第51話 祭 前半

 季節は巡り秋になった。僕の周りには多くの建物が建ち、農作物の収穫も一年目にも関わらず多く豊作と言えるほどだった。そして僕の提案で今日収穫祭を行うことになった。これはみんなの英気を養うことと、グルメとして皆の信用を得て普段聞きづらい情報を聞き出すためのイベントとして用意したものだ。

 さて、祭に振る舞う料理を作っていくことにしよう。まず一番収穫量が多かったじゃがいもの料理を作ろう。作るのはフライドポテト!まずは細長く縦にじゃがいもを切っていく。物資も充実してきて包丁もかなり流通してきたのだが一気に多くの量を切るために今回は魔法を使って切っていく。魔力を縦に一定間隔で出力して切断できるように高速に振動させそこにじゃがいもを投入していく。まず水でじゃがいもを回転させ魔力を出している空間に通して皮を剥いていく。次に台の上に置いた大量のじゃがいもに向けて魔力を出している空間を移動させ切断していく。切ったじゃがいもは水に浸して祭りの直前に揚げて完成になる。

 次にまだまだ食料の多くを占めている肉を使った料理を作ろう。香草焼きにしていこう。森の中で見つけた良い匂いの草をまぶして焼いていく。一度試してえぐみや苦味などが移らないことを確認しているので、その時の要領で量だけ増やして焼いていく。味付けは塩だけで充分なはず。充分焼けた物から祭りのために特別に作った巨大な皿に盛っていく。

 その他にも収穫した野菜に合うようなソースを作って料理は完成した。

 そして日が暮れ祭りの時間がやってきた。ここから夜明けまで祭りが続く。しかし今森の中は沈黙に包まれていた。みんな僕の一声を待っている。そんな沈黙であった。

<みんな!今から収穫祭が始まるわけだけど今年は間に合わなくてお酒は出来なかった。けど美味しい食べ物をみんなで食べる雰囲気で酔えるんじゃないかなって思ってる!さあ夜明けまで収穫を祝って楽しもう!

「「「おーーーー!!!」」」



「さあどうですか僕の作った料理は。」

 料理に一目散に飛んで行った人たちに感想を聞く。

「最高だよ!どうやって作ったんだ。教えてくれよ。毎日食べたいからな。」

「いいよ!結構、簡単にできるから是非作って欲しいな。」

 どうやら好評らしい。これは嬉しいね。そこからしばらく料理トークになった。この料理の作り方からいつも作っている料理まで様々な話で盛り上がった。

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