第43話 仲間になりたそうにコッチを。
不自然に光る竹がある。カメが歩いていた道をそのまま進んだ先にある竹林。
その中の一つが光っている。
厳密に言うと、竹の一部分が光り輝いている。
「なんだこれ」
「中から光ってるのかな?」
「どうする?」
「無視する」
君子危うきに近寄らず。
特に意味もないし、その先を目指すことに──。
「待て待て待て!」
「ん? 山田なんか言った?」
「セラルじゃないの?」
首を振るセラル。しかし声は聞こえる。
「こっちこっち! 聞こえてますかー?」
「「「「…………」」」」
なんか……竹から聞こえてね?
「おッ、気付いた? そうです、ココです!」
先ほどの光っていた竹から声が聞こえる。
ちょうど光を発している部分から音が響いており、中に人がいそうな感じだが……いやいや大きさ20センチ前後しかないぞ。
「取りあえず割ってみるか?」
「そうか、丁度おまえ斧持ってたな」
金太郎から受け継いだ斧を、兵藤は振りかぶって竹を割る。
──縦に。
「っぶね! 何やってんのこの人!」
割った竹の中にいた小さな小さな女の子が叫んだ。長い黒髪に白い肌、人形のような見た目。とても美しく可愛らしい見た目の小人がそこにいた。
「こほん。えー改めまして
「カグヤ? カグヤってあのカグヤか?」
「わぁ、カグヤ様ってこんなに可愛いんだ。そりゃ男たちも求婚するわ」
「「??????」」
日本、どころか地球の文化すら詳しく知らない兵藤とセラルはよく分かっていない様子。しかし説明も難しい、いったん放置しておこう。
「実は皆さまに折り入ってお願いがあり、呼び止めたのです」
カグヤと名乗る少女は竹の中で長い間、ずーっと待っていた。自分を見つけてくれるはずだったおじいさんを。
しかし待てど暮らせど来ない。しびれを切らしたカグヤは千里眼の力を使い、おじいさんとおばあさんを見た。するとそこには大きな大きな桃と元気いっぱいの男の子が…………。
そう、おじいさんがカグヤを見つけるよりも先に、川で洗濯をしていたおばあさんが"桃太郎"を見つけてしまったのでした。
「「ええ…………」」
そんなカグヤはとにかく自分を見つけてくれる人を千里眼で探し、その時を待つことにした。そしてついに、カグヤの前に4人が現れた。
「なるほど」
「それでお願いっていうのは?」
「桃太郎をぶっ殺……。いえ、妾を竜宮城に連れて行って欲しいのです」
竜宮城。そこは浦島太郎という男が訪れた宮殿。
それはそれは美しい"乙姫"がおり、
そして特筆すべきは【玉手箱】。
乙姫に気に入られた者だけを貰える秘宝。
玉手箱は開けた者を強制的に成長・老化させる特別な物。成人には無用な産物だが、カグヤはソレを使って成長し、大人の姿になりたいと言う。
「お前の要求は理解したが、それをオレ達が受けるメリットは?」
「妾の千里眼で神器の場所を探してあげます」
「!?、なんでそのことを……」
永岡が驚くと、やれやれといった具合にカグヤは首を振る。
「妾はずっと自分を見つけてくれそうな人を探していた。つまり、あなた達の一部始終も見ていたのですよ」
「なるほど、ちなみにどこから?」
「ウサギを食べたところから」
いやあ、ビックリした。竹林の近くを見渡していたら、鍋を囲んで食事をしている人達がいるんだもの。と語るカグヤ。
カグヤの使っている千里眼は特定の物を探るか自分の周囲を見渡すことの出来る力。それは
カグヤは元々月の住人であったが、神通力を使って好き勝手に生きていた所を閻魔に見つかり、『煉獄』に落とされたそう。
「とにかく! 妾を手伝って!!」
と、いう訳で四人にもう一人。永岡の胸ポケットにスッポリと収まったカグヤが仲間に加わった。
そしてそこからはカグヤの案内の元、竜宮城へ向かうための長い旅が始まった。さあ、張り切って行くぞ。と意気込んでいたカグヤと俺達。
その道行きの直後、小さな少年に出会う。
「あの、何か食べ物を持ってないでしょうか?」
その男の子の名前は"ジャック"。ジャックは家の闘牛を売り、食べ物を持ってくるよう母に頼まれていたのだが、不思議なおじいさんに牛と豆を交換して欲しいと頼まれ断ることが出来なかった。
「でも豆は一粒しかなくて、、これじゃあお母さんに怒られてしまう……」
ウジウジと泣きそうになっている少年を見て、山田は俺に聞いてきた。
「永岡、確かウサギ肉が少し残ってたよね?」
「ん、ああそうだな……二人もそれでいいか?」
「いいよー」
「豆って美味いのか?」
俺達は獲ったウサギの残りをあげ、小さな豆をゲットした。旅を始めて早々に食料を失ったのは痛いが、嬉しそうな少年の笑顔を見れたので良しとしよう。
「さて、気を取り直して行くぞ!」
そこからの道のりは
しかし、神剣の力とダンジョンで
「なんもなくね?」
カグヤの案内通りに進み竜宮城に着いたはずが、目の前には建物どころか植物や鉱物すらない荒れ果てた広野。
「ここからが重要なの! 今から妾の言う通りに歩く!」
「お、おう」
永岡はカグヤに言われるがままに歩く。
指示通りに所定の位置についた永岡は、そこから右を向き等間隔に200歩ほど歩く。続いて、さらに右を向き256歩。そしてそこから更に右を向いて63歩。
63歩目手前、そこに「止まって」と言われ、ピッタリと合わせ、永岡は立った。
「よし、それでは永岡様。後はこの呪文を叫んでください──」
ゴニョゴニョと呪文を伝えるカグヤ。
「え、なにそれ……」
「いいから」
意味不明だったが、仕方もないのでするしかない。
少しだけ深呼吸をして、間を開けてスーッと息を吸って永岡は叫ぶ。
「『竜宮城最高! 妹萌え最高! 浦島ざまぁ!!』」
すると目の前に何もなかったはずの広野。
その視界のど真ん中に突然赤い扉が現れる。
見た目は何の変哲もないドアノブの付いた扉。
しかし、だだっ広い何もない場所にポツンと存在する扉はかなり異様。
「どこでもドアかよ……」
「なんだそれは?」
「地球の秘密道具」
言われるがままロボットのように動かされていた俺を遠くから見ていた兵藤たちも、扉の存在に気が付き駆け寄ってきていた。
「これは"竜宮城"に繋がる扉。千里眼でカメやその関係者を断片的に見て分かった入出方法です」
長い間、様々な人間を遠隔ストーカーしていたカグヤはついに竜宮城に行く方法を見つける。それが、この隠し扉とその扉を出現させる方法。
まあとにかくこれで竜宮城に行けるって訳だ。もう俺は長旅で疲れたし、ゆっくり癒されたい。
そんな訳でいっちょ、乙姫様にご対面させていただきましょう。
「れっつ竜宮城!」
こうして意気揚々と扉をバッと開け、永岡の目の前に現れたのはそれはそれは美しい人魚達と──、
全裸の知り合いだった。
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