第3章:見えてきたもの12
「すいませーん、ノーシュの者です。大火事事件の再調査をしておりまして、ご協力をお願いしているんですけどー」
ダグラスでの聞き込み調査が始まった。しかし、当初の予定どうり、犯罪者の事もあって、自分達に話してくれる人の数は今までめぐってきた街の中で一番少なかった。
「誰に話しかけてきてるんだお前ぇー!俺が誰だかわかってんのかゴルァ!」
この町に住んでる人達も、自分達調査隊の事が気になっている人はいるようで、そういう人達は比較的穏やかに話しかけてくれた。大火事事件の事も、知っている人は知っていた。その事は大変嬉しいなと思った。十二年も前なのでうっすらとしか覚えていなかったが……。
「……はぁ……」
だが結局、全滅。犯人の手掛かりは見つけられなかった。まぁ、犯人はここにはいないだろうとは思っていたが、それでも怪しい何かは見つけたかった。シグマは次どこにいけばいいのかという気持ちで、ため息が出る。
「う~ん……」
「ダメやったか……」
マルクもアリアも、ここにいないとなると……と頭をひねり考え込む。ダグラスは場所が場所なので色々言われる事が多い所なのだ。決して、何もない平和な所じゃない。何かを調べるなら行った方がいい所だし、現にシグマ達以外の何人ものベアトリウス人が足を運んできた記録があるのだ。なのに何もなかった。この事実は、素直にショックだった。
「……」
そんなシグマ達を、遠くから見つめる謎の若い男が一人。しかし、当然、遠くにいるシグマ達は存在に気づかなかった。
「——こうなってくるとしんどくなってくるでぇ?かなり探すのが難しくなる。まぁ範囲が絞れたとも言えるけど」
ベアトリウスの中で、一番有用な町がチェックされ、それがなし、と判断された。この結果は、調査の仕方を改めるのに十分な情報だった。つい先日酒場で会議をしたばかりではあるのだが。
「俺としては、犯罪者達が皆から言われている通りの人達で助かったけどな。そりゃこの中にはいないよなという感じで」
ダグラスでうろついている犯罪者達は、大火事事件当時、牢屋に入っていた人達も多いので、必然的にアリバイがある。なので、怪しい人物候補には上がっても、肝心な大火事事件の犯人には程遠かった。それでも、あの大火事事件はベアトリウスでもよく知られた事件なので、話しかける意味はあった。
「でもここで有用な情報がないとくると……」
「あそこに行くしかないわね……」
「あそこ?」
アリアが言った言葉に、メイが食いつく。あそことはいったいなんなのか。
「アレスハデス監獄所……」
「どういう所なんですか、そこは……?」
マイニィが、淡々と質問をする。
「この町の犯罪者達を始め、ベアトリウス中の犯罪者が収容されている刑務所よ。丁度ここから北にある。ルンバ方面にあるの。近くまで行った事があるなら看板があるはずだから、ああ、あそこかってわかるはず」
「いや、わかりません……」
「わい達は線路に沿って城下町まで来た。西からここには来てへん」
アレスハデスはノーシュの国境からそう遠くない。もちろん、ベアトリウスの首都アギスバベルからも。しかしこれはあくまで犯罪者を集めやすい土地に過ぎない。人がたくさんいて、集めやすくもあり、それでいてなおかつ人があまりいないウェイジー地帯の場所にアレスハデス監獄所はあるのだ。なので、西からやってきたシグマ達は必然的に行ってはいなくても、アリア達首都住みから見れば、通ってきた事になる。
「列車の事でマキナと出会ったから、近くまでいたのは確かみたいね」
なるほどな、と納得するノーシュ組。
「その監獄所はそんなに有名なんですか?」
シグマが気になって質問する。
「有名も何も、アレスハデス監獄所から一番近い町がこのダグラスなのよ?あそこと行き来してるこの町の犯罪者は何人かいるはずよ」
