第3話 自分のため

 星空を見ていると、考えが浮かんでくる。




 私は何者なのか……。




 まるで勇者のように旅をしている。しかし、勇者のような派手さはない。



 敵と戦うことはないし、姫をさらわれることもない。



 まして、目的は他人のためではなく、自分のためだ。自分が何者か知るための旅。それは何者が書いたかも知らぬ手紙から始まった。




 いつの間にか、すやすやと眠りにつき、目を開けると薄く青白い空が見える。そこへ黒いカラスがやってきて、白い紙を落とす。



 手紙だ。早速開いて読む。




「何か気づき始めたか?」




 それだけの文章だった。私は果たして、何かに気づき始めているだろうか。こんな平和すぎるほど平和な世界で。

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