第25話 モーテの城

人のいなくなったカステを見渡す。


家も店も、人の営みの跡が残っている。しかし…人がいない。俺が滅ぼした。

過ごしていたのはヴィナチだから別に思い入れもないが…こうも死体が倒れている都市というのは…すごい光景だ。血の匂いも死の匂いもごちゃまぜの世界。

森では当たり前だった世界。


「はは…あ~俺、人間じゃないんだろうなあ…」


このヴィナチでコンパ、アンコ、ゼアと暮らして、カステの光景を見て、殺していったものの表情を見て思った。森の当たり前は人間にとって当たり前じゃない。

俺の常識は…人間の非常識だ…

当然のように俺が感じる殺気も、空気も…みんなは感じられない。

俺は死んだ者をずっと見てしまう気持ちが分からない。

なぜ殺されるという場面で動けなくなるのか分からない。


「人間とは人とは…人の中で出来上がる」


そして…


「それは弱さであり強さだ…訓練され、統率のとれた連携は強い。一方でどこかが欠けたら急にもろい。群れで生きる人間は群れで生きるからこその強さと弱さがある。もう十分、俺は人のことを知った。どうすれば困り、怖がり、殺せるのか」


俺は違う…


「1人で生き抜くために…カステを滅ぼした。もう…全てが人間とは程遠い…人の皮を被った、だっけ?本当に良い表現だなあ…俺は…しいて言うならなんだろう?」


それは多分…


「死神かな?」


感傷に浸るとは違うが…何か気持ちにけりをつけた。


「さて、エルタと同じ領域への…第一歩。そして…」


俺は酷使した体を引きずってカステの中心へ向かう。まだ…やることがある。


「結局、このゼーレって剣は何だろう?明らかに異質…」


今更だがこの剣のことは結局分からずじまい。

ただ自由に出し入れでき、変形でき、斬った分の魂を魔力に変えて撃ち出せる。軽くて強靭な禍々しい剣。どこの国宝ですか?

だがそんなことは今はどうでもよかった。このゼーレを使って、いや…


「ここで得た膨大な…万の魂を…使い切ってでも…」


俺はカステの中心に剣を突き立てる。そして自分の理想をイメージして…絵本にあったようなものを…



全魂オールソウル創造クリエイト!!!」



この日、カステに巨大な、それこそ天にも昇るような巨大なが建てられた。住人はただ一人…モーテだけ。



自分以外の侵入を許さない絶対領域。入ってきたらわかるように感知の陣も城の周辺に刻んでいる。それ以外にもカステの人の魂を使い切って多くの機能を持たせた。

一番苦労した機能がちゃんと作動するかはわからないのだが…


「誰か1人くらい来てくれないかな…」


検証するには侵入者が来てくれないといけない。まあそれは待ってればこれからいくらでも来る。ひとまずは…


「ふう…少し寝ようかな…」


疲れた。しっかり城の中にベッドも創造クリエイトしてるので少しの間の眠りにつく。


【…ご馳走様】


「ん?なんか聞こえた?…まあいいか、ふああぁ」





〚どういうことです?こっちに魂が入ってこないとは〛


⁅知るか!!でも…これは確かにおかしい、そっちにも行ってないのか⁆


〚でも地上に溜まって霊となっているわけでもなさそう…〛


⁅どこか別の場所ってことか…は~…⁆


〚でしょうね~、ほっといても人間の寿命なんて70年ぽっちなのでそこまで気にする必要はないと思うが…〛


⁅10年持った奴すらいないだろあの剣。無視だ無視。こっちだって忙しい⁆


〚悪い人が多いもので〛


⁅全くだ⁆


〚今回も放置ということで、それでは〛


⁅ほーい⁆




数時間後…



「…来たかな?」


目が覚めた。とりあえず城の感知陣は機能してるようだ。


「さてと…迎えに行くかな」


モーテの物語はまだ始まったばかり。


――あとがき――

ここで1章終わりです!!!

お疲れ様です!

次が2章ですよ~!!


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