29.「この子が新しい三男よ。」※※※
※※※閲覧注意!!
グロい表現や近親相姦含む内容です。
苦手な方はBack!!
自己責任でお進みください。
※2022/09/29 運営からのご指摘で性描写を大幅に変更しました。
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「母上の容態はどうだ。」
「それが、その……。」
「なんだ、はっきり言え。」
「はっ。その。ご懐妊でございます。」
「な……なんだと?」
父から侯爵位を継いだヴィム・バーデンは、多忙を極めていた。父親としては最低な人間だったが、侯爵としてはきちんと仕事をしていた先代。しかし継いだあとは、弟のしでかしたことで仕事関係の相手がかなり離れてしまったのだ。
多方面に手紙を書き、会える人間には会って、関係改善に奔走していた。
そんな中、バーデン家の侍医がとんでもない爆弾を抱えてやってきた。なんと母親が妊娠したという。
年齢的には40を過ぎたところで、この世界にはほとんどいないが、妊娠は可能だ。しかし、父親である先代は、数ヶ月間この屋敷にいないのだ。
「いつ、だ。」
「は、はい。恐らく2ヶ月ほどになるかと思います。」
「2ヶ月……。」
それなら、先代はすでに屋敷にいなかった。父親は誰だ。あの母上が浮気をしていたのか、と衝撃を受けるヴィム。慌てて部屋を飛び出し、母のいる寝室へ向かった。
「母上っ!」
「っ! まあ、なんですか騒々しい。」
勢いよく扉が開くとヴィムは、休んでいる母の元へ足を進める。母は驚いて目を丸くしていた。
「妊娠とは、どういうことですか!」
「そのように大きな声を出さないでちょうだい。体に障りますよ。」
「母上!」
詰め寄るも、どこか気もそぞろな母に苛立つヴィムは自然と声が大きくなる。
「だって仕方ないでしょう。フーゴが居なくなってしまうんだから。」
「……は?」
「代わりがいるでしょう? この子が新しい我が家の三男よ。」
背筋がゾッとして鳥肌が立った。
「だ、だとしても……父親は、誰なんですか! これ以上の醜聞は……困るんです!」
「この子の? ちちおや? そうね、そう、ヴィムには言ってなかったわね。前にあの子の件でね、警備隊かしら? 手紙が来て。行ったのよ。来ないと、死んじゃうって書いてあったから。行ったの。そしたら、あの子がいて……。」
たどたどしく話し出す母を見つめるヴィム。よく見ると震えているようだった。
思い出すのも怖いような思いをしたのか、と嫌な予感が走る。
「っ……!」
言葉にならない悲鳴を飲み込むヴィム。
これ以上聞いてはいけないと心が警鐘を鳴らす。
「は、はうえ」
母は、もう、おかしくなってしまったのだと確信する。
フーゴは強制労働施設で殺人を犯し脱走したと報告を受けた。そしてアイブリンガー侯爵の結婚式が行われた日に王都で捕まったという報告も聞いた。
その後、警備隊舎の地下牢に閉じ込めて居たはずが、何者かが手引して脱走したという知らせが来た。我が家が疑われたが、そんなことはしていないと屋敷中を解放し無実を晴らしたところだ。
恐らく母を呼び出し人道に叛くようなことをさせたのはフーゴを脱走させた者だろう。……我が家に対する怨恨。
と、なれば、相手は……。
しかしヴィムは、この件にはもう触れないほうがいいだろうと思った。相手が強大すぎる。バーデン家を守るためには、煮え湯を飲まねばならないだろう。
母は、父の元へ送ろうと決意した。この状態を見て父が怒り狂うことは明白だが、王都のバーデン家には置いておけない。ここから離れたところで、なんとか立ち直って欲しい。ヴィムはそう願うのだった。
※2022/09/29 運営からのご指摘で性描写を大幅に変更しました。
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