第53話 闇夜は続く

 さて用意した料理も全て無くなり夜明けが近いてきた。しかし、収穫祭で浮かれているみんなはまだまだ盛り上がっている。

〈明日から本格的に冬の準備するから、とりあえずみんな昼ぐらいまで…

 ドーーーン

 聖樹の方向から大きな音がした。土煙が立っていてよく見えない。ここは分化した姿で偵察しに行くとして…

〈みんなは僕の近くに寄って!今グルメが偵察に行ってくれてるから状況が分かるまでは周辺を見ながら待機!

「俺も行ってもいいかメグル。」

〈グルメがもう行っちゃってて、多分ハルくんの方が速いけどここから聖樹も近いし追いつく頃にはもう到着するぐらいだろうからあまり意味はないと思う。それに彼の腕前も確かだから。

 そんな説明をしている間に聖樹の近くに寄ることができた。どうやら聖樹が折れて倒れたらしい。そして、その折れた面からなにやら一つの禍々しい芽が生えていた。そう確認したその瞬間、邪気のような何かが森の中を。森の外までも走っていった。この邪気に呼応するように聖樹だった物の周りに魔物がどっと湧き出してきた。

〈グルメから伝言。聖樹が折れ、その周りに魔物が大量発生!そしてあらゆる方向に拡散しているそうだ。グルメは逃げることには成功したがこっちには迎えそうにないとのことだ。距離はとったから心配はしなくてもいい。だそうだ。彼が心配だけど今はここを守る準備をしよう。とりあえず僕が魔法で壁を作って進路を制限するから戦闘ができるものはそこに集まって。加工班、素材班は魔法以外で城壁を作る準備を頼む。大きな壁を魔法で作るとなると他の魔法が使えなくなるから僕が魔法を使って攻撃するためにもなるべく早くお願い!

「「「了解!!!」」」

 そしたら、分化を解き一番得意な樹魔法で大きな壁を聖樹の方に広がる八の字の形に作っていく。魔力の限界まで出そうとしたら予想より大きくできそうだったのでキープして置こうかと思ったが狭い口の方に高台をつけ守りやすくした。これで僕ができるのは小規模な魔法ぐらいになった。後はみんなを信じるだけだ。

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