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同期会が先だった。

大きめの居酒屋を貸切って行われた。


咲丘さんもいた。

男子と女子はそれぞれグループを作って固まっていた。

咲丘さんは、女子グループの一番奥にいる。


林がやっぱり主導していた。

さらさらと挨拶のようなことを言って、乾杯となった。

こういったところは卒がない。

会社の行事と違って退屈しない。


すこしづつ男女がばらけだした。

僕はとりあえず北条と話しながら、特に興味がないといった風を装ってまだ残っている女子グループの辺りを見た。

だいぶ距離がある。

北条とも話す話題が尽きたころ、林が回ってきて、

「おいおい、男でしゃべってたってつまらないぞ。」

といって僕と北条の手をひっぱって女子グループの近くまで連れて行った。

抵抗するでもなくなんとなく移動したあと、林が適当に受けるようなことを言って、場をなごまそうとする。

女子のひとりがそれに乗ってちょっとは場がゆるんだ。


その時、咲丘さんと目が合った。


電車の時と違って、表情が穏やかだった。

何かをしゃべりたかったが、間に5人は、人がいる。

咲丘さんの隣にいたさっきの女子が僕に話しかけてきた。

「面接の時同じグループだったよね。」

確かに見覚えがある。

「そういえば。」

「どこ?」

「え!?」

「配属先」

「ああ。xxです。」


快活な女性は苦手だ。

加えて右にいる咲丘さんが気になって話が入ってこない。

「さきおの隣じゃん。」

咲丘さんはにこっと笑った。

初めて笑顔を見た。


ここが話すチャンスだと思ったのに、握手会の時のように舞い上がってしまい、なにもできなかった。

そのあとは、話題が移ってしまった。


"さきお"。そう呼ばれてるのか。

そのうち別の数名がやってきて女子と話だし、僕と北条はまたふたりきりになった。


「かわいい子がいないよね。」

北条は、うまく女子と絡めなかったからか、強がりを言っている。

「そうかな。」

僕は正直にそう返事をした。


北条は、怪訝そうな顔をして、その話題はそれで終わりになった。

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