第49話 怖葬曲
モーテ「くそ~もっと聴いていたかった。けど…あれは仕方ないな。それよりこの国の軍事力だ。あいつが頂点ならともかくあのレベルがまだ何人かいるなら相当だぞこの国」
デューエの軍の施設の方へ向かって覗いてみたが…
モーテ「ぱっと見そんなか」
演奏会で会ったやつ以上に強そうなのはいなかった。
ちょっと安心。
もう夜なので寝床を探さないといけない。
そこら辺の家を襲おうとしたがある黒い服を着た集団に出会った。
モーテ「?」
みんな少し寂しそうな顔をしている。年寄りが多いか。
モーテ「
少し内部を探る。盗み聞きできれば良い。
「大往生でしたね…」
「最後まで元気でしたよ」
「寂しくなるわねえ…」
「93ですか…立派ですよ」
誰か死んだっぽいな。その葬式か。だが…そんなことは気にならなかった。
モーテ「そうか年を取ると死ぬのか…」
全く考えていなかったことが急に突きつけられた。老いて死ぬ。弱いからではなく…あの老人たちのように弱っていく。感知しているせいでよりわかる。足どりの重いこと…重いものも持てないだろう。嫌だ…
モーテ「そんな死に様…嫌だ…!!」
強いやつ相手でも逃げれば何とかなる。
弱いやつに殺されるほど弱くない。
じゃあ逃げれない運命はどうする…?
考えたことがなかった。
拒めない死が…実感するだけでとても怖い。歩いてる道が地獄に繋がっているような…そんな恐怖…足を…踏み出せない。
なんで笑っていられる?あいつらは…俺よりよっぽどそこに近いだろ?
理解が…できない。
俺は初めて…自分より遥かに遥かに弱いだろう人間たちを怖いと思い。その場から逃げるようにして立ち去っていた。
モーテ「なんでここに来たんだろ?」
次の日…気づけばローシェス音楽隊演奏会の会場に来てしまっていた。以前より警備が厳しい気もする。リスクを冒してくるようなところじゃない。でも…演奏会でも知らない感情が世界が見れた。上書きしてくれるような気がした。
モーテ「あっ」
探していたわけじゃないが…自然と目に留まる。普通に観客席にいるんだな…
モーテ「ねえ」
ソノ「君!?」
モーテ「一緒に聴こうよ」
ソノ「っ!?」
モーテ「それは出さないほうが良いと思うけど?この会場の人守り切れないでしょ」
ソノ「くっ…」
会場の人間を人質にとって俺はこいつと共に会場の端の方に移動した。
演奏が始まる。
ソノ「何の用?」
モーテ「身近に老衰で死んだ人はいる?」
ソノ「??そりゃいるさ。大人になったらそう言う経験も…」
モーテ「どう思う?」
ソノ「どうって…?そりゃ…よく生きた、お疲れ様。あの世で幸せに…色々ある」
モーテ「死にたくないって思ったことは?」
ソノ「人間は死ぬものだし。終わらない曲なんてないよ」
モーテ「受け入れる?」
ソノ「受け入れるしかない」
モーテ「…嫌だ」
ソノ「?」
その瞬間、ある曲が始まってぞわッとする感覚が襲った。
モーテ「あっこの曲好き」
ソノ「この曲って…」
モーテ「なに?」
ソノ「題名は
モーテ「ふうん…」
しばらくこの曲を2人とも無言で聴いていた。
そして曲が終わると同時に話しかけてきた。
ソノ「君…何者?」
モーテ「…なんだと思う?」
ソノ「空気が化け物。上手く消してるけど…。捕まる気はある?」
モーテ「無い」
ソノ「そう」
モーテ「ここでおっぱじめる?」
ソノ「…一般人が多すぎる」
モーテ「でしょうね。守るものが多い人は大変だ」
俺は立ち去ろうとしたが…
ソノ「待て!」
モーテ「?」
呼び止められた。
ソノ「…何者かは知らない。君は…人を大勢殺してる。でも…でもやり直す気があるならまた来て欲しい!」
どこまでも…人間というのは…
モーテ「あり得ない」
理解できないな。
俺はその場を去った。
ソノ「はあはあはあはあ…息が…詰まる」
ソノはその場にへたり込んだ。
モーテ「人のことを知ったつもりになっていたが…全然わからなくなってきた」
だが…あることを思い出した。
――『
モーテ「
…死ぬ前に死ぬことを止めてしまえば…」
それが不老不死か…初めて不老不死という言葉を理解した気がした。
モーテ「
モーテ「次の目的が決まったな」
次の日からは色々な人に聞き込みをした。最も優れた魔法使いは?医者は?様々な問い方をしたがあまり有力な情報は得られない。みんなばらばらの回答だ。
ばらばらということは突出した者ではないということでもある。デューエは大国なだけあって聞きまわるだけでも時間がかかったが得られるものはなかった。
モーテ「国を変えよう…小国だけど…賭けだな」
次に向かうべきは小国、ソリトだ。
――あとがき――
モーテの考え方が人外なのが少し出た回です。
大事ですこの回。
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