第2話 平和な世界

 町に出て目についたのは商店街。野菜や魚、何でも売っている。




 剣とか銃とか、武器の類は売っていなかった。そのことになぜか少しホッとした。




 武器が必要ないことを証明するように、いきなり凶暴なモンスターに出くわすこともない。ここは平和な世界だ。





 町を抜け、森の中を進む。虫や動物たちはいても、気をつければいい。



 森を抜けると、広大な草原、丘、野山……豊かな自然が広がっていた。線路も見え、移動の便利さもありそうだった。



 そんな景色の中を私は小走りで進む。



 心地良い疲れを感じながら、時々休む。岩に腰かけたり、野原に寝転んだり。青空に白い雲が流れていく。




 ある意味では退屈だ。でもこんな景色を前から望んでいたような気もする。





 夜になると少し肌寒い。半袖を着ていた。火が欲しいと思うと、手のひらから火が出た。


 枝は拾って集めて、着火する。別に手から火が出ようと、大したことではないだろう。商店街には色々売っていた。マッチだってコンロだってチャッカマンだってライターだって。



 ただ手のひらから火が出るのは、魔法のようだった。あるいは手品か。でも、手品じゃない。

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