「かなり厳重な警備らしいで。刑罰も厳しく、あそこで更生できなかった奴は知らんというのがベアトリウスの方針や」
「まぁ、ダグラスが若干無法地帯なのはそういう理由だな」
「こ、怖い……」
情報屋のマルクがノーシュ人なのに知っているのは当然として、アリアもルーカスも、流石ベアトリウス人という感じの事を言ってくる。シグマは(もちろんメイも)流石にベアトリウスの地名まで事細かに(ランドルフ達から教えられて)覚えているわけじゃないので(特にシグマは城の中で育ったため)、比較的ノーシュから近い場所にあるアレスハデスであっても、その存在はわからなかった。
「人殺しとか泥棒とか、犯罪にも色々な種類、色々な事情があるでしょ?だから大火事事件の場合、犯罪者の方が、有用そうな情報が集められるんじゃないかと思ってね。このダグラスよりもっと危険だけどね」
「いうて集められるか?絶対に変に思われるやん」
マルクが冷静に意見を言う。
「大火事事件の犯人が名乗ってくれないんだからしょうがないでしょ。大体隠れている人を探し当てるっていうのに、普通に調べてどうすんのよ?」
「いくら極悪犯罪者ばかり集められてるって言うても、可能性は低そうやんか。今さっきやった聞き込みで分かった事やろ?」
犯罪者仲間情報に、大火事事件の事が入っているか否か。ようはそういう事だ。それを頼りにしてるのもなんだかなぁとマルクは言いたいのだ。
「それでも事件を解決させたいなら行くしかないわ。この国で徹底的に調べるっていう事はこういう事よ」
ノーシュでの再調査も事前にランドルフから言われていた通り、一度自分達がやったからあまり有用な情報はないと思うと言われ、実際その通りだった。犯人はベアトリウス方面に逃げたというのもあくまでランドルフ達が目聞きした事に過ぎない。たとえ当時追いかけても、肝心の犯人は静かになるまでどこかに隠れていた事だろう。それがわかったからランドルフ達は追いかけずに戻って来たのだ。なので、ベアトリウスでも普通の町を探しても有用な情報はないと思った方がいいのだ。
それに、あくまで願望だが、マキナが少しは大火事事件の事を聞いて回っているだろう。聞きまわっている事を前提に考えると、わざわざベアトリウスの町をノーシュのように回る必要はないのだ。となると……。
「シグマ……」
メイは心配しながら、シグマが話し出すのを待っていた。
「……うん。——僕はアレスハデス監獄所に行こうと思う!」
シグマのこの宣言は、少しばかりだが調査隊全体の士気を上げた。今まで本人が一番落ち込んでいたからである。
「あんたの言う事はわかってるわ、シグマ。だからわざわざ口にしたんだし」
「でも言ってどうなるかですよ問題は。多少の戦闘は覚悟した方が良いかもしれません」
慌てない、焦らない。イリーナが皆に入念に忠告する。
「せやなぁ、あいつらは容赦なく暴れるからなぁ……」
「見張りの兵士達は許可証を見せれば協力してくれるだろう。ただ、もし脱獄者を出したらベアトリウスからは苦言を言われるだろうな」
「だ、脱獄……!」
「ベアトリウスがあたし達があの監獄所に行かない想定をしているとは思えないから、そこまで強くは言われないとは思うんだけどね」
「とにかく戦闘の準備はしておいた方がええ。知らないとはっきり答えるとも思えんし」
「なぜですか?」
「嫌がらせで嘘を言う可能性があるからよ。これでどういう人達がいるか、なんとなく想像つくんじゃないかしら?」
「……」
面倒な事に巻き込まれたくないので、とっさに普段はしない事、言わない事を言うのはどこの世界でもよくある事なのだ。ましてや犯罪者ならなおさら。そもそもなんでそっちの事情にただで協力しなければならないんだと思っている事だろう。
「わ、分かりました……」
