第5話 これを嘘と呼ばないのなら物語でもいい
私は嘘を作りました。それは誰かの手元に届くことがあります。その嘘はたのしかったりかなしかったり、こわかったりうれしかったり、ためになったり、ならなかったりします。私の嘘に付き合ってくれた人が、絵を描いたりきれいな字で書いてくれたり、壊れないようにしっかりした見た目にしてくれます。ときには飛び出してくるかもしれません。
私の嘘の世界では空はよく落ちてくるし、こわい見た目の人たちも町のなかをたのしそうに歩いています。病気は流行らないし、魔法は使えるし、人が死んでも空のどこかで見下ろしています。時々落ちてくる空の上にいくだけです。
これが一番の嘘なんですが、世界はひとつじゃないんですよ。いろんな世界があって異世界に旅立てるのです。
こうだったらいいのにな、こうなるとこわいなぁなんてことを考えながら嘘をつきます。
人を傷つけるような嘘はつきたくないけれど、傷つきやすい人も傷つきたい人も、傷がなにかわからない人も、傷に唾つけときゃ治る人も、傷をすごい力で治す人もたくさんいろんな人がいるので、ある程度は自由に好きなように嘘をついています。
これは嘘と呼ばずに物語でいい?そんな嘘つきと呼んでくれていいのに。
作り物の世界。嘘だらけの世界。そんな世界で生きて、生きているだけでは物足りないので、私は世界を作るんです。一からまた一生懸命作るのです。それが嘘でいいのです。物語でなくてもいいのです。ただ作るだけです。
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