フィリピン編:後日談
カツアゲにあった後、フィリピンの取材旅行は滞りなく進んだ。入るお店で毎回心配されるのが少し申し訳なくなりつつも、しっかり癒やされてカツアゲにあったことなど忘れていた。
しかし、左瞼の皮がボロボロになり、数ヶ月治らなかった。目の周囲の皮膚というのは、厄介なものだ。カサブタはできても薄く、そのうえ「顔を洗う」「シャワーを浴びる」という日常の動作ですぐに剥がれてしまう。カサブタができては剥がれ、またできては剥がれを数ヶ月繰り返してしまった。
そして、左目の周囲だけ色素沈着で少し黒くなり、ずっとクマができている人みたいになってしまった。
それはいいが、納得いかなかったのがフィリピン取材旅行により執筆した記事がお蔵入りになったことだ。カツアゲにあったことも教訓として、そして笑い話として記載したが、「過激すぎる」とのことで社長からNGが入ってしまったのだ。
社長とは友人だ。ここでは、ほかのクライアントの社長と区別するため、M社長としよう。
M社長はディープなものを取材するという企画を承認しておきながら、過激すぎると駄目と言う。この塩梅が非常に難しい。たいてい、ディープなところに行けば過激なことが起きる。読者もその過激さを期待しているはずだ。
読者を納得させる程度に過激で、SEO的に問題のない程度にはマイルドでなければならない。
そのためか、ここでこれから語る旅の多くは、取材内容を見た段階でお蔵入りになってしまっている。M社長……まさか節税のために……?と、要らん勘ぐりをしてしまうこともあった。
なお、本日記の内容は全て承諾を得ている。
これは、言わば供養だ。
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