第2章:調査と出会い7
シグマ達は、ベアトリウスの国境付近まで来たのに、急いでノーシュ城のある首都レオネスクまで走って戻った。約5時間くらいである。もちろん途中で馬車なども使った。
「ランドルフさん!ランドルフ騎士団長はいませんか!?」
バァンと扉を開け、謁見の間に入るシグマ達。それを見てセレナ王女達はシグマ達に振り向く。
「あらシグマ。また戻って来たのね。今回は私ではなくてランドルフに用があるのかしら?」
セレナ王女はシグマがきちんと意味のある機関で安心したのと同時に、表情で状況をなんとなく察した。
「という事は、何かアクシデントが起きたようね」
メイが頷いて話す。
「ええ、実はルンバの国境線にある列車が、何者かに破壊され身動きが取れないという事が起きたんです」
「あの件か……。確かにランドルフがいないと話が進まないな」
くいっと眼鏡を上にあげ淡々と告げるバリウス。首都護衛部隊は、その役割毎にする仕事が違う。バリウスは兵力増強と手続きなどの簡略化及び監視、ランドルフは全体の指揮と外交、書類の整理である。現在のノーシュは、この二人がいないと回らない状態だ。もちろん、どこの国も規模の違いはあれど似たようなものだろうが。
「――やれやれ、俺に何か用か?」
声は後ろから聞こえた。シグマはすぐに誰なのかを理解し嬉しく振り向く。
「ランドルフさん!列車の件で相談が……」
「それは聞こえたから知っている。具体的に何をすればいい?」
どうやら丁度ランドルフ騎士団長も謁見の間に戻るタイミングだったようだ。こりゃ都合がいい。シグマはなるべく必要最小限しか言わない癖があるランドルフに、状況を素早く説明した。
「ベアトリウス側の担当者であるマキナという女性が待っています。ぜひ会って話し合ってほしいんです」
「ほう……?で?会うのは良いんだが、何を話せばいいんだ?俺はまだ資料を確認していないぞ」
「列車の破壊及び荷物の流出です。スケジュール表も何故か一緒に盗まれたようです」
メイが詳しい説明をする。
「スケジュール表だと?ははぁ~……確かにそれは困ったな……」
「スケジュール表がないと何か不都合な事が起きるんですか?」
「君は……フェルミナ教の者か」
どもぉ~と苦笑し頭を下げるイリーナ。
「……ああ、不都合だ。あのスケジュール表は会議の時に一緒に作成し、関わる人物全員に共有する事を義務付けている。そういう風に決めたからな」
「関わる人全員に共有って……」
「効率化のためだ。テスト運行中なのだから、運転者が知らない、何に入っているかもわからない物を運搬できるわけがないだろう?商人にはそこまで許可を出していないし、利益が見込めるか見込めないかで、運搬する荷物の中身が変わるのは目に見えているからな」
「ようは現段階では食料しかノーシュ国に入れるなと?」
ランドルフが言いたいのはそういう事である。ランドルフはシグマの発言に頷き、話を続けた。
「ああ、後の商品については段階的に許可、緩和させていくつもりだ。……しかし困ったな。破壊となると、2、3か月は運転できないぞ。現場のスケジュールも損失しているとなるとベアトリウス側の要望は……」
ここまでぶつぶつ呟いて、急にピーンと何かがひらめいたランドルフ。どうやら事情を完全に理解したようだ。
「——わかった。早急に必要な資料をまとめる。シグマ達はルンバに戻っていい。後の事は俺がやる」
「あ、ありがとうございますランドルフさん!助かります!」
「ああ。だが犯人はお前達が捕まえろ。そこまで遠くに逃げていないはずだ」
ランドルフは割と真面目な表情でシグマにそう告げ、資料室に行こうとした。
「わかりました!あぁ~……でも見つかりますかね?証拠がないとどこを探せばいいのか……」
「ふっ、心配するな。それは俺も協力するから安心しろ。とにかく早急にルンバに戻れ。
「わ、わかりました(怒らせるな?)」
