第二話 巫女姫は裏垢女子になってその後、パパ活する
私がタケシ様の家で暮らすようになってから、一ヶ月が過ぎた。
彼は変わらず優しく面倒を見てくれる。
房事も毎晩行っていた。
それだけすれば、私もだんだん良くなってくる。
タケシ様の名前を叫びながら昇りつめるようになっていた。
「ヴィヴィアン、お願いがあるんだけどさぁ」
タケシ様がにじり寄ってきた。
「はい、何でしょう?」
「ヴィヴィアンを養うのにお金がかかってるんだよね。それで、少しはヴィヴィアンにもお金を稼いでほしいんだよ」
「申し訳ありません。タケシ様のお世話になりっぱなしで。私にできることなら何でもします」
「そう言ってもらえると助かるよ。それで、裏垢女子をやってみない?」
「裏垢女子ですか……。それはどんなものでしょう?」
「やり方を教えてあげるよ。まずはツブヤイッターでアカウントを作って……」
タケシ様にやり方を教えてもらいながら、PC画面を操作する。
スマホというものはまだ持っていないので、PCの使い方を覚えてやらないといけないらしい。
「このデジカメでえっちぃ写真を撮ってツブヤイッターで投稿すればいいんだよ」
「恥ずかしいです……」
「大丈夫だよ。顔がバレなければいいんだ」
私は言われた通りに投稿してみた。
ラブリツとフォローしてくれた人全員にマン凸するよ〜!
お小遣いくれる人は大好き!
#マン凸
#パイ凸
#裏垢女子
#裏アカ女子
#裏垢男子と繋がりたい
#PaiPaiください
#お金困ってます
「これでいいですか?」
「いいよ、いいよ。えっちぃ企画に参加すればイマジンギフト券がもらえたりするからね」
その後は、えっちぃ画像を投稿しながらフォロワーを増やしていった。
すぐにフォロワーが一千を超えたのでタケシ様に褒められた。
「DMくれた人に会いに行ってみようね。お金をもらえるからね」
私は言われたとおりにDMをくれた人で近くに住んでいる人に会いに行った。
身体を求めてくる人ばかりだった。
お金をくれる人とは身体を重ねて、また会う約束をした。
それから一ヶ月後、この日本という国に異世界転移してきてから、二ヶ月あまりが過ぎていた。
「次は、パパ活初めてみようか」
「パパ活ですか……。それはどういう?」
「パパ活サイトに登録して、お金持ちのパパを見つけてデートして報酬をもらうことだよ」
「はい」
生活の全てをタケシ様に依存しているので、お金を稼ぐためなら何でもやらなければならなかった。
「お金を稼ぐためなら頑張ります」
私は裏垢女子を続けながら、パパ活も初めた。
大学の教授というパパに会ってデートした。
九万円くれるというので身体を許したら、朝になったら五千円だけ残してホテルから消えていた。
そういう詐欺パパに会うこともあったけど、裏垢女子よりも稼げることが多かった。
私は日本人とは違う容貌でノーブルな美人だったから、すぐに人気が出た。
月極契約のパパも出来て収入が安定した。
一ヶ月後には、月収三十万円稼げるようになっていた。
日本という国に来てから三ヶ月あまりが経った頃、タケシ様は裏垢女子もパパ活もやらなくていいと言い出した。
もっと稼げる仕事を紹介するというのだ。
「ピンクサロンと言うところへ面接に行ってみようね」
「はい」
私は素直に頷いて、三日後に新宿歌歌舞伎町のピンクサロンの面接に行った。
美人で性格も擦れていない私は、すぐに採用されて働くことになった。
お客がたくさん来るのでかなり大変な仕事だった。
それでも、頑張って働いていると月収が五十万円になった。
トラブルがあったのはピンクサロンで働き始めて、二ヶ月後だった。
私の美貌にトチ狂ったお客が本番行為を求めてきたのである。
貴族令嬢の巫女姫として育てられた私は、押しに弱かった。
本番行為を許してしまったのである。
ピンクサロンで本番行為をするのは違法行為だということだった。
店長はすごく怒っていた。
罰金として百万円支払うように言われたのである。
お店はクビになった。
タケシ様に生活費として収入の殆どを渡していたので、百万円を支払うのは大変である。
「仕方ないなぁ。もっと稼げる仕事を紹介してあげるよ」
「すみません。お願いします」
私はタケシ様の優しさに感謝した。
私は歌舞伎町のソープランドで働くことになった。
研修で色々なテクニックを教えられた。
ノーブルな私は高級店でも通用すると言われて、お姫様のようなドレスを着て接客した。
脱いでからのサービスも積極的に技術を覚えてお客様に楽しんでもらった。
気がついたら月収百五十万円以上稼げるようになっていた。
ピンクサロンの罰金はすぐに払い終わって、生活に不安はなくなった。
この日本の国でも月収百五十万円は多い方だという。
収入の殆どはタケシ様に渡していて、私は小遣いとして毎月十万円を貰っていた。
タケシ様は時々、高級なブランドのバッグや宝石のアクセサリーを買ってくれるのでありがたかった。
異世界転移してこの日本の国に来たときには不安で一杯だったけど、タケシ様という優しい男と知り合って満ち足りていた。
そして、一年間が過ぎた。
最初の予定通りなら元の世界に戻れるはずである。
タケシ様のマンションで窓を開けて満月を見ていた。
そろそろゲートが開きそうだわ。
遅く帰宅したタケシ様が声をかけてくる。
「ヴィヴィアン、何をしているんだい?」
私は泣きそうな顔でタケシ様の方を見た。
「お別れですタケシ様……。私、元のルーテシア神聖王国に帰らなければなりません」
彼は色めき立った。
「ど、どういうことだ?」
私の後ろで赤く光る魔法陣が開いた。
懐かしい元の世界の魔力が流れ込んでくる。
私は涙を流しながら魔法陣に吸い込まれて消えていった。
「ヴィヴィアーンー!」
最後にタケシ様が私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
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