第27話 城の機能

周り?別におかしなことは…あれ?なんでここで戦って…


モーテ「転移ワープ


目の前にいたモーテがいつの間にか背後に…短距離とはいえ…まじか?

簡単な魔法じゃないぞ?


カウスト「シールド!」


反射的に全方位にシールドを張る。

危なかった…

よくよく考えれば…この城はずっと嫌な気配がしていた。目の前の圧倒的な死臭と殺意に気を取られ過ぎた…


モーテ「まあ逃がす気はないけど…俺の城の中だ。できることは多い」


考えることが増えたな…


カウスト「刺突ピアース


針に魔法をかけて投げる。


モーテ「シールド


防御が早いが…


モーテ「あらら…」


突き破った。身を捻って躱しはしたが…その隙で俺は距離を詰めている。

剣を振るも…しゃがんで躱される。見ていなかったのに躱せるのか…


モーテ「転移ワープ


カウスト「刺突ピアース


当たった。転移先に魔法を使った針を飛ばす。

殺す側の気持ちはわかる。俺ならどこに転移ワープするか…その通りに動いてきた。


カウスト「俺の勝ちだ…」


モーテ「転移ワープ


カウスト「は?」


二連チャン?マジかよ…

手が首筋を狙って伸びてくる…

とっさにその手を掴んだ…いや、掴もうとした。


モーテ「ダメ」


即座に手を引いたところに蹴り。もろ食らった…


カウスト「この…アース


地面を動かして…


カウスト「動かない!?」


モーテ「俺の城だって言ったでしょ」


まじか…でも刺突ピアースは使えたってことは…城に対して影響を与えられないのか…

そんなことを考えながらもあっちは手を緩めない。攻撃を繰り出してくる。


カウスト「ぐっ…」


未だに武器を使ってこない。純粋な体術勝負なのだが…


モーテ「逆」


カウスト「がはっ…」


急に捉えられなくなった。完全に押されてる…

どうなっている…?


カウスト「クソ…ロック


体に岩をまとう。だがそれも避けられた。読まれた?

そこで思い出したのは城を入った瞬間の感覚…


カウスト「感知…まさか…」


モーテ「正解、だけど遅い」


顎に掌底が入る。脳が揺れる…

そのまま首を掴まれた…絞め殺す気か?その子供の細腕で…


モーテ「サンダー


カウスト「かっ…」


モーテ「ふう…強かったな…魂もない、実験のためならゼーレも使えないという縛りがあったとはいえ、この城の中だったから勝てると思ってたけど…しんどかった。でもかなり検証は出来たかな。城中全域に仕込んだ転移陣はしっかり作動。感知陣も作動したね。動きを感知できるようになるまでは結構かかったけど。そっからは楽だった。何か入ってきたってことに関してはすぐわかる。そして…一番大事なところ」


モーテは自分の中の感覚を確かめる。


モーテ「うん、魂が入ってきてる。魂を取るにはゼーレで斬る条件があったけど…この城、敷地内で殺した魂の抽出…一番大変だった機能だけどしっかり作動してよかった」


モーテはカウストの死体の前にしゃがみ込む。


モーテ「これどうしよう?食べてもいいけど…あっ」


モーテは城のある場所に向かった。


モーテ「さてと…どっかにあるかな?」


それは大きな大きな書庫。

ではなく図書館が丸ごとある。

城を作る際に図書館は壊さないように巻き込んだ。結果、城の書庫みたいになっている。


モーテ「ゼアが買ってくれた本なんだよなあ…持ってくればよかったけどそんな暇なかったし…ないかなあ」


探しているのはヴィナチでゼアが推薦した『動物解剖図鑑』である。

しばらくして…


モーテ「あったぁ…本多すぎ…全然見つからない」


図書館における本の探し方を当然知らないモーテは相当時間がかかった。


モーテ「さて、じゃあ検証しようかこの本」


モーテがやりだしたことは解剖。散々動物も人も殺してきた経験で首と心臓を狙うようにはなってるが理屈は知らない。他の急所も知らない。

だが今のモーテはいくらでも実験、実践で知る機会がある。図書館丸ごと飲み込んだ最強の知の泉がある。


モーテ「これが胃で?肺で?うわ、背骨?結構しっかりしてる…」


ゼーレを使って解剖していく。

みるみる床が血に染まっていく。


モーテ「良し、この本すごいな。本当にその通りだったぞ…」


一通りの解剖を終えたモーテが感心する。解剖を始めた時より本も増えていた。何せ知らないことがあったらそれについての本を探して引っ張り出しての繰り返しだ途方もない労力だった。


モーテ「なるほどねえ、斬り飛ばさなくても神経が死ねば動かないのか。血が出すぎてもやばい…ってのは身をもって知ってるけど…この太い血管を斬れば良いってこと?」


知識を蓄えていく。


モーテ「でも、今回一番の収穫はこの記述かな…」


それはある本に記されていた1文。普通に教育を受けていれば基本なのだがモーテにとっては初めて知る事実。


治癒ヒールは人体と負傷箇所を理解し、治す魔法である。基本的には傷を塞ぎ出血を止める、火傷の炎症を治す、毒の除去などができる』


モーテ「知らなかった…魂使って無理やり治してた…。でもこの後の記述は本当か?」


治癒ヒールを高め、極めたものは欠損、なくなった腕や足を生やすまでに至る。死者が蘇った例は存在しない』


モーテ「腕が生える?化け物じゃねえか…」


カウストの死体を見ながら信じられない記述を前に固まっていた。







モーテ「この死体どうしよう?」


特に掃除の方法は考えていなかったらしい。


――あとがき――

2章…どうなるかなあ…


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