シグマはランドルフの言葉に少し違和感を感じたが、姿勢をよくしてセレナ王女の方に振り向く。
「というわけで、セレナ王女、そういうわけですのでさようなら。今回は無駄がなく立ち去りますよ」
「はいはい」
「……」
セレナとシグマの会話を聞いていて、マイニィは二人は長い付き合いなんだろうかと思った。
シグマ達が再びルンバまで先に出戻っている最中。資料室にて。
「で、ランドルフ。列車ってどういう事なの?詳しく聞かせてもらえるかしら?」
セレナは王女権限で、ランドルフと一緒に資料を見ていた。もちろん直属の護衛であるミネアも一緒である。
「はぁ~……聞かれると思いましたよ。私もすぐに向かわなければいかないのですから、手短に話しますよ」
ランドルフはセレナ王女は相変わらずだなと心の中で思いながら、さらりと事の発端を説明した。
「会議は王女も見ていたはずですから説明は省きます、重要なのは我々は土地を使う事を許可しただけという事。後の事は全部ベアトリウス側が管理しています」
「うん、それは知ってる」
「当然、我々ノーシュは、ノーシュの町へ納品してくる商人の金が目当てでした。ベアトリウスには変なトラブルが起きないよう、いつ我々騎士が介入してもいいように、スケジュールだけは作らせろ、見させろ。そう【お願い】しただけです」
「お願い、ね……」
ちょっと嫌な感じがしたセレナは、腕を組み、やがてため息をついた。
「……大体わかったわ、ありがとう。向こうが変な圧力とかかけてないといいのだけど……」
「私はもうしてると思ったから、ルンバに戻れとシグマ達に命令したんです」
行けばわかるとはいえ、短い時間で内容をどのくらい把握できるか。シグマ達の会話は単純に、ランドルフにとって、上司として話の読解力が求められていた。
「そういうわけで久しぶりの外出許可、くださいますよね?」
「もちろん、派手にやっちゃっても構わないわ!」
セレナ王女は自分が一番信頼している相手に笑顔でGOサインを出す。ランドルフもそれを見て笑った。
「私としては勘弁願いたいな。ベアトリウスの大物が来てこられたら困る。そんな大事じゃないのだから」
「わかんないわよぉ~?行ってみたらとんでもない事になってるかも~?」
にひひと笑うセレナ王女。これが王族の余裕である。最悪が起きても回避できることの証。
「……後は頼んだぞ」
「ええ、お任せください」
ミネアと交わす会話は必要最小限。いつものランドルフである。
「セレナ王女は見ての通りこの調子ですから。問題ありませんよ」
「そう願ってるよ」
ノーシュの騎士団長、いわゆるベアトリウスにとっての大物が、少しばかり動いた。
「では行ってくる」
「行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃ~い♪」
同時刻、国境沿いの森にて。
「はぁ~、食料を盗めたのはたったこれだけかぁ……」
そこまで悪いことはしない主義の女盗賊、クーシャ・ホワイトニングは、久しぶりにやらかした自分の失態を見て反省していた。
「珍しいものがあると思って中に侵入して、見つかってあわてて逃げようとしたら、ちょっと被害が大きくなっちゃって壊れちゃったんだよねぇ……」
思い出す。侵入して盗むまではよかったのに逃げ出すときにごたついたあの時を。こっちはたまたま腹が減っていて、数日間の食糧を盗む程度だったのに(列車には何か月分、何千人もの食料が荷物として積まれてあった)、破った窓ガラスからすぐに侵入者(クーシャにとっては自分の事)が出た事を理解し、そのまま捕まえようとしてきた。見張りは気絶させたし移動もさせたのに、いったい何処から現れたのか。もしや列車の中にそもそもいたのか。だとしたらそれはそれで気配がなさ過ぎた。
結局、煙幕を使ってそのうちに逃げてきたのだが……逃げている最中、煙幕を放った場所がなぜか爆破したのだ。クーシャはこの時、自分の煙幕となにかの化学物質の反応があったのだろうかと思ったが、考える余裕はなかった。