今まで話しかけてきた人達とはとにかく根本的な部分で違うんだという事をシグマは頭に叩きいれ、アレスハデスに足を踏み入れる覚悟を決めた。
「あそこは他の町からも犯罪者が集まっている所なんだから、なにかしら別の情報を聞きたい所ね。どういう性格、価値観の人がこの国によく入ってくるのかだけでも有用なはず」
「ああ、そうだな。あの監獄所に行ったら、ベアトリウス側も何かしらの対応をするために来るからな。俺としてははっきりとベアトリウスの軍人全員に調査したい所だが、これが良い機会にはならないだろう」
「皆、準備は良い?準備が出来ているのならアレスハデス監獄所に出発—— 」
「た、助けてくださあああああああああああい!」
「な、なんですか!?」
次の目的地が決まった直後だった。突如、女性の叫び声がダグラス全体に響きわたる。この町で何も起きないとは思っていないが、調査もスムーズに終えたので、今回はたまたま起きないのかと思っていた。どうやらその感想は違かったようだ。
「へっ、あばよっ!」
「こっ、この人泥棒です!刃物をつきつけられて、金をよこせと!」
「何ッ!?」
「シグマ!」
「うん、助けるよ!」
話を聞き、真っ先に動き出す。いつも通りの仕事を他国でやる。それだけの事だ。
「仕方ない……俺達も助けるか」
「ええ、人道的に無視はできないからね」
「そこのお前、止まれ!」
シグマが強盗の目の前に行き静止させる。
「っち、今日は見張りが仕事しやがるな……」
「(あたし達を見張りだと思っているのは好都合ね。このままそう思わせておきましょう)」
「(まぁ、ダグラスの普通の住民の味方なのは確かやな)」
「や~だねぇ!たまたま運が悪いだけで捕まってたまるかっつの!」
「こいつを捕まえて、そのままアレスハデスに行きましょう」
「はい!」
多勢に無勢なはずだが、強盗はそのまま逃げ切ろうとしているようだ。逃げ足に自信があるのだろうか。
「悪いが、この数で負けるわけにはいかない!大人しく捕まってもらうぞ!」
シグマ達は盗賊を捕まえるために走り出した。
ダグラスで急に現れた盗賊は、それはそれはいとも簡単に捕まった。犯罪者がいるからこそ、彼らを危険視して怯えている雑貨屋の商品は簡単に盗めるはず。そう思っていたようだ。実際簡単に盗めたようだが、捕まらずに逃げられると思っていたらしい。わかりやすい傲慢だった。周囲をよく確認しない事が、そのまま捕まる原因になった。なぜなら自分達調査隊が、今日たまたまこの町にいるからである。
「畜生……」
「ふぅ~……」
「まずは、やな。丸く収まってよかった」
「ええ、特に変な事が起きなくてよかったです」
自分達はさっさとアレスハデスに行きたいのだ。シグマは素早く気持ちを切り替える。
「……チッ……」
「……うん……。周りの犯罪者達を見渡しても、厄介な奴らだと思われているようだ。これでダグラスにいる間は少し動きやすくなるだろう」
ルーカスは、自分達の存在が割の犯罪者達にどう思われているか確認した。予想通り近づいてこないのだが。一般人にも。犯罪をしないための抑止力になっているのは間違いなかった。
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、当然の事をしたまでです」
「また、襲われていたら店がつぶれそうで……本当に助かりました!お金がないのでお礼はどうすればいいか……」
「いいですよ、お礼なんて」
「えっ、でも……」
「僕達は、人としてすべき事をしたまでですから」
ノーシュではこれが当たり前なのだ。
「まぁ、ベアトリウス人全員が悪なわけじゃないからね。ダグラスを見捨ててるのはあくまで国ってだけよ」
もちろん、大抵のベアトリウス人にも。
「(その理屈だと、あんたの同期のマキナは一応国にいるわけだから敵、って事になるんだけどね……)」
