第22話 エルタを真似て
コンパ「ゼア…冗談だろ?」
アンコ「嘘でしょ…?友達だと…」
俺も驚いたが納得でもあった。1人だけ身に纏う空気が違うとは思っていた。
そして…ゼアの目はもうコンパとアンコを見すらしない。
ただ…俺だけを見て…
ゼア「モーテ君、君は帝国の脅威ともなる…いつか始末する。でも今は…逃げさせてもらうよ」
コンパ「待って…どういうことだよ!!」
アンコ「ゼア…?」
ゼア「じゃあね…
「なっ!?」
コンパ「そんな…そんな…」
アンコ「もう…いや…なんなの?」
それにこっちの魂をいただく方が先だ。
ゼアの件で完全に心が折れてる。
「終わりだね」
後ろに回り込んだことすら気づかない。
剣を振り上げる。
コンパ「あんこ…」
コンパの首を切り落とす。
アンコ「あっああ…コンパ…嘘…」
続いてアンコの方へ…
アンコ「モーテ君…私は本当に君を友達だと…思ってたよ」
「俺もだよ」
躊躇いなく剣を振り下ろした。
迷いなく…斬れる相手は友達なのか?まあいいか…
俺は残りの兵も蹂躙していった。
特に危険も、心の痛みもなかった。
「ふう…」
終わった…いや、1人…ゼアだけ逃がしたか…
でも魂もそれなりの数が溜まった。
もっと喪失感があると思ったが意外にもそこまで変わったことはない。
ただ…ちょっと疲れた。
俺は久しぶりにふかふかの布団ではなく森の木の上で軽く眠りについた。
一方、ゼアは…
ゼア「楽しかったよ…コンパ、アンコ。ごめんね…あの子が来て全部変わった。そして…あの子を放置はもうできない」
ほんの…ほんの少しの涙を眼に浮かべながらも帝国に走った。
ふう…十分休んだかな。
この後…どうするか…
また森で暮らす?でも…美味しいご飯がな~。
そんなことを考えていると浮かんできたのはエルタの生き方。
自分の領域に入ることを許さないあの威圧感。
「圧倒的な力で、自分の領域を主張し…守る…」
例え森の中でも人間の世界でも…変わらない。強いやつが生き残る世界。
「自分の城…作るか~」
俺はカラム国のヴィナチを抜け、そのまま行ったことない首都カステの方に向かった。道や方向は聞いたり看板観たりで何とか辿り着いた。
そして…
エルタは領域内の侵入者を排除してた…あの圧倒的な力で。俺も真似する…できる…できる!
「邪魔者排除だ」
休み休み来たので既に日は落ちている。
狩りには良い時間。そして…カステに住む住民たちにとっては恐怖の…あまりにも恐怖の一夜が始まる。
「
カステのある一画を建物ごと斬って開戦、いや、狩りの始めとした。
「
周りを把握する。建物の中にいるのも全部、全員。斬って俺の血肉に変える。
夜だからか寝てる人が多い。こうなると危険すらない。余裕。
例え起きてても油断してるというか…全く警戒していないやつらばっかだ。
こうなるとやっぱ森の中とはあまりにも違いすぎる。例え夜だろうがいつでも警戒しないといけなく、奇襲も野生の勘で逃げられることがあるあの環境とは…
ぬるすぎる。
だが…ここにはあいつがいるはず…
プーゴ「ん?」
眠りについていたプーゴは何か、説明できない嫌な予感を感じ取り目を覚ました。
プーゴ「…落ち着かん」
異常を察知したプーゴはパジャマから軍服に着替える。
普段健康体でよく眠るプーゴにとって