第16話
結局生前の名前を思い出せないまま、結婚することになりました。
「ブーブー、今度また名前を思い出そうね。」
「はい。」
「それで今日はお店がおやすみなんでしょう。
なにかするの?」
「本日は、街に繰り出そうかと思います。
いくらか、寄り合いで顔出しをしなくてはいけませんからね。」
「飲み会みたいなもの?」
実際そんなものだ。
近状報告と情勢の確認などをする人たちも居るが、飲む口実を欲しい人たちが集まることの方が多い。
「まあ、私が行くところは生産系のギルドの寄り合いだから真面目な話も多いかな。」
「一緒に行っていいの?」
「結婚の報告も兼ねてね。
もしかしたら元婚約者の人も来るかもしれないけど、行きたくなければいいよ。」
ここは宣戦布告のチャンス、来るならどんとこい。
僕が夫婦だって魅せ付けに行こう。
絶対に負けられない戦いを逃げるなんてことは絶対にしたくない。
「行くよ。
僕たちの新婚っぷりを見てもらわないと。
もう、エレンツォは僕のモノって魅せ付けに行かないと。」
「畏まりました。
では町の案内も兼ねてデートをしましょうか。
何分初めてなので、エスコートできるかは不安ですが。」
「婚約者の人とはしていないの?」
婚約者、許嫁と呼ばれるような人が居てデートをしたことがないのは、ちょっとおかしい気がした。
勝手に商人、豪商の息子とか思っていたけど、それとももっと大きい貴族とかかな。
「ああ、していないねえ。
所謂、幼馴染という奴で、今世で知った、知り過ぎている間柄だから必要ないって互いに言っていたからね。
私が少々、バカをやらかして家から追い出されて親子の縁を切られたのを境に許嫁も解消されたからねえ。」
「なんとなくわかったけど。」
許嫁さん可哀想だなって同情しちゃった。
敵地に向かうのに、同情するのは如何なものかと思ったけど、ここはちょっと怒っておかないと思った。
「いくら幼馴染だからと言って、デートしてあげないのは違うでしょ。
きちんとデートをしてあげないから、こうやって付きまとわれたんじゃない?」
「そう言われるとぐうの音もない。」
「ちなみに、どのくらいの頻度で来るの?」
「週に1回は来るかな。」
週に1回は来るってことは絶対気があるじゃん。
まだ見ぬ敵にガルルルルと唸りそうな虎の幻影が見えている。
「なら、1回だけなら許すから私と一緒にその許嫁ともデートをすること。」
「え?
なんで?」
「デートを二人でしないと負けた気がするから。
これには口を出さないで、僕と君の幼馴染との女の戦いだから。」
男性と女性では考えることが違うのか、苦笑いしかエレンツォには浮かべることが出来なかった。
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スライム道
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