「ああ~もう、あんな事までするつもりなかったのに!」
本当にただ少し食料を盗むだけの犯罪をしただけなのだ。なのに……。
「何、この紙切れ……」
クーシャは、自分が逃げ出して今ようやく落ち着いた事に気づいた。落ち着いたので、逃走中、見もしなかったその紙の内容を初めて読み、そして驚愕した。
「貨物列車運行テストスケジュール表……?どっ、どどどどうしよう!?これやっちゃった感じ……?」
クーシャは経済的損害だなんだと言われて、自分がとんでもない大犯罪者扱いされている未来を想像して、頭を抱えた。
「あ~もう、こんな事で捕まりたくないんだけどぉ!?」
行って戻ってきて約半日。なんとか夕方頃に戻ってきたが、この仕事が終われば今日はもう終わりといいたくなるような時刻に、シグマ達はマキナの元へ戻ってきた。
「それで?ランドルフとやらは?」
「もう少しで来る。連絡し終わったから戻ってきたまでだ。僕達にはパトロール以外にもやるべき事があるからな」
シグマ達は、ルンバではなく国境沿いでマキナと再会し、自分達がやるべき事は済ませてきたと告げた。
「ほう……。やるべき事、ね……」
シグマ達がマキナの元へ戻って数十分後。ランドルフはその姿を現した。
「やあ、待たせたな」
「ランドルフさん!あそこにいる彼女がベアトリウスのマキナです」
シグマが示した方向を見るランドルフ。
「うちのシグマが世話になった。ランドルフ・サンダリアだ」
「マキナ・レトラーだ。よろしく」
そしてそのまま、マキナと握手をした。
「それで?スケジュール表は持ってきたんだろうな?」
「ああ、それはこちらに」
マキナが知りたいのはノーシュとしての立場が書かれた情報である。ランドルフは、どうやらコピーしてきたらしい資料の一部をマキナに手渡しした。くれてやるという意味だろうか。
「……なるほど?現在はテスト中の2回目か」
「ああ」
「確かにそこにいるシグマとやらが言う通り、我々ベアトリウスが持っている権限は全体の管理のみで、土地を使うなら許可は必要と書いてあるな」
マキナはランドルフから見せてもらった資料を本人に返し、話を続けた。
「まぁ、この件は別にいい。シグマが言っていた事が本当だった事を資料でを読んだ結果確認できただけだ。問題は犯人をどうするかだ。列車が破壊された事でテストが遅れたのは事実。どう処罰する?」
「あー、その事なんだが、処罰する事前提で話を進めないでくれないか。ノーシュとしては犯人は捕まえるが、話を聞き慎重に事を進め、処罰すべきならそうするつもりという方針だ」
ランドルフの両手を前に出してぶんぶん降り、マキナはそういう国柄は知っている。しかしだなと言い返した。
「お前もそこそこのポジションにいるならわかるだろう、うちは利害には厳しいんだ」
「それはどういう意味だ?個人として察しろという事か?それとも国として処罰する事は既に確定だという事か?」
「……国としてだ」
「(今……自分の気持ちを……推し殺した?)」
シグマはセレナやランドルフ達、つまりノーシュから、なるべく素直に生きるようにと教えられ、そして命じられ育った。それがノーシュの教育方針だからだ。だから今のマキナの押し殺す事自体が、単純に理解できなかった。
「そうか。なら言わせてもらうが、本来誰かがどこかの国で犯罪を犯したらその国のルールで処罰される。これはわかるよな?」
「当然だ」
マキナはランドルフの話に頷く。
「だが、今回に限り、ノーシュとベアトリウスの罰則の重さを比べ、それを平均した数値で適用させるという規定がある」
「?」
「(平均した数値?)」
「(例えば、人を殺したら10年と20年だったら、15年にするって事よね?でもなんでそんな変則的な事を……)」
イリーナを含めた、話を聞いているだけのランドルフ以外のシグマ達全員、疑問で首を傾げた。完全に頭がはてなマークでいっぱいだった。なんなんだそれはと。
