第12話

「あのお客さんには何をお出しするんですか?」


「ガレットですね。

 ブルガリア風のガレットですからとてもシンプルな生地をお楽しみいただくタイプのですからホットケーキやパンケーキを薄くしているクレープ以上の厚さのモノですね。」


「オシャレー。」


 インスタ映えするよね。

 ガレットってちょくちょく見てたし。


「オシャレかどうかは私がおじさんだったのでよくわかりませんが。

 蕎麦粉のガレットは難しいモノですよ。

 蕎麦粉は主食として生産するには気難しいモノもありますし、私のように生産から行っている人からすると配合だったり面倒なモノが多々ありますね。」


「オシャレには犠牲が付き物だと思うけど。」


「ここはオシャレさよりもゆったりとした時間を提供しておりますからね。」


「愛知県にあるカフェチェーンみたいな。

 コーヒーの味じゃなくてくつろぐ空間がコンセプトなんだね。」


 某愛知県のカフェチェーンはコーヒーよりもくつろげる空間にこそ重きを置かれている。

 ここはそのさらに上を行く。

 やろうと思えば姿勢を崩してもいいように椅子のリクライニングが可能なっている。

 ふかふかのソファーはもちろんのこと、足掛けなども完備している。

 くつろぐための空間を提供している。

 ここのカフェは一人当たり店内在住時間が3時間と非常に長い。


 勉学に励む人も、居なくはないが基本はゆったりとした時間を過ごしている。

 ここまで、ゆったりとした時間を提供するためのカフェだと思わされた。


「さて、今回お出しするのは貴族でもない常連の方ですので、料理に対する説明は不要です。

 もし失敗しても私がフォローしますから、きちんと対応してみてください。」


 私って初めてのお使いをする系のキャラだっけ?

 リスナーさんたちからもお馬鹿ではあるけど失敗は少ないキャラって言われていたんだけど。

 初めて教えるから心配なのかな?


「私だってそれくらいできますよ。」


「では頼みましたよ。」


 結構心配そうな顔してたけど。


 先の魔導士のお姉さんの下に行く。

 彼女を見ると先に頼んでいたビーカーに入っているコーヒーを飲んでいたけど。

 そこまで緊張することだろうか?


「あら?

 今日はあ、なたが料理をお持ちするのね。

 珍しいわね。

 マスターをいじるのがと、ても楽しみなのに。」


 あ、エレンツォさんの事をいじるのが好きな人なんだ。


「マスターに魔導士ギルドに来ないかって誘ってるんだけど、一向に交わされちゃってねえ。

 あなたも来てみる?

 魔術なら入ってからも教えて上げられるわよ。」


「ごめんなさい。

 私はしばらくマスターの下で働くつもりなので。」


「あら、ら振られちゃったわ。

 いつでも言っ、てね。

 あ、とマスターに嫁ならす、ぐに行くって伝えてね。」


 だにぃ!

 この人、まさか。


「うふ、ふ。

 ほ、んき、よ。」


 好意に関して鈍感な人では無いのなら敢えて避けたくて私を入れた?

 でもライバル認定必須!

 あれ?

 僕、不抹茶さんが好き?


 不抹茶さんって仕事しながら僕の事応援してくれたし、僕の事もこの姿だったけど気付いてくれたときとっても嬉しかった。

 初めて会った時もしかしたらそうだったらいいなって思ってたってことはとっても好き?


「わ、たし、と同じ、リンゴね。」


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スライム道

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