第36話 黒蘭
デューエ国(帝国の次に大きい大国)にもカラム国の首都カステの崩壊というニュースが飛び込んできた。
???「は~そんなことあるんだな…グリレット大将がいただろうに…死んだのか?」
部下「そのようです。プーゴ元大将も死亡したとの噂です」
???「まじか」
部下「どうします?アガンテ中将?」
手柄の匂いがするな…調査隊を出すかどうかだが…俺が調査達として行き、原因を掴めば…昇進とまではいかずとも評価は上がるだろう…危険もあるだろうがそこは部下に任せて…
アガンテ「準備を整えろ。俺らが調査隊として行くぞ」
部下「正気ですか?もうちょっと情報を待った方が…」
そんなことしてたら手柄取られるだろ!
アガンテ「証拠が消えてしまう、消されるかもしれん。こういうのはスピードが大事だ」
部下「はあ…?」
アガンテ「急げ、準備が出来次第カステに向かう。会議では俺が話を進めておく」
他のやつらはこんな動き出しが早くはないだろう…十分な差が出る…
部下「またか…無茶ばっかするんだあの人…」
結局会議でも保守的なやつらばっかだったので俺が行くということに反対してくるやつはいなかった。手柄は貰ってくぜ…
いや…一人だけ反対してきたな…
???「アガンテ中将…あまりに早急すぎます…グリレット大将、プーゴ大将に何かあったってことは相当危険です。もうちょっと戦力を整えても…」
アガンテ「ソノ大将…」
中性的な顔立ちをしている男…女にもキャーキャー言われててむかつく。しかも年下のくせしてこいつは俺の上、大将だ…
ソノ「少なくとももう一人は将軍クラスを必要だと思います。もう少し待ってくれたら僕が…」
アガンテ「心配性ですな大将ともあろう人が。それに楽しみにしてるライブがあるとか言ってませんでしたかな?」
ソノ「ライブより人命です。もう少し…」
アガンテ「もう決定事項です。ゆっくりしてる暇はありません」
ソノ「アガンテ中将!!」
アガンテ「ライブ楽しんで」
お前がゆっくりしてる間に俺は実績を積む。お前の立ち位置すら奪って見せる。
だが…
アガンテ「なんだこの死臭は…」
カラム国のカステに向かった俺たちはあまりの有様に驚いた…人がいない。死体の腐った匂いが充満している…まさに地獄…
それでも最も目を引くものは…
アガンテ「あのどでかい城は何だ?」
崩壊し、建物も崩れているものが多い中、異質な雰囲気を放つ城。
誰でもわかる。あの城に何かある。
アガンテ「あの城を目指すぞ」
部下に声をかける…匂いや空気にやられたか部下の顔色が悪い。
全く軟弱な。
アガンテ「大丈夫だいざとなっても俺がいる」
まあ本当にやばいときは逃げるけど。
とりあえずは部下を励ましておく。あんまり顔上がらないな…
いや…てかこの城…近づいたらわかるけど…でかい…
アガンテ「正面からは行かないが念のため兵を置く。他は裏口からだ。侵入するぞ。退路は確保しておけ…何かあったら信号弾撃てよ。よし行け」
部下を先導させる。もし罠があったときの身代わりになる…
部下「あっああっあっ…」
アガンテ「どうし…」
後ろの兵が奇妙な声を出したので振り返ると…
既に兵の首から上が無かった。
モーテ「
死体となった兵が勝手に剣を取り、動く。
近くにいた兵が斬られてしまった…
アガンテ「くそ!」
剣を弾き飛ばす。
モーテ「あら?やっぱ自分の体のようには動かせないなあ…」
兵の死体の後ろから子供が出てくる。だが…目の前にしているのは子供のはずなのに…震えが止まらない。
アガンテ「こいつだ!こいつを討ち取れ!!!!」
モーテ「黒菊」
目の前の子どもがぶれた。勘で剣を振るが当たらない。
次の瞬間には肩が斬られていた。
アガンテ「ぐっ…」
モーテ「あれ?ずれちゃった…難しいなあ実践だと」
信じられない…俺は中将だぞ?多少汚い手段をとっているとはいえ…強くないと認められない…その俺が…こんなガキに…
モーテ「
消え…
モーテ「はい終わり」
あれ?天地がひっくり返って…
モーテ「将軍を、頭を取ったらあとは楽で…」
こいつを…殺せば手柄…
意識がそこで途絶えた・
モーテ「なにこいつら?」
すぐそこで偉そうなやつが殺されたというのに他の兵の動きが悪くならない。どころか…すぐに踏み込んで俺に攻撃してきた。これは…
モーテ「慕われてないなこいつ…」
ショックを受ける死じゃなかったってことだ…逆にやりづら…
モーテ「でも別に強くないな…この前のゼアたちの方が数百倍強かった」
囲まれているけど…良い機会…脱力…剣を早く振り回す感じで…
モーテ「霊剣術…黒蘭」
一気に周囲を切り裂く。
対多人数用、範囲斬撃。
アッ兵士が引いていく…
まあ…
モーテ「城の中なら
再び兵士たちの前に立ちはだかる。
モーテ「黒菊」
モーテの残像が揺らいだ。
ロッティ「いや~どうしよう…決着ついたところで撃とうか」
ゼア「他の国の兵士に気を取られてるところで撃ってもいいのでは?」
ロッティ「それもいいけどイレギュラーの存在は勘弁してほしいから」
オンブ「じゃあ城の外にいる他の兵は俺が殺してくるぞ」
ロッティ「ありがとうございます」
アンジ「あの子かあ…子供の皮被った死神だね」
ゼア「まさしく…」
アンジ「前もって少しでも見れてよかったよ…デューエ国には感謝だね」
ゼア「そうですね…ってデューエ?なんでわかるんです?」
アンジ「あの中将見たことある。装備もデューエ国のだし」
ロッティ「全然わかんないわ…さすが…」
アンジ「デューエならソノ君がいたと思うけど…先走ったのかな?」
オンブ「デューエから別の兵士が来る可能性があるってことか?」
アンジ「いや…ないんじゃない?気配する?」
ロッティ「しない」
アンジ「じゃあ大丈夫」
遠くから帝国の精鋭たちがこのデューエとモーテのやり取りを見ていた。
――あとがき――
小物がサクッと死んでしまう…
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