第49話 武術

 今さっき調べた武術二つを試していこう。

 まずは魔装術。この武術は体に魔力を纏って自分自身を強化していくというものである。メジャーな流派は二つあり、全体的に纏うものと局所的に纏うものに分かれる。恐らく、魔力の量が多い者ほど、どちらを使うべきかの正解が見えなくなってくるのではないかと思う。多い魔力を体の全体に纏うことが出来ると隙のない構えになるはずだし、その多くの魔力を局所的に集中させることで更に大きな効果を発揮するだろう。しかし、僕の分化を使っているという状況下では局所的に魔力を纏うことが正解となる。攻撃をくらっても死ぬことはない分身において防御は必要なくノーガードで攻撃の効率を求めていくことが大事になっていく。論理的なことはここまでにしておいて実践といこう。

 石の壁を出す。この石はかなり硬く、ただ魔力をぶつけるだけでは壊れない。まずは足に魔力を纏わせて感覚を掴もう。片足ずつ踏み切るタイミングで切り替えていく。

 ヒュー。ヒュー。と風を切る音が聞こえてくるとともに最高速度というか、空気抵抗が強すぎてこれ以上は加速できなくなってしまった。この勢いで足を蹴ると…

 あれ、壊れない。硬くしすぎたか?いやでも、これを壊せるぐらいの力があった方がいいだろう。要検討だな。

 続いて魔武具術。これは魔法で武器を作って戦うというもので、その性質上、流派は武器の種類の数だけあるということになる。恐らく多くの人はこの武術を始める時は実際に魔法を使わずとも使える武器で練習して、イメージを掴むところからなのだろう。しかし、この森の中にはそんな立派な武器はない。さらに不幸なことに前世で武器と言えるようなものはせいぜい包丁ぐらいであってイメージが全く湧かない。まあ百聞は一見にしかずとも言うしやってみようか。

 武器を想像して創造する訳だけどまずは剣を試してみよう。持ち手がこうあって、刃の部分はどちらも切れるように…

 できたけど不恰好だ。切れ味の方は近くの木に向かって振って試してみよう。

 ピュー。

 あれ、刃が飛んでいって刺さった。そして刺さった跡だけ残って消えてしまった。なかなかうまくいかないな。

 まあ、千里の道も一歩からと言いますし、コツコツ練習していこう。そして思った両方極めて同時に使うのが一番いいね。それだけはわかった。

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