第10話4

 町の奥、知らない場所に連れていかれた。本当に、どこなのか分からない。

 新しい筐体もない。さすがにさわらせてはもらえないらしい。


 前の筐体が、ぽつんと、ひとつだけある。


「プレインビテーショナルまでは、ここで暮らしていただきます。ランクが上昇し次第、開催を告知します」


「じゃあ、今すぐ告知して今すぐ開催してください」


「は?」


 なめてもらっては困る。

 彼女と戦った自分にとっては。

 遊びにすら、ならない。


 プレイヤーログイン。できない。ここに来る途中にログインカード没収されてる。


「てきとうに名前作りますね」


「あっ待ってください。オートログインあります」


「そうですか」


 alternative7804。7804体連続で相手を倒したアカウントのカードをなくしてしまったので、変わりに作ったアカウント。だからalternative7804。倒した数を書くなんて、自分のことながら、なんともばからしい。こんな意味のない対戦よりも、彼女との。対戦のほうが。


「終わりました」


「は?」


「トップランク全員倒しました。世界1位です」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る