4.5 日常回

「よぉ、悪魔」


 悪魔って呼ばれることになった。ありがたかった。名前について訊かれると、面倒だから。


「来たか、偽物」


 わたしも、オルのことをときどき偽物って呼ぶことにした。

 オルは、夕方になるとやって来る。今日は人がいないので、ふたりとも筐体に座れた。


 サイドボードを、確認する。

 彼の名前が、そこそこ出てくるようになった。


「あ」


 上位10位以内にも、alternative7804の名前。


「後で消しておかなきゃ」


「やってみろよ」


「そのまえに、本体倒さなきゃだね」


「望むところだ。おまえを倒して、本物になってやる」


「あなたはわたしに勝たない限り偽物なのよ」


 筐体に座って。

 なんとなく、動きを確認する。


「いいのか、人前で対人戦はしないんだろ?」


「それなんだけどね」


 ログイン。


「今日はここら辺によくある慣習かなんかで、間違いなく誰も来ないの。店員もいない」


「そうか。まぁ、よかったな」


「うん」


 戦闘準備完了。


「あなたは」


「俺はここにいるよ。人少ないってのが、最高の条件だし」


「そっか。まぁ、わけのわからない慣習なんてやってるときは、必ずわたしの隣にいてね」


対戦相手サンドバッグになれってんだろ」


「正解」


 5。


 4。


 3。


 2。


 1、




 戦闘開始。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る