8

山本さんの家で次のチェキ会について話していた。ジローさんも居た。

今までチェキ会がなかったのは、ななちゃんのいるグループは、人数も多く、チェキ会は実施が難しいと言われていたからだ。

とジローさんが説明してくれた。

「話せるんですか。」

「チェキを撮ったあと、サインを書くのであればその時間は話せるよ。」

ジローさんの好きなグループでは、サインありのチェキ会がいつも行われているということだった。

「そうですか。緊張しそうだなあ。」

「二回握手会行ったんでしょ。」

「行きましたけど、まだまだ全然緊張します。」

「イチローほどじゃないでしょ。」と言って、笑った。

「お前はいいよな。緊張しなくて。」イチローさんは、ふてくされたようにそう言った。

不思議な双子だ。性格が全く違う。そういうものなのか。

「緊張するかもだけど、行かないとな」とイチローさんは何か決心でもしたように言う。

「そうですね。行かないとです。」僕も同じような気持ちで言った。

「なんだか大げさだなあ」また、ジローさんが笑う。

今度は三人で笑った。

いやー、決心しないと。ほんとにそう思う。

もっといっぱい会って、認知されたいし。

「なんだ考えこんじゃったか。」ジローさんに顔をまじまじとみられる。

「ジローさんは、今週イベントないんですか。」

今週は、コンサートが近くてイベントがないのだという。

そういえば、ジローさんが家にずっといるのは珍しい。

なんか手持無沙汰で暇そうにしてる。

「暇なんでしょ。」

「そりゃそうだ。コンサートが待ち遠しいよ。」

それからひとしきりコンサートの話で盛り上がった。

ななちゃんのグループとは、だいぶコンサートの構成も違うようだ。

ちょっとジローさん推しのグループにも行きたくなった。

じゃあチェキ会で会いましょうとイチローさんと約束して、山本さん宅をあとにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る