第2話

 少し進んだところに“ヒマワリの種”を見つける。

 ヒマワリの種…あぁ、私今チンチラだっけ。これが食糧か。


 魔女が仕掛けた課題をクリアすると、取り出せる箱に入っている。


 何をすればいいかは、頭の中に指令の言葉が聞こえてくるというか、パッとひらめく感じで分かるようになっている。

 魔女の仕掛けは良く出来ている。


 課題はパズルを3つ揃えるだけの簡単なものだ。すぐゲットできた。


 さっそく食べることにして、皮を手でこうかと思ったけど、上手くできない。

 …んーちょっとぉ!

 全然剥けないのでイラッとする。

 しょうがない、口でくしかない。ハシタナイけど。

 一応辺りを見回し、誰もいないことを確認して、ヒマワリの種を歯でカリカリして食べる。


 美味しい。


 行く先でヒマワリの種を見つけて食べたら、なんか元気が出てきた。


 またしばらく進むと“ランプ”を発見する。

 もうロウソクが限界に近いので、これは手に入れないとヤバい。

 ヒマワリの種のよりはちょっと難しいパズルだったけど、これも簡単にクリアして、ゲットする。


 また先へ進むと、行き止まりに当たる。

 

 調子良く進んでいる時はまだ大丈夫だけど、ちょっと壁に当たると途端にやる気ががれる。


 はぁ…、と溜息をついて引き返す。


 迷路なんて、そんな難しいのできない!


 今どこにいるのか分からないし、ゴールって、着いたら分かるの?

 先に進んでるのか、スタート地点に戻ってるのかすら分からない。壁が高くて先が見えないし、目印なんかも無さそう…。


 泣きそうになる。


 立ち止まって泣いてるところへ“キツネ”がやって来た。


 ヤバっ!


 ダッシュで逃げる。


 泣いてる暇も無いんだわ!


 必死で走って逃げて、突き当たりそうになったら急いで戻る。

 頑張って逃げたら、キツネの気配は消えていた。


 ホッとしたところで“懐中時計のイラスト”を発見する。


 あ、時計!これは大事なやつね!

 これが無いと、休憩時間が分からない。タイムリミットだって分からない。


 これは必ず手に入れる!


 私は課題に挑む。

 時計のイラストが一瞬でバラバラになったのでそれを戻すという課題。ジグソーパズルだ。

 

 制限時間がセットされていて時間内に完成させないといけないみたいだ。


 パズルを1つ1つはめていくが、なかなか難しい。

 それでもなんとかパズルを完成することができた。


 よし!


 私は無事、“時計”を手に入れることができた。


 だが、時計だと思って見てみると、なんかいろんな数字が書いてある。

 数字の1箇所はチロチロチロっとすごく早く動いている。


 「コレ何⁉︎時計じゃないじゃない!」


 私は上に向かって大きく叫んだ。


 私の知ってる時計は、イラストの懐中時計のような、数字が丸い輪の形に順番に書いてあって、長針と短針だけのシンプルなやつ。


 こんな変な物、知らない。


 〔あー、面倒な子だね!〕


 魔女の声だ。姿は見えない。


 「良かった、まだいたんだ。

 てか、コレ何?私、時計貰えるんだと思ってた。」


 〔それが時計だよ。最新版だ。

 1番上の、すごく早く動いてる数字は残り時間。

 その次は現在の時間。

 3番目は現在の日付。

 1番下は今何階にいるか。

 すごくいいでしょ。〕


 「うげっ。分からないよこんなの。」


 〔頭使ってよー。慣れなさい。

 ちなみに、12時間じゃなくて24時間表記ね。13時は昼の1時よ。

 英才教育受けてきたんでしょ、王女さん?分かるわよね?〕


 なんか馬鹿にした言い方…。


 「口悪いなぁ。」とぼやいてみる。


 〔貴女様ほどじゃありませんわよ。〕


 チッ聞こえてたか。


 まあいいや、魔女の言う通り、慣れればきっと便利な物だろう。

 あー、これで休憩時間にゆっくり休める!


 私がホッとしたところに、さっきいたはずのキツネがやって来た。


 うわっ!と慌てて逃げる。


 急いで逃げるが、行き止まりで捕まってしまった。

 うわー…という表情をしてたらキツネが話だす。


 「勝負なんてまどろっこしいことしないで、すぐに食べさせてくれればいいのに…しょうがない決まりだからな。」


 「何1人でブツブツ言ってんの?やるならさっさとしようよ。」


 「なんだ、強気な王女だな。

 じゃあ望み通りに…。

 “ジャンケン”勝負だ!」


 「え?ジャンケン?

 私(チンチラ)はなんかできそうだけど、キツネの手でジャンケンできるの?」


 「できるさ!多分。

 魔女に言われたからやるしかない。3回先取な。」


 まあ、いいか。


 「じゃーんけーん、

  ポン!」


 アリシア:チョキ

 キツネ :パー


 「チェッ、2回目だ。

  じゃーんけーん、

  ポン!」


 アリシア:チョキ

 キツネ :パー


 「んだよ、また負けた。次こそ!

  じゃーんけーん、

  ポン!」


 アリシア:チョキ

 キツネ :パー


 私はキツネの手の形を見て、おそらくパーとグーしか出せないだろうと予想してたけど、パーしか出せないみたいで楽勝だった。


 「おまえ!グー出せよ!チョキばっかりで卑怯だぞ!」


 「なんかさー、手がまだ上手く使えないから、チョキしか出せなかったんだ。」


 「チェッ、まあ勝負だからな。負けは負けだ。ご褒美は…“壁壊せる手袋”だ!」


 「え?壁壊せるの?やった!いいね、それ!」


 「5回壁壊せる。5回壊したら消えるからな。

 じゃあオレは別の階でまたお前を待ってる。お腹空いてるから早く来いよ!じゃあな!」


 キツネはドロンと消えていなくなった。


 たったの5回かぁ。まあ、無いよりマシか。


 私はまた先へ進む。


 ここ1階のゴールに着いた。

 何で“ゴール”かというと、階段があるからだ。

 時間はそんなにかかってなく、簡単にたどり着いた感じだったので、私はホッとする。


 これなら、100階だってすぐ行ける!


 階段の手前で魔女の声が頭の中に聞こえてくる。

 〔貴女様のお身体、足の部分1%お返しします。

 元の身体と交換する時は声に出して言ってください。〕


 何だよ、足1%って…。

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