第51話 不老

生えてくる腕を見た時に少し違和感を感じた。そして斬り落とした腕を見て確信した。あの生えてきている腕は少し老いている。流石にノーリスクではないのか。だからこの腕を要求した?いや…成功率の問題か。


モーテ「本当に生やせるんだな」


オッチパーム「どういうことだ!これは!ふざけるな!」


怒鳴りながらも治癒ヒールを続ける。もうほぼ完全に生えきった。

こんなことをしているのに誰も俺を抑えようとしない。完全に恐怖で動きが止まっている。


モーテ「すごいな…どうやってるんだ?」


オッチパーム「そんなことのために人の腕を斬ったのかい!」


生えきった。


モーテ「黒菊」


その生えきった腕をもう一度斬り落とした。


オッチパーム「な!?」


そして…


モーテ「アイス


最初に斬り落とした腕と分けてそれぞれ凍らせる。これで老化前と後を比べるサンプルが出来た。


オッチパーム「大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?」


オッチパームは腕を斬られた患者に必死に声をかける。


モーテ「別に急所じゃないし死には…」


死にはしない。そう言いかけて止めた。というのも魂が入ってきたからだ。つまり…殺したということになる。


モーテ「どういうことだ?」


オッチパーム「くそ!ショック死か?」


ショック死…そんなものもあるのか。


オッチパーム「おい…クソガキ…どういうことだ…」


モーテ「いや、良いもの見せてもらえた」


オッチパーム「ふざけ…」

モーテ「黒菊」


俺は気配をぶらしてその場を立ち去った。


オッチパーム「…」


「なんですかあれ…」


オッチパーム「軍に連絡…」


「はい…」



診療所はこの日休業となった。そして…翌日には俺の特徴が書かれたものが手配書として回っていた。


モーテ「あらら。まあもう国から出るけどね」


俺は既に十分なものが手に入った。もっと北に行けば帝国なのだが今は城に戻って研究したい。だが…


モーテ「衝撃ショック


以前に埋めていた竜の合成獣キメラを回収するためにかなり遠回りをすることになった。それでもこいつには役割がある。何せ…この状況でもまだ生きているのだ。驚くべき生命力だ。というわけで城に連れて帰る。



モーテ「ファイア


ソリトで手に入れた腕2本の氷を解かす。やはり微妙に違う。生やした腕は老化している気がする…もしこの老化による違いを解明出来たら、魔法で戻せるようになったら…いよいよ不老不死が近い。


そしてそれとは別に…竜の合成獣キメラも解凍する。

未だ気絶しているがこちらも合成獣キメラについて調べてみたいから連れ帰ったのだが別の使い道も考えていた。


モーテ「こいつどうせ暴れてくるから戦闘の相手してもらおうかな。そしたら傷つけても治癒ヒールの練習になるし」


殺して解剖ではなく生かして練習台にする方針に考えがシフトしていた。

ここから長い長い研究生活をすることになる。


本による知識の補充。動物の捕獲、観察、老化による変化、それと治癒ヒールで生えてきた腕の比較。竜の合成獣キメラとの組手(ほぼ一方的に叩きのめしていたが)。それによってついた傷で治癒ヒールの練習。



などなどを繰り返すこと6




モーテ「こんなもんか?問題はあるが…まあ…」


長い年月、研究、実験を重ねて生まれた魔法。というより…既存の魔法を生物に応用、そこから老いを止める方向に進んだ。


モーテ「保存キープ


これは本来無機物をその状態のまま保存する魔法である。今までアイスで無理矢理保存していた俺にとっては画期的な魔法ですぐ練習した(主に料理用に)。

だがある日思いついたことがあった。

それは竜の合成獣キメラを相手にしていて尻尾を斬り飛ばしたときに思いついたこと。


モーテ「この傷口ごと保存キープできたらくっつけれるんじゃね?」


既に斬り落としたりした腕や足などは時間が経ってしまうとくっつかなくなり、治癒ヒールで生やしたりするのもかなり大変になることが分かっていた。だからこその保存キープ案。これで腕と傷口を保存キープすれば時間が経ってもくっつけることができるのでは?と思った。


モーテ「保存キープ…あれ?生物にはかけづらいな…」


基本無機物に使う魔法のため生物に使いづらい魔法。


モーテ「魂×14フォーティーンソウル保存キープ


魂まで使うことでようやくできた。かなり無理やりだったのだろう。結構な数を使う。


しかし…これが上手くいった。


モーテ「治癒ヒール


竜の合成獣に保存キープをした尻尾を治癒ヒールでくっつけることに成功した。

この時から老化による違いの分析、そこを保存キープで止めれないかと思った。

また保存キープを生物に対応した魔法に改良することも必要だった。その結果が…


モーテ「魂×5ファイブソウル不老エイジキープ


不老エイジキープという魔法。結局、人体で常に起こっている老化を止めるとなると魂を使うことにはなってしまったが保存キープよりはかなりましな数になった。ただ…効果が1日ほどしか持たないためそこでかけ直す必要がある。

そして…今が最終段階。


モーテ「うん、半年経過。老化の傾向無し」


竜の合成獣ではなくそこら辺にいた小動物に不老エイジキープの魔法を毎日かけて半年。望み通りの結果が出た。


モーテ「よしよし!この小動物に対しての実験は続けるとして…そろそろまた外に出ようかな。帝国には行けてないし。それに…この不老エイジキープ15


――あとがき――

何てことしてるんだ。禁忌犯しました~


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