第24話 カステ崩壊
プーゴという最大の切り札、そして心の支えを失ったカステの兵は脆かった。
懸命な抵抗を見せるも恐怖心が体を動けなくさせる。
兵「うわああ!!」
兵士は俺を倒しに来るが無我夢中といった感じ。やけくそだ。
一般人の避難との同時作業だが、おれに人を割くと避難が遅れて結局被害が増えるというどっちつかずでもある。
「ほッ」
それに向かってくる兵も怖くない。その何よりの理由は相手が弱いからじゃない。兵士は普通に強いが…
兵「おい!息あr…」
「人の心配してる場合?」
1人殺すごとに何人も動きが止まる。そっちに意識を持っていく。そして驚くべきことに…俺から目を離す。死体を見る。
そんなの…
「隙だらけにもほどがある」
1人殺せば次の何人かが殺せる。死の連鎖を起こせる。
しかも今の俺には箔がある。
「プーゴを倒した相手が怖いか」
死にかけたことがないんだろうな。こういう実践で弱いのは。
それでも…無策じゃないのはさすが兵士。
徐々に俺を兵が囲んできている。
包囲されてるな。でも…
「数は力…少なくとも俺相手でそれはない」
むしろ数揃ってれば俺の狩る魂が増えるだけだ。
「
包囲網の一部に叩き込む。数人仕留めたっぽい。魂が入ってきた。
兵「止めろー-!!!」
足止め用の魔法が飛んでくるが…
「怖くねえな、
殺意が感じられない。これは…訓練通りに、機械的に動いてるだけだな。さっき数人が死に物狂いでかかってきた方がまだましだった。
「でも…心を攻撃するならこうだね」
俺は身を隠して、息を潜めた。
兵士たち「…どこに?」
「捜索しますか?」
「包囲を崩すわけには…」
「探知班!?」
「待ってください」
「どこからくる…?」
「勘弁してくれ…」
姿を隠すだけでメンタルが削れる。見えない敵というのは怖いものだ。とてもよくわかる。奇襲に備えるのがどれだけ難しいか。森でよく知ってる。
「だから…探知班は厄介、だったんだけどね」
それは知らない魔法を使う兵士たちと戦ってて思ったこと。今なら新しい魔法も…魂を使えば使えるのではないかと。しっかり使えるわけじゃないし非効率でも…。知らない魔法ができるのでは?
「見たことある」を「できる」に変えるほどの力が…ゼーレにはある。
「
さあ…どうなる?
兵士たち「感知班!まだ?」
「…いません、感知に引っかかりません」
「バカな…包囲を抜けた?」
「いや…そんなことは」
「
「じゃあどこかで被害が?」
「包囲を解いて捜索にしますか?」
出来たな。
そして相手は一気に迷いだす。
一般人の保護に向かうべきか?捜索するべきか?潜伏してるとみて包囲を継続するか?そして…継続するとして…心が持つか?
こうなるともう人形相手と変わらない。
「最初の一撃で一気に貰ってくぞ…
7個も魂を使うと相当の攻撃規模になる。一撃で包囲網に大きな穴が開いた。
ここを抜いて一般人を追う方が良いのか、この混乱に乗じて兵士を殲滅か…
迷いどころだったが…
「兵の殲滅かな。一般人は兵士が戦ってるだけでも希望出るでしょ。それを断つ」
俺は包囲網が壊れて慌てる兵士に斬りかかる。
兵士たち「いたぞこっちだ!」
「はやk…」
「撃て撃て近づけさせるな!!」
「いや…消えた?」
「後ろ!!!!」
「
まとめて殺せそうならしっかり持っていく。
「
俺は一気に飛び上がる。さっきと違い姿をさらけ出す。
「
広範囲攻撃。今までは手から直接、相手の体に流すことしかできなかったが魂を使える今なら離れていても…電撃攻撃として使える。
「もう一発、
極大の炎を吐き出す。
もう竜の吐く炎より強い。
今の二発で大体は一掃できたか?
そして、これは上空から撃ったので避難している人たちにも見えている。
市民「なにあれ?」
「…終わりだ」
「悪魔?」
プーゴを倒した後の兵の反応が顕著だったが、人は怖いものが相手だと固まり、動けなくなる。
さっきの
「はあ、はあ、はあ…」
しかし全てが順調とはいかない。疲れてきた。
「ふう~、
でも…魂を使って回復もできる。魔法として正しいやり方かはわからない。しっかり魔法を使えるならもっと少ない魂で、魂を使うまでもなくできるのだろうが…
「今は…これでいい」
無理矢理でもいい。動く。ここで…決める。
その後も俺は多くの魂を刈り取っていった。
数が分からない位。
援護の兵も来たが相手ではなかった。
一晩中、本当に一晩中、夜が明けても止まらず、寝ることもなく淡々と殺していく。
そして…昼前。
「反応がない?全滅したか?」
カステをうろうろと移動するが
「終わった…いや、終わらせた」
こうして落ち着いて見渡してみると…
「静かだな…動物がいない分、獣がいない分…人が消えるとこんなに静かなのか…」
この日、カラム国の首都であり最大の都市、カステが崩壊した。
――あとがき――
…
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そして次で1章が終わりです。
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