第43話 悪だって栄える

――18年前、ジェン8歳


「おら!」


ジェン「何してんだ~!!!?」


いじめっ子と被害者の間に割って入るジェン。でも…


「ああ~?」


殴られてしまった。


ジェン「うう…」


「弱っちいくせに…」


ジェンは小さいころから正義感は強かったが体格は小柄だった。そのためいじめっ子を止めようとしても返り討ちに遭うような子だった。

そんなある日、店で暴れてる男を見かけた。


「うるせえええ!ひっく」


今考えれば酔っているのだがその時のジェンはわからない。でも大事なのはその男ではない。その男に近寄っていく1人の細見の男性がいた。


「ハイハイ、静かにしてね~」


「あ~!なんだちび!」


「💢」


次の瞬間、明らかに体格差のある男を細身の男が倒してしまった。


「お騒がせしました。軍にこいつ連れていくので安心してください」


その時のジェンはどうやって倒したのかなどは分からなかったし、その人が何者かもわからなかった。それでも…目指すところが決まった。


――――――


あれに憧れて俺は子供の頃から鍛えていた…いじめっ子たちにもすぐ勝てるようになった。軍人になってもっと多くの者を守ろうと戦い、26歳にして少将にまでなった。

だが国があれだった。そして…俺は今、あの時の俺と変わらない年の子供と向き合う…


ジェン「やっぱお前が…!サンダー


振り向きざまに雷の剣を振る。

だがその時にはもう…いなかった。


モーテ「随分と感情が出る人だな。黒菊」


ジェン「サンダー!!」


全方位への放出。この子の動きを眼で追えてはいないが…

一度引かせることは出来た。


ジェン「何なんだお前は…なんで…その力を守ることに使えない!?そんな子供の時から強くて…」


昔から思ってしまうこと…


モーテ「?」


ジェン「なんで強いやつは人を傷つける…害する方に行くんだ…」


なぜ力の使い方を間違えるのか…どうしても訴えてしまう。だが…


モーテ「よくわからん」


無慈悲な答え。本当にそういう概念がないのか?


ジェン「何も理由なく人を傷つける…一番嫌いなタイプだお前は」


こいつは!まだ子供!やり直せる!この力を…いい方向に…


ジェン「サンダー付与エンチャント


雷の剣に体の保護。リーチや体格で勝ってるのでこっちに分がある。1発当ててしびれさせれば…


モーテ「嘘でしょ、この期に及んで…殺意無い人いる?バカなの?」


鳥肌が立つほどの冷たい目…


モーテ「黒百合」


雷の剣とあの子の黒い剣がぶつかりあう…

…え?なんで?こっちだけ体勢が…雷の剣が弾かれた。


モーテ「黒菊」


ジェン「やば…!?」


しっかりガードしたはずなのに…すり抜けた?

これ…死んだ?


そう思う頃には既に死んでいる。


モーテ「別に弱いわけじゃないんだけど…弱いな」


殺す気のないやつとか今はいくら来ても負ける気がしない。例えどんな過去があったとしても…そんなことは知ったこっちゃない。

さて…この死体は…どうするかな



そしてジェンがモーテと邂逅するより少し前の時刻。

ノナイウ国にて…


「じゃあ…一番の邪魔物もいなくなったことだ…研究を再開しよう」


「はい。現状ですとやはり合成獣キメラ研究が順調ですね。まだコントロールできない、自我の無いなどの欠陥品が多く生まれますが成功例があります。特に面白いのが孔雀と人間の合成獣キメラです」


「その報告は俺も見た。本当なのか?」


「はい、孔雀捕獲の際に親が事故で死んでしまい、子供しか手に入れられなかったため5歳児と合成したところ最も安定した成功例となりました」


「なるほど…子供の囚人というのはそういないし軍人も当然いない。どう調達するかだな」


「そうですねえ…産ませます?時間かかりますが」


「それは並列して…今必要な分をどうするか」


「う~ん…誘拐?」


「しかないよなあ…子供を狙った連続誘拐犯をでっちあげるのはどうだ?」


「実行犯は?」


「暗部がいるだろ」


「…それで行きましょう」


「良し、どういう子供がいいとかあるのか?」


「まだ1例しかないため色々な年代でやりたいですね」


「わかった。そういえばあの邪魔者の幼馴染も子供がいなかったか?


「いますね。7歳くらいでしたっけ?」


「いいじゃないか。使おう」


「ハイハイ、成功させてみせますよ」


「頼むぞ」


ノナイウではこの数日後、子供の誘拐事件が多発することになる。それと同時にジェンが帰ってこないことから死亡認定。未来の光がいなくなったことでノナイウは中身が腐敗しつつ、非人道的実験の数々によって国力、軍事力をつけていくことになる。


そして3帝の敗退が世界中に広まったことでカステに手を出すものがジェンを最後にぴたりとやんだ。


それはモーテの望んだエルタと同じ。自分の領域、城を世界に示したことの証明となった。

以前までのモーテならここで終わった。


しかし…


――本だけじゃ知らない、わからない世界を見せつけられた。


3帝によってモーテがここで満足はしない思考になってしまっていた。


モーテ「最低限本は読みながら…準備が出来たら…他の国も…人間世界を見てみよう…」


――あとがき――

胸糞悪


面白かったり次が気になる方は星やコメントやレビューお願いします。


余りにつらい展開が続くので口直しに下記作品も読んでください。とても頭が悪くほのぼのすると思います。


https://kakuyomu.jp/works/16817330648374576917

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