第24話 アルバス、竜騎士と魔物退治に行く
ルルアリアの呪いについての手がかりとエレノアに会うため、僕は冒険者ギルドに顔を出す。
冒険者ギルドに行くと、ガヤガヤとどこか騒がしい雰囲気だった。僕はそんな中で見知った姿を見つける。
「あ、エ……竜騎士さん」
「む、アルバス君か……。丁度いい、彼を連れて行く。それで納得してはもらえないか? ギルドマスター」
僕は竜騎士——エレインに腕を引っ張られる。受付にはエレノアがいた。
「ふむ、アルバスであれば問題なかろう。すまんなアルバス、ちと竜騎士に付き合ってくれんかの?」
「は、はあ……。付き合うって何の依頼にですか?」
冒険者最高位のブラックダイヤモンドの竜騎士であれば、どんな依頼でも一人で解決出来そうなものだが……シルバーの僕に何か用でもあるのだろうか?
「王都近辺の鉱山に魔物が現れたと報告があってね。規模はトレインには遠く及ばないが、それでも一体強力な魔物がいるらしい。
鉱山になると私の大規模魔法とは噛み合わせが悪くてね、アルバス君の力を借りたいと思うんだ」
「なるほど、そういう理由だったんですね」
エレインの魔法はトレインの時に見たことある。巨大な火球を空から大量に降らせる爆撃だ。
鉱山となれば入り組んでいるし、地下に入り込まれたりした場合効果が薄いだろう。
「竜騎士はとんでもなく強いが、とんでもなく二次被害がでかいからのぅ。まあ無茶せんように見ておいてくれ。ちゃんと、約束の物も用意してあるからの」
「そう言われると少し言い返したくなるが……事実である以上何も言えないな。頼む、アルバス君」
「僕の力が必要ということでしたら大丈夫ですよ。任せてください」
最近覚えた魔法の中で、まだまだ試していないものは沢山ある。
入り組んだ地形での音属性魔法の効力も知りたいし、これはいい機会だろう。それに強力な魔物って言うくらいだ。もしかしたら呪いの手がかりになるかも……。
「頼もしい返事だ。では早速行こう。準備はできているかい?」
「はい出来ています」
僕はエレインと共に馬車に乗って鉱山へと向かう。
到着した鉱山は随分と静けさに満ちていた。魔物が現れたということで、一般人は避難している。
ここにいるのは僕とエレイン、そしてもう一人。先発で偵察に来ていた冒険者だ。
「この先に件の魔物がいます。アンデットの類のようですが少し様子がおかしくて……」
「様子がおかしい? どういうことだ?」
「はい、どうやら鉱山で何かを探しているみたいです。アンデットにそんな知性ないと思うのですが」
偵察の冒険者曰く、鉱山に現れた魔物達は出現時は人を襲っていたが、人がいなくなってからは山を降りることはせず、一心不乱になにかを探しているとのことだ。
アンデットにそんなことが出来る知性は存在しない。となると強力な魔物が指示を出しているとかそういうのだろうか?
「万が一があるかもしれない。警戒はしておこう。アルバス君、行くぞ」
「はい、竜騎士さん」
僕とエレインはそう言って、先程までいた物陰からアンデット達の前に現れる。アンデット達は僕らに気がつくが、行動が遅い。
『
初手の爆音波でアンデット達を一網打尽にしていく。
「相変わらず凄まじい威力だ。それに魔物しかダメージ与えないところも中々……。だが」
「ええ。固いのが何匹かいますね」
奥の方にある洞窟から、身長2メートル以上の巨大なアンデットが何体か現れる。そして、更に奥には身長4メートルを超えるであろう骸骨の騎士がいた。
「ジャイアント・アンデットとデスナイトか。恐らく、アンデット達の行動を操っているのはデスナイトだろう。知性が高く、魔法も使ってくる。気をつけろ」
「はい、あの様子では動かなさそうですが……!?」
デスナイトをよく見て、僕は感じる。
デスナイトから、ルルアリアの呪いと同じ気配を感じるのだ。もしかしてこいつが……?
「どうしたアルバス君? 何か気になることでも?」
「い、いえ。何でもありません。先ずは手前のジャイアント・アンデットからでいいですか?」
「ああ。ジャイアントアンデットとデスナイトを同時に相手取るのは美味しくないからな。まああれの相手は私に任せてくれ。アルバス君ばかりに任せるわけにもいかないからな」
竜騎士が腰から2本の剣を抜く。トレインの時は一瞬しか見ることが出来なかったエレインの二刀流。
『剣よ、火を纏え。
刀身に纏う赤い火。それは勢いよく噴射されている。
次の瞬間、僕の目の前からエレインが消えた。右手に持った剣の刀身を、自分の身体の後方に向けることで推進力として高速移動したのだ。
「ゴォ!?」
ジャイアントアンデットが驚くのも一瞬。
エレインの左手の剣が一薙ぎでジャイアントアンデットたちの身体を両断する。
少し離れたジャイアントアンデット達が、それを見てエレインに突撃をかける。エレインは左手の剣を腰まで引き、ジャイアントアンデットへ向けて突き攻撃を放つ。
「ふんっ!!」
刀身の火が噴出されて、エレインの突きは一撃でジャイアントアンデット達を貫き、奥にいるデスナイトを攻撃する……!
しかし。
『ヨワイ』
エレインの突きをデスナイトは言葉と共に盾で弾く。
「……随分と強そうじゃないか。アルバス君、気をつけろ」
「ええ。それは感じています」
僕らは目の前のデスナイトに底知れない脅威を感じていた。
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