「理由はわかるだろう、ここが国境だからだ。一時的に共有土地になる以上、法律も一緒にしてもらわないと困る。そう主張して、似たような法律は全て平均化したはずだが?」
「ぐっ!(緊急な対応でなければきちんと言い合えるものを……)」
マキナ自身、問題を解決したらたまたまやってきた新しい雑用がこれだったから対応しただけなのだ。なのにそんな今日に限って面倒な事ばかり起きて……マキナは今日の自分を振り返って苛立ち始めた。
ランドルフはそんなマキナの表情を見て、やっぱりなと思った。彼女はシグマ達と同様、あまり他国の人間と話したことはないなと。
「(ふっ、まぁ俺とて得意なわけではないが)」
あとはもう早い。そう思ったランドルフは話を続ける。
「ちなみに、なぜ国境沿いに線路があるのか、そもそもなぜ列車を作り運行テストしようと思ったのかも全部この議事録に書いてあるぞ。読めたいなら読めばいい」
議事録は、資料の一番最後にまとめて書いてあった。
「まぁ、そういうわけだから、あんたらがどんなに自分達のルールを押し付けようと、私達のルールも適用されるわけなんだ。だからそちらが厳しい対応をすればするほど、ノーシュは相対的にバランスを取るために、甘い対応をする事になるんだが……それでもいいのかな?」
「~~~~っ……!(あいつらあとで覚えておけよ……)」
マキナは敗北感を味わった。うまく対応できると思ったからだ。会話の主導権はこちらが握っていて、その通りに事が進むんだと思っていた。しかしそれは違かった事をここで理解した。こいつは自分よりも色々経験していると。
「はぁ……では、ベアトリウスとしては処罰は完全にお前らノーシュに任せる事にする」
「ほう、いいのか?」
あのベアトリウスが珍しいなとランドルフは思った。
「ああ。うちはノーシュからしてみれば厳しいんだろう?そもそもの罰則が平均化しているならなおの事。言うだけ無駄ではないか」
マキナは仕方ないとため息をついた。
「別に犯人に脅迫じみた事を一言ぐらい言ってもいいんだぞ?私達がいる前でなら、だけどな」
「私はそれが面倒くさい。なぜ国に悪印象を与えるだけの事をしなければならないんだ」
「心中お察しする」
ノーシュ国と違ってベアトリウス帝国は帝国なので、甘えた考え方をする人間があまりいない。軍人ならなおさらだ。しかしこのマキナはどうやらそういう人ではないようだった。いわゆる穏健派という奴だろうか。
「それに、もし犯人が脱走でもしたら、ノーシュの不手際になるからな」
「ほう、そういう痛み分け方をするのか。やるな」
ランドルフは単純にほめた。
「褒めなくていい、余裕でも見せているのか?今関係ないだろ」
ほめたのだが……。会話の流れのせいか、素直に受け止めてもらえなかった。
「おっと、怒らせてしまったか。ただの素直な本音だったのだが。……まぁ、ベアトリウスがそうしたいならそうするまでだ。これで手を打とう」
「ああ、後の事はよろしく頼む。ただでさえ修理するのに時間が掛かるんだから」
ふぅ~終わった終わった。ランドルフがそう言ったのを聞きながら、シグマ達は彼の元へ近づいた。
「あのぉ~ランドルフさん?一つ質問いいですか?なぜノーシュは列車の修理を手伝わないんです?」
「そんなの、向こうが拒否したからさ。利益は全部自分達がもらう、恩を売られては後で何を言われるかわかったものじゃないってな」
「ふ、普通そこまでします?うちにだって荷物が来ないんだし、手伝ったって……」
「そうしないのがあのベアトリウス帝国だ。我々の価値観では想像できない事が行われている」
国と国の違いは要するに生き方の違いだ。ランドルフはメイにそう説明した。
「まぁ、だからこそそういうストイックな部分が国民に受けているんだろう」
