第23話 命の天秤
ある意味落ち着いてきたというか奇襲じゃなくなったというか、抵抗してくる人が増えてきた。こうなるとさっきまでのように一方的にはいかない。
でも…建物の中に入ったり隠れたりして奇襲に似た形を何回でも取れる。
人間の世界は上と下という概念だけじゃなくて中と外がある分隠れやすい。
「逃げる人と向かってくる人がいるんだよなあ…できれば逃げる人も射程に捉えたまま敵の戦闘要員と当たりたい」
逃がさないように少しスピードを上げて建物を斬りながら突っ切っていく。
「邪魔」
戦闘要員をあっさり切り捨て逃げていた人たちに襲い掛かる…が
「ちっ」
プーゴ「
俺はプーゴの接近を察知して引いた。
思ったより遥かに出てくるのが早い…勘か?
プーゴ「おい…ガキンチョ…どういうことだ?」
すげえ圧…グリレットと遜色ない。
「色々あったんです。俺は俺の生き方をするために…カステを滅ぼさせてもらいます」
プーゴ「…グリレットは?」
「殺しました」
プーゴが目を細める。
プーゴ「そうか」
プーゴの残像が揺らいだ。
「おっ…
「
相殺…。
こっちは魂を使っての攻撃なのにあっちにとっては基本攻撃。
グリレットもそうだったが実力差は明らか。俺はこの威力を出すためには1人殺さないといけないというのに…
プーゴ「この威力…どうなっている?」
だが驚いているのはあちらも同じ。ついこの前まで防げずに逃げ回っていたのだから当然か。
プーゴ「グリレットを殺した…その言葉が嘘じゃないことはわかる。死臭がお前からはする。それでも理性が否定していた。無理だと…しかし…しかし…あり得るかもしれない。お前は…カラムの敵だ」
明確な殺意。
「そんなことわかってますよ…だから、守ってみてください」
プーゴ「むっ?」
「
プーゴではなく射程内の一般人に向けて攻撃を放つ。
プーゴ「こいつ!!!
プーゴは一般人を守るため俺の
「次、
違うところに向けてまた攻撃、次は広範囲で。
プーゴ「
岩の壁がせり上がってきて
その間に俺はゼーレを2つの扇形にする。
「次、
二方向に攻撃を向ける。さあ、どっちを助ける?
「
一方向を
「さすが、次」
俺はある方向に向かう。
「見っけ、
プーゴ「ふざけんなあ!!」
おお、間に合った。がれきに埋もれてた一般人もしっかり救出している。
でも…やっと傷を負った。
プーゴ「大丈夫か?早く逃げろ」
この状態でも市民に対して優しく接する。流石が、軍のトップに君臨しただけはある。
「守ってみなよ、
プーゴ「
相殺された、どころか少し俺が押されたか。
「仕方ない」
俺はまた距離を取り違うところに向かう。ちょっと距離あるが…
「
スピードを上げる。
プーゴ「待て!」
プーゴも追ってくるが…目的まで間に合いそうだ。
まだ避難がそこまで進んでいない地域、他の兵も近いが…メリットの方が大きい。
建物内に入る。
プーゴ「逃がさん!
「いいの?」
俺は建物内にいた人を盾にする。
プーゴ「っつ!!」
プーゴの手が止まった。
「
プーゴに攻撃。ほんの少し足止め、牽制にはなったか。
そのまま盾にした人は斬る。魂補充。
プーゴ「なっ!?モーテえええぇぇぇ!!」
それを見たプーゴがすごい形相で向かってくる。
俺はそのまま死体をプーゴに投げつけた。
プーゴはそれを受け止めて、止まった。
「貴方たちは…死体を恐れ、そして大事にする」
森では違う、生きるためなら…死んでしまった仲間ですら喰う。
「無理しすぎだねご老体」
教えてもらった魔法で…葬る。
「天国への心臓マッサージだ。
「
防御よりも早い。
俺はプーゴの心臓に強烈な一撃を叩きこんだ。
プーゴ「うっ…」
そのままプーゴは心臓を抑えて倒れた。
「もし、もしも貴方が周りを見捨てて俺を殺しに来てれば…どうなってたかわからなかった。でもそれができないことは知ってた。そういう人だから。でもね…」
俺はカステを見渡す。
「貴方がいないから守れない命がこれから生まれる。目の前の何人かを見捨てれば…守れたかもしれない命。でも人間はその天秤の通りには動けない」
生きることが当たり前である人間は、命の天秤が作用しない。
それ以外の考えることが多すぎるから。全てを求めてしまうから。
感情が邪魔して理屈で動けないから。
「さあ、人の殺し方はもう十分わかった。落とそうか、この国の中心」
最大の障害を倒した俺はそのまま次の魂を刈り取りに向かった。
――あとがき――
誰か止めて…
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