第4話
私とキャサリンは、一瞬に行動することにした。
1人より2人、誰かと一緒にいるのは心強い。
2人になって少し行ったところでキツネに捕まってしまった。
キツネがまた話かけてくる。
「また会ったね、チンチラちゃん。ああ、リスちゃんも一緒か、ちょうどいい。」
「ああ、1階のキツネ?ここに来てたんだ。」
「う、うん。まあ…いや、本当はずっと追いかけてたけど、君が早くて。やっと追いついた。」
「そうなんだ。で、ジャンケン?」
「いや、今度はトランプ勝負“ババ抜き”だ!」
「ババ抜き?」
「そうだ、ババ抜き!
オレが1位なら2人共食べる。2位なら3位を食べる。どうだ?」
「えー?ババ抜きで食べられちゃうのかぁ…。絶対勝たなきゃ。
でもさ、キツネって、その手でトランプのカード持てるの?」
「馬鹿にするなよ!
今度はなぁ、手だけ人間の手に変身するのだ!」
「何で手だけ?どうせなら全部人間に変身すればいいのに?」
「全部人間に変身しちゃったら、“食べられちゃうかもしれない緊張感”無くなるじゃん?」
「あっそう。ならどうぞ、ご自由に。」
キツネは手だけを人間の手に変え、手のひらを上に向けるとトランプが出現する。
トランプは自動でシュシュシュシュッとすごい速さで3匹の前に配られる。
そしてジャンケンをして順番を決める。
キャサリンが私のトランプを引き、キツネはキャサリンの、私はキツネのトランプを引く順番だ。
揃ってるトランプを出した後、残ったトランプは私が5枚、キャサリンも5枚、キツネは4枚。ジョーカーは私のところには無い。
私は「ちょっとタイム。」とキツネに言う。
「何だよタイムって。」
「ちょっとくらいいいでしょ、こっちは命かかってるんだから!」
「…ちょっとだけだぞ、早くしろ。」
「ボソボソ…。」
私はキャサリンに耳打ちする。
キャサリンが首を縦に振り、了解したことを確認する。
じゃあと、3匹は集中して無言でトランプを引いていく。
私はキツネに気付かれないようにキャサリンにトランプを見せているので、キャサリンは最後の1枚をキツネに引かせ、手持ち札がゼロになって1番に上がることができた。
キツネはチッという顔をする。
残りはキツネが2枚、私が1枚。
私はキツネのトランプをじっと見つめる。
私がトランプに手を伸ばそうとしたところで、
キツネが「やっぱ、ちょっとタイム!」と言う。
私が、え?って顔をすると、
「さっきお前のタイム認めてやったんだからいいだろ?」
と言ってトランプをシャッフルした。
よし!と、トランプを私の目の前に差し出す。
私はドキドキしながらトランプを引いた-。
「やったー!上がり!勝った!」
キツネの手にはジョーカーが残っている。
「くっそー!また次だな。
階上がるとキツネ増えるから、ここで食べてしまいたかったけどしょうがない…。じゃあな。」
と言って消えた。
〔ねえ、あんた達、足の引っ張り合いの、バチバチのドロドロのバトルしないのー?協力するとか、全然面白くないんだけど!〕
魔女が直接話かけてくる。
魔女には私が仕掛けたのがバレてるようだ。
でも、私がキャサリンに耳打ちしたのは、その時キャサリンが持ってると言ったジョーカーは、早い段階では取らせないようにするため、キャサリンの右側に置いて最後2枚くらいになったら左側に移動させて取らせるようにすることということだ。
もしその時キツネが取らなくても、私が手札をキャサリンに見せてるから、残り1枚になっても大丈夫だと伝えた。
「何で仕掛けた犯人でもない王女とバトルしなきゃいけないのよ!」
〔だってあんた達、恋のライバルでしょ?〕
「私、イッチ国の王子様なんて全然興味無いもん。舞踏会だって全く行きたいと思わない。ただ、自分の王宮に帰りたいだけ!」
『私も…イッチ国の王子様とは結婚したくありませんの…。』
「ええ⁉︎何で⁉︎」
魔女じゃなく、私が驚く。
『私…自分の国に好きな方がいるのです。ちょっと叶わぬ恋なのですが…。』
「へぇーそうなんだ!
じゃあ何で私達こんなとこにいるんだろうね?
ねえ!一体どこの誰が犯人なのよ⁉︎」
〔守秘義務。〕
「私達にその気が無いんだから、こんなことしなくても大丈夫よ!だから人間に戻して家に帰してよ!」
〔あなた達の気持ちはそうかもしれないけど、周りの方々の意思は違うでしょ?
関係ありませんわ。〕
くそ魔女!
お話にならない魔女と話するのはやめて、私とキャサリンは何で王子様との結婚に興味がないかについて語り合った。
私には夢がある。
いろんな国を旅して周りたい。王妃なんて籠の鳥みたいで、まだなりたくない。
キャサリンは、自分の国の
魔女が聞いていようがお構い無しに盛り上がり、すっかり仲良くなった。そして和気あいあいと進み、15階に着いた。
ここで休憩時間となる。
さすがにすごく疲れているので、2人共すぐに爆睡してしまった。
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