本当は口にしたかったが、今は関係ない事なのでアリアは余計な事は口にしないように心の中にとどめておいた。
「あ、ありがとうございます!人生捨てたもんじゃないですね!」
「——よし、行こう!マイニィちゃん、イリーナさん!」
「ま、マイニィ……?」
「え……?」
「その名前……どこかで聞いた事があるような……」
シグマがアレスハデスに向かうためにダグラスの西口に向かおうとした時だった。シグマ達が強盗と戦っている最中に建物から出てきた強盗被害にあった女性の父親らしき男は、シグマが口にしたマイニィという言葉に反応し、よろよろと少しずつ近づいてきた。
「マイニィちゃんを知っているんですか!?」
イリーナが驚きの表情で聞き返す。
「失礼だが君、名字を教えてくれないかい?」
しかし男は効きたいのはこっちの方だと言わんばかりに、マイニィに顔を向け、質問をした。
「カレア、です……。マイニィ・カレア……」
質問されたので、マイニィはそのまま普通に答えた。
「カレア……カレ、ア……?——ああ、ノーシュの有名な……!」
この男はどうやら、カレア家がノーシュで有名な貴族だと知っているらしい。自分がなぜマイニィという言葉に聞き覚えがあったのかぴんときたようだ。
「君がそうなんだねぇ!いやぁ、出会えてラッキーだよ!君にちょっとした話があるんだ!」
「ちょっとした話?なんやそれ?」
シグマもマルク同様思った。急に話しかけてきて何を話すのかと思えば、まさかのカレア家に関する事。シグマはただでさえセレナ王女から直々にマイニィちゃんの保護者として面倒を見ろと命令されているので、聞くしかなくなる。
「あ~……君の両親、亡くなっているだろう?その両親の犯人が、この町出身でね。まぁ、彼はもう死んでいるんだけど、亡くなった場所も故郷のここなのさ」
「な、なんだって!?」
「マイニィちゃんの両親の犯人を知っているって……!?でもどうして!?」
シグマとメイが驚愕する。他の調査隊メンバーも驚いてはいたが、話の内容の方が気になる、と言っているような表情をしていた。
「話すと少し長くなるんだが……そうだねぇ、まずは名前から。犯人の名前はリゲラ・ハイニスト。この町生まれだから、育成環境は悪くてね。彼の両親は幼い頃に他界。泥棒で生計を立てていたんだ」
「……」
マイニィは男の話を黙って聞いていた。
「更生してほしかった……っていうのは結果論だね。彼は大人になったら犯罪者仲間とつるんで盗賊団を結成して、旅をするようになったんだ。そこでノーシュのシエルエールにある日たどり着いた。たどり着いたタイミングで、世界各地の色んな盗賊団が、大規模な泥棒を計画して、その対象としてカレア家の屋敷が選ばれた。まぁこれは当事者である君にとっては不幸な事だね。で、君の両親は殺害されたんだけど……。問題はこの後さ。盗賊達は大量に捕まったが、逃げるのに成功した奴らもいた。リゲラもその1人だ。だが、故郷であるここに数年ぶりに帰ってきたら、変な薬でもやっていたのか、やせ細っていてね。2、3年でさらに体調がやばくなって、泥棒する回数も少なくなって、気づけば衰弱死……。ノーシュの騎士がここにやって来る頃には、既に死亡していた。僕達がリゲラの事を知らなかったら、ずっと君は犯人が誰であるかわからないまま、大人になっていたわけだ。まぁその方が良かったのかも知れないけど」
「そ、そうだったんですか……」
まさか自分の両親の犯人について知る事になるとは思っていなかったので、困惑しつつ感謝するマイニィ。
「でも、なぜそれを僕達に教えてくれたんですか? 」
「君達と同じさ。助けられたんだから、そのお礼にね。後はやっぱり、ノーシュ人がこんな所にいるとは思わなかったからね。恩でも売っておこうと思って」
「……」
意外な場所で、意外な人物から、意外な事を教えてくれた。自分に関係あるけど、関係ない話だ。シグマはもやもやしながら、話が終わった事に安堵していた。この件もまたどこかで話す事があるだろうから。
「(リゲラ・ハイニスト、かぁ……)」
今は亡きその人に、メイは想いをはせる。誰に何かを言われるかなんて考えず、やりたい事をやっていつのまにか死んでいた。流石に大火事事件の犯人まで死んではいないだろうが、可能性としてはあり得るのだ。マイニィちゃんみたいに、恨みを言う事もなく死んでいるのは嫌だなとメイは心の中で思った。
「シエルエールに帰ったら、この事を伝えると良いよ。君が気になっている事は無くなって、自由気ままに生活できるはずだから。こうして大人に守られてるのも、なんとなく察しがつくしね」
「あ、ありがとうございます……」
マイニィは普通に生活したいけど、できない人生を歩んできたのだ。だからこそ、自由をマイニィは望んている。なので彼女の生き方は尊重しなければならない。
「あたしと違って、マイニィちゃんの事は助けられたかもしれない事件よ。犯人はあたし達も知らなかったけど、なんか腑に落ちないわね」
「まぁいいじゃないか。助けたお礼っていう形で、何かは起きた」
「結果的にノーシュの騎士がいるって事がばれたけどね」
「そんなの時間の問題だ。今さっき犯罪者達に大火事事件の事を聞いたばかりだし、アレスハデスに着いたらダグラスよりも堂々と調査するんだから」
「マイニィちゃんの両親の事、教えてくれてどうもありがとうございました」
「ああ、ダグラスにいるなら今後も気をつけて生活するといい」
「いえ、僕達はアレスハデス監獄所に行きます」
「あそこにかい……。……あそこも気を付けるんだよ」
「はい、わかってます」
マイニィちゃんの事はこれで一件落着か。シグマ達は改めてアレスハデスの事に集中する。
「少し休憩したら行くわよベアトリウス以外の国に、大火事事件の犯人がいるとはあたし達は思ってないんだから」
「わざわざ3年間国内を調査して、シグマ達に再調査を任せたんだから、ノーシュ的には一応犯人の目星はついているんだろう。問題はどこにいるか、だが。まぁそれを今まさに探しているんだから、気長に徹底的にやっていくさ」
「とある1つの事件を解決するために、よその刑務所に行くなんて初めてやなぁ」
「予想している事が起きるだけですめばいいんだけどねぇ……」
「それはとにかく行ってみないとわからない事よ。今不安に思っていたって仕方がないわ」
「そうなんだけど……」
「マイニィちゃん、大丈夫?」
「はい……まだちょっと気持ちの整理がついていませんが、歩けはします……」
「無理しなくていいからね」
「はい……」
イリーナが優しくマイニィに諭す。他の皆もアレスハデスの事が気になっているようだ。
「(皆がいれば大丈夫、よね……?)」
メイは危険な奴ばかりいる所に行くのを、やっぱり少し不安に思っていた。
シグマ達がアレスハデスに行くためにダグラスを一時離れた後。
「はぁ……」
シグマ達の調査を、遠くから眺めていた若い男は、先程の強盗の事件を見て、世界の真理を悟っていた。
「(ここはもうダメだな……。今まで世話になったけど、ノーシュの奴らに助けてもらうなんて……。国にも見捨てられて、滅んでいくだけだ……)」
男はベアトリウス人。たまにふらっと自国の色んな町を見ては、その雰囲気を楽しむのが趣味。……だった。大人になって色々な事を知るまでは。
「(やはりテロを起こさないと人は目覚めない……。自分の存在を証明して、世界をより良くするためには、痛みを伴った改革しか……!)」
男は真面目な性格だった。ゆえに、戦国時代の後のこの今の時代を、よく考えていた。昔より良くなっただろうかと。
しかしそれは、今回のこの件や
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