第50話 オッチパーム

モーテ「良し…」


デューエでの用を済ませて少し北に行くと見えてくるのはソリト国。小国だが資源が豊富で豊かな国で、この国は俺の城にちょっかいをかけてくることもなかったためどんな兵士がいたとかの印象もない。だがせっかくなので見て回ることにした。もしかしたらこういうところに治癒ヒールの使い手がいるかもしれない。

さっくり侵入して…聞き込みを開始する。


モーテ「一番すごい医者って誰?」


「どうした?坊主。誰か風邪かい?」


モーテ「そう」


「う~ん一番すごい人って言うと…オッチパームさんかなあ」


モーテ「すごい人?」


「うん、大けがも治しちゃうって。でもまずは近くのお医者さんに見せるんだよ」


モーテ「わかった…ありがと」


聞き込みの時はそれなりに子供らしくしている。その方が聞き出しやすいということがデューエで分かった。それだけで油断してくれるのだから楽なものだ。

少し移動し他の人にも聞いてみる。


「オッチパームさんだな。軍からのスカウトもあったって話だよ」


また同じ人か。


次は移動距離を大きくし地域を変える。もし他の地域でも知れ渡るほどの名なら信憑性が一気に上がる。


「オッチパームさんじゃない?重傷者はあの人に診せるってのが鉄板らしいし」


これは…当たりか?


モーテ「どこにいる人?」


「普通にソリトの首都フォンテにいるよ」


モーテ「へ~ありがとう」


これは確定だな。

となるとフォンテに向かうことになるが小国なのですぐ着く。デューエの演奏会の時と比べたら本当に楽。助かる。

後はオッチパームという人を探すだけ。軍のスカウトがあったという話だがもしかしたら軍の施設内にいるのか?とも思ったがそうじゃないらしい。


「軍のスカウトは断ったんだよ。だから一般人も診てくれる。本当に良い人さ。ただ大けがした兵士も診れるようにってことで軍の近くに診療所があるんだがな。君は健康そうだけど…あれ?」


必要な情報が聞けたのでさっさと逃げた。こっちに質問されると答え辛い。幸いなことに目の前にいるのに見失うくらい一般人の警戒心は緩い。


モーテ「あった…ここか…」


確かに軍の施設が近い…これは案外めんどいな。騒ぎを起こしたら兵士が来てしまう可能性もあるのか。というかそれが目的か?軍が守るほどのそれだけの重要人物?


それでも当然退かない。診療所の中に入ると…


「ハイハイ、無理しないでね~」


「あ~順調ですね~」


「ちょっと咳止まらないです…」


なんか…思ったよりほのぼのしてるというか…本当にここにいるのか?というくらいだ。


「あら?君はどうしたの?」


優しそうな人に話しかけられた。


モーテ「オッチパームさんっていますか?」


「いるけど…何の用?」


モーテ「ちょっと聞きたいことが」


「…少し待っててね」


モーテ「はーい」


奥の方に行ってしまった。


モーテ「感覚強化センスバフ


中の方を探る。


「オッチパームさんに聞きたいことがあると…」


オッチパーム「子供が?なんだろうね…」


「わかりません…オッチパームさんは知り合いが多すぎて」


オッチパーム「しょうがないでしょ。今は暇だしいいよ。通しな」


「はい」


話せそうだな。それは何より。

診療所の奥の方に通される。入院している人もいてこちらはそれなりの重傷者だったと思われる。なるほど…スペースが別れてるのか。


オッチパーム「見たことない顔だね?君かい?」


モーテ「はい」


オッチパーム「名前は?」


モーテ「モーテです」


オッチパーム「モーテ君。聞きたいことっていうのは?」


モーテ「オッチパームさんは治癒ヒールで腕を生やしたりできますか?」


オッチパームの目つきが鋭くなる。


オッチパーム「それを聞いてどうするんだい?」


モーテ「使えるようになりたい」


あわよくば老化を止めたい。とはさすがに言わない。


オッチパーム「お前みたいなガキが何言ってんだ。出直してきな」


モーテ「じゃあ…確かめる」


オッチパーム「は?」


モーテ「黒菊」


俺は一番近くにいた患者の腕を斬り飛ばした。


「うわああああ!!!!」


オッチパーム「なっ!?」


モーテ「どうする?」


オッチパーム「度が過ぎるぞ!早くその腕を返しな!」


腕を返す?ああ、この斬り飛ばしたやつか。

なんで?


モーテ「…嫌だね」


オッチパーム「ちょ!ふざけてる場合じゃ!!」


モーテ「くっつけるんじゃなくて生やしてるのを見たい」


オッチパーム「このガキ!!くそ!治癒ヒール!!」


モーテ「魂×6シックスソウル感覚強化センスバフ


目に感覚強化を集中させる。魔力の流れまで、どう生えてくるかまで…目に焼き付ける。オッチパームが治癒ヒールをしたところから徐々に腕が生えてきた。

本当にできるとは…ん?

違和感を覚えた俺は自分の持ってる斬り飛ばした腕を見る。そして生えてきている腕を見て…


「ひっ!!!??」


オッチパーム「どうし…っつ!?」


周りの人たちが俺を見て怯えた顔をしている。なんだ?


オッチパーム「なんて…邪悪な顔してんだい…」


顔?ああ…にやけてたか…


――あとがき――

前半平和だったのに…


面白かったり次が気になる方は星やコメントやレビューお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る