第34話 追憶追撃

モーテ「あ~そうか、ここ俺の城内じゃないし、自殺されたら魂のストックにならないのか…それは随分と…流石…か」


しかも魂はかなり使わされている。まだまだあるとはいえ…


モーテ「やっぱ素の力が弱すぎる。このままじゃ魂なくなる。その点…今日は良いものがつかめた」


霊剣術。黒菊と黒百合。脱力がポイントだったりとパワー負けしやすい俺に向いてる。


モーテ「次…次は絶対逃がさない」


2人が逃げていった先を見て悔しさをにじませた。


だが悔しいという点では…


ロッティ「うううううぅぅぅアルソ~」


ゼア「…」


逃げ切り、かなりの距離がモーテと離れたところでロッティさんはずっと泣きうずくまっていた。とはいえ私もお世話になっていた人だ…心に来るが…ロッティさんより悲しむ資格はない。今は私が強くいないといけない立場だった。


――14年前

ロッティ「はあ…訓練疲れた~アルソ、ご飯行こ」


アルソ「ハイハイ。何奢ってくれるの?」


ロッティ「なんで!?」


アルソ「なんでって…この前どうしても~って言ってクソ高い謎の肉まん買ってあげたでしょ」


ロッティ「あれはあれじゃん…」


アルソ「誤魔化すな返せ」


ロッティ「ケチ~器が小さいぞ~!」


アルソ「黙れ幼児」


ロッティ「誰がおしゃぶりするか~!!!!」


アルソ「バブバブ~!!」


ロッティ「わっ。フガフガ…何これ?」


アルソ「おしゃぶり型飴」


ロッティ「いるか!」


毎度のごとく喧嘩。訓練で疲れてるのに…

それでも多分なんだかんだこの厳しい軍でやっていけてるのは幼馴染のアルソがいるから…もある…んじゃないかな?

とそんなことをしていたら気づいた。


ロッティ「ん?誰だろ?あの子。知ってる?」


アルソ「どこ?」


ロッティ「向こうの方の建物にさ」


アルソ「ん?んんん…あっいた。よくあんな遠く見えるわね」


ロッティ「ふふん。じゃなくて。あの子小さくない?訓練生?」


アルソ「違うでしょ…あんな子供が…私たちでも若いのに」


ロッティ「じゃあなんでこんなとこいるんだろ?」


アルソ「…さあ?」


ロッティ「じゃあいいや。ご飯ご飯~」


この時に見かけた少女。出会ったのは1年後…


見つけたのはアルソだった。それも街中で。


アルソ「きみ!」


ゼア「はい?」


アルソ「軍にいた子?」


ゼア「!!!!!!????」


次の瞬間、目の前の子が揺らいだ。


アルソ「あら?」


ロッティ「だめ」


ゼア「…」


アルソの後ろに回って小さい刀を押し付ける少女。の腕をしっかり掴んでうちが止めた。

アルソも振り向かずに少女のこめかみに指を押し付けていた。反応できたとはいえ…

この動き…


アルソ「ここで話すことじゃなさそうだね」


場所を変えることにした。気軽なカフェに入る。


アルソ「で、只者じゃないのは分かったけど…何者?スパイとか?」


ゼア「違う。言えない」


ロッティ「うちたちも一応軍人なんだけど言えないの?」


ゼア「…偉くなったら、上に行けばわかるよ…」


アルソ、ロッティ「「…」」


ゼア「それじゃあ…」


その子はすぐに出ていってしまった。


アルソ「どう思う?」


ロッティ「う~ん、さっきの動きにしろどう考えても只者じゃないんだけど…あの年の子があんな顔しちゃうのが一番気になる」


アルソ「そっか…偉くならないとね」


ロッティ「だねえ~アルソと私なら無敵でしょ」


アルソ「速く大きくならないと置いてくよ」


ロッティー「身長関係ないし!」


でもこんなこと言い合いながらもうちとアルソは徐々に遠距離攻撃特化として力をつけ始め結果を残し、昇進していった。そして…


アルソ「暗部?」


ロッティ「噂はあったけど本当にあったんだね」


暗部の仕事の一部をうちたちの遠距離攻撃を利用して受け持ってもらいたいという話が来た。そしてその時の任務を担当していたのが…


ゼア「また会いましたね…」


アルソ「ああああああああ!!???」


ロッティ「まじ????!!!!!」


ゼアちゃんだった。この時まだ18歳らしい。うちたちが訓練生やってた年だ。


ゼア「小さいとき両親を亡くしてから暗部に預かってもらってたんです。軍も用があってたまに来ましたけどまさか見られてたとは…」


それからは暗部に遊びに行ってよくゼアちゃんと遊んでいた。暗部の技術を持つゼアちゃんは訓練の相手としても楽しかった。ゼアちゃんは仕事は真面目だけど話すと意外と綺麗好きな面白い子だった。シャンプー、リンス、コンディショナー関係をどっさりおすすめされたときは本当にびっくりした。


そこからさらに数年。うちとアルソのコンビは近づけない最強コンビとして名を馳せ、とうとう3帝にまで選出されるに至った。でも…そのときにはゼアちゃんが任務でカラムに行ったせいで会えなかった。


この3帝になるまで…3帝になってからすらスケジュールを合わせて一緒にいることが多かった。子供の頃からずっと一緒で…軍人になろうと決めたのも2人で決めた。

座学はアルソに良く教えてもらってたけど…

お互いが最強になった今でも…最強の相方だった…のに…


ロッティ「ゼアちゃん…」


ゼア「はい?」


ロッティ「3帝権限で…兵を動員する…」


ゼア「…はい」


ロッティ「絶対…絶対!仇は取る」


ゼア「…今は休んでてください。私の方ですべてやっておきます」


私が部屋から出るとまた中から泣き声が聞こえてきた。


――あとがき――

残される方も辛い


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