「(今のやり取り……かなりぴりぴりしていた。あのマキナという女性……ほんの少しだけ、底力が見えた。きっと戦ったら強いんだろうな……)」
「ほら、シグマ。さっさと犯人を捜して捕まえるぞ。まだ遠くへは行っていないはずだ」
「は、はい!」
なんのために強くなるかと言われて、人々を守るためだと告げ、心に刻む。強い事そのものに意味はないかもしれないが、強くなることには理由があるのだ。少なくとも、シグマのような奴には。
「あのぉ~、部外者で申し訳ないんですけど、犯人を捕まえたらどうするんですか?」
イリーナはランドルフに手を挙げて質問をした。
「決定事項は、牢屋には入ってもらう。まぁ、少ない間だよ、数か月くらいな。この緊急事態だし、スケジュール表も盗まれたからな。ただ、犯人像の推測が盗賊ならば盗むのは荷物だけはずだし、実際そうだった。なのに、スケジュール表も意識的に盗むだろうか?私は思わない。だから普通の盗難として処理するつもりだ」
ようするに、実際にスケジュール表が無くなっている以上、作業の遅れは犯人のせいだとベアトリウスは言いたいのだが、それが根本的に違う可能性があるので、慎重に捜索を進めるという事だ。
「そのためにも犯人を見つけ、事情を聞いて、スケジュール表を手に入れてしまったのは不可抗力である事を証明しなければならない」
確信がついたかのように話すが、ここまで全てランドルフの推測である。あくまで勘という、長年の経験から来るものを頼りにしているに過ぎない。
「今回、マキナのおかげで犯人の捜索を完全に我々ノーシュに任せてくれたが、もし別の人物だったら捜索を勝手にするのはもちろん、スケジュール表を無くした事も盗難犯罪扱いになってもっと重い刑になるはずだ。まぁ……だからそうしないための処置だよ。犯人が盗賊ならそれはそれでいけない事だが、何をどこまでやったのかまずは聞かないとな」
「ほえ~、色々考えているんですねぇ」
「うちの騎士団長だからね!」
「さ~っすがぁ!」
イリーナとシグマが笑い合う。ランドルフはそれを大人の目線で見ていた。
「(ふっ……どうやらシグマはこの旅を楽しんでいるようだな。なによりだ)」
シグマ達には決して言わないが、旅に出る前にセレナ王女にしつこく言われて、ランドルフはシグマとメイの面倒を見るようにと命じられているのだ。
「(だがまだまだ甘えがあるな。俺の活躍でノーシュはすごいと思っているのなら、それは間違いだぞシグマ)」
「(マキナ……)」
メイは最後にふとマキナが気になって、後ろに振り返った。もう結構距離があったので、どういう表情をしているのかはわからないが、彼女は何とも言えない表情をしている気がした。
ランドルフとの会話を終え、列車のスケジュールの件もなんとかなりそうになり、マキナは一息をつく。つきながらマキナは、ランドルフと会話した時に感じた敗北感を思い返していた。
「(やめだやめだ、こんな対応……。馬鹿馬鹿しくてやってられん)」
さっさと資料を見て把握するだけなのに、器用な時間を使わされて待たされただけでも腹が立つ。こっちはさっさと用を済ませたいというのに……そちらのメンツなど知った事か!
しかし筋が通っているのでなんとも言えない、それもまた腹が立つのだ。
「(緊急の件だからと様子を見てみれば、犯人が捕まっていないわスケジュールは無くしているわ、うちのやらかしの方が大きいじゃないか。ましてやノーシュのランドルフとやらに資料の提供までされて、情けなくて仕方がない)」
行く時にやっぱり行かない方が良かったかと思ったが、本当にそうなるとは……。
「(せめて犯人は取り逃がしたが、スケジュール表は無くした事はこれでなかった事に…………。いや、無理か。報告書に状況を淡々と書いて整理したらそれだけで自然とバレる……)」
「(くそっ……。ランドルフ……食えん男だ……)」
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