。


 赤は一直線の最強なレーザー、青は壁などに当たると反射するレーザー、黄は壁と地面を這うように進む対地レーザーで、一番役に立つのは威力は最弱だが、圧倒的に攻撃範囲をカバーできる青である。 


 このリンクする攻撃からRーTYPEというタイトルを名付けたのだろうか。


 また攻撃をせずに妄想と時間を溜めることによって、カメ○メハみたいな波動砲の攻撃も可能で、マックスまでパワーを溜めて放つと綺麗に壁を貫通して相手側に大ダメージを与えられる。

 これには恩師のグラサンのじっちゃんやピンクの魔神もビックリだろう。


 基本、このフォースと波動砲の二つの攻撃を駆使して進めていくシンプルなゲームなんだけど、ゲームの難易度を初心者設定にしてもハッキリ言ってこれ系統なゲーム素人には難しいレベル。


 どこから敵の攻撃が来るのかをノストラダマスの予言みたく先読みしないと即座に撃沈される完璧な覚えゲーであり、当初は凄く苦戦してプレイした経験がある。


 池から急上昇する宇宙服を着たような月での観測よろしくうー! なデカブツや、攻撃すると、こちらに鳴き声を叫んで高速で突っ込んでくるギョ!? とするお魚の特攻隊など、私の操作する自機は幾度の敵に殺られ続けた。


 またステージの途中で殺られると一定期間の場面から戻ってのやり直しになるのだが、途中で復活すると、各ステージ初期に手に入ったアイテムが貰えないことが多く、余計に難易度が上がる内容でもあった。


 主にスピードアップや対地ミサイルのアイテムとかがそうだ。


 たたでさえ機体の移動速度が遅いのに途中復帰からではそれを無くして敵陣へ突っ込む。

 そして対地ミサイルが無くなった時の攻撃と防御の貧弱さ。


 ……にも関わらず敵の攻撃は変わらない形なので、もうどうやってツッこんでいいのか分からない。


 パッケージデザインにもなっているステージワンの最後のボスキャラ、ドプケラドプスも強敵である。


 落武者のような灰色の固い鎧を身に纏った姿には、普通の攻撃が全く効かなく、攻撃が通るのは胸から出たオレンジのコアが極太のカマボコ光線を放つ一瞬の時のみしか通用しない。

 ゲーム難易度を上げるといらっしゃい~な感じでカマボコ光線の生産数が多くなる。


 ここで最大出力な波動砲を三発放てば倒せるのだが、実は時間制限があり、最後には火事場の馬鹿力で鎖のような細胞攻撃で範囲を狭めてきて、殺らないと強制的に相手から殺られるという無茶なボスでもあった。


 人はこのボスを天地無用なドプケラドプスの大反乱といい、多くの仲間から恐れられた。


 このドプケラドプスとかいう恐竜からもじったのであろうモンスターは今後もこのゲームの新作が発売する度に、ストーカーのごとくしつこいくらいに再登場を重ねるが、回を重ねるごとにゾンビーズみたいなボロボロな姿で登場する。


 ゆるキャラなアイドルを目指すのもいいけど、たまには自宅で休んでもいいんだよと言いたくなる。


 ちなみにこのRーTYPEのゲームには無敵コマンドというものがあり、ゲームを一時停止してその隠しコマンドを入力するといとも簡単にゲームがクリアできるらしい。


 そりゃ、無敵に勝るものはないもんね。


 その事に気づくのはゲームを全くやらなくなり、音楽に熱狂して、たまたまこのゲーム関連のサントラから情報を得たのだけど……。


 金のゲームソフトでもなく、銀のソフトボールでもなく、ソフトクリームでもなく、あの時の時間と労力を返してと正直に言いたくなる。


 そんなのちに私がドはまりし、初めてのめり込んだSTGというジャンルでもあった。

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