第35話 念には念を
帝国内にて…
アンジ「聞き間違い?アルソちゃんが死んだ?あんたがいながら?」
ゼア「はい、実際に死体を確認したわけではないですが…」
ロッティ「あんな死にに行く目をして…生きてたら絶対戻ってくるし。疲れてるとかそういうのを超えて戻ってくる…はずなのに…」
今この場にアルソさんはいない。
冗談のような出来事だがロッティさんの目を見て他の者も察した。
アンジ「…それで?軍を動かそうとしてるの?」
ロッティ「動かす。仇は絶対取る」
アンジ「ふうん…まあ手を打たないわけにはいかないけど並の兵士は歯が立つの?」
ロッティ「え?」
それは少し思っていた…
ゼア「私ですら早々入れないレベルの戦いでしたかから…」
アンジ「城にかなりの戦闘跡があったんでしょ?だとしたらすでにカラムが一度兵を派遣して返り討ちに遭ってるって考えるのが妥当でしょ。兵の動員はただ死体を増やすだけになるかもしれない」
ロッティ「でも…!でも…!」
アンジ「わかってる。このままなわけにはいかないよね」
皇帝「…行くのか?アンジ」
アンジ「当然です」
ロッティ「アンジさん…」
アンジ「少数精鋭で行こう。ね?オンブさん」
オンブ「俺かよ…」
息を潜めていた師匠にも白羽の矢が立つ。
アンジ「そりゃ、アルソちゃんとロッティちゃん、ゼアちゃんでだめだったなら私が行くだけじゃ不安でしょ。暗部のトップの力も貸してください」
オンブ「はあ…くそったれ」
アンジ「ゼアちゃんもね、引き続きお願い」
ゼア「はい」
皇帝「…死ぬなよお前ら」
アンジ「大丈夫ですよ。夫いるんで」
オンブ「死ぬ前に逃げます」
ゼア「師匠?」
ロッティ「首取って絶対帰ってきます」
アンジさんがここまでやる気なのも珍しい。普段のらりくらりしてるのに…
ロッティ「じゃあ今すぐ、今日中にでも…」
アンジ「いや3日後にしよう」
ロッティ「なんでです!?早く…」
アンジ「少し休もう。特にロッティちゃんは結構疲れてるんだし」
ロッティ「そんなこと…」
アンジ「あと私も夫に可愛がってもらう充電時間が欲しい」
ロッティ「…」
ゼア「でもロッティさんは少し休んだ方が良いと思います。ずっと気を張ってましたから」
オンブ「俺も準備や事務作業があるからすぐは無理だ。3日後でいいと思う」
ロッティ「わかった…」
ふう…少し休ませてあげれそうな展開…本当にさっきまでのロッティさんは見てて辛かった。
本当はしっかり休むところまで見届けたいけど…
オンブ(この後すぐに来い)
いや~師匠の目が全てを訴えてる…仕方ない…
ゼア「しっかり休んでくださいねロッティさん」
私は会議後、オンブさんについていって暗部の基地に入った。
オンブ「わかるな?」
ゼア「…はい」
オンブ「話せ」
ゼア「モーテ君。年齢は7歳。身長は115㎝ほどでしょうか、多少小柄ですが身体能力はずば抜けてます。猿みたいに動きます。獲物は主にゼーレを読んでいる剣ですが変形、分裂し扇子の形にして使う場合も見られます。この前の戦闘では魔法もかなり使っていました。基本的な3魔法に加えて
オンブ「?」
ゼア「力の流れ?を分かっていることです…最終的にはアルソさん、ロッティーさんの攻撃すら弾き返していました」
オンブ「………弾き返した奴はお前らに当たったのか?」
ゼア「?いえ」
オンブ「じゃあまだ完璧じゃないな…
ゼア「わかりませんがボロボロだった状態でも動けるほどだったので即死性じゃないなら治せてしまうかもしれません」
オンブ「ゼアを参考にした動きというのは…俺が教えた感じか?少し違いがあるか?」
ゼア「あります。私たち暗部の動きが気付かれないという動きなのに対し、モーテ君の動きはぶれて残像をして残ります。実態を捕えにくいというイメージでしょうか」
オンブ「なるほど、よく使う魔法は?」
ゼア「
オンブ「それだけ魔法を使ったら魔力切れになると思うが?」
ゼア「そこは理屈が分かってません。魔力量からはありえないような威力が出ていたりするんです。威力のブレも大きかったように見えます。ムラというにはあまりに大きくて…魔法が一番読めない動きだと思います」
オンブ「ほう…じゃあ次は立地だが…」
この質問漬けは4時間にも及んだ…
でもこれが暗部最強の由縁でもある。仕事の前準備、情報収集から徹底的に行い絶対失敗しないよう計画を立て、備える。
師匠が望むように情報を持ち帰れるようになって暗部は1人前という風潮すらあるほどおなじみの光景だ。
ゼア「ふう…私も疲れた…」
心底3日後に作戦実行にしてくれてよかったと思った…
――あとがき――
またもや帝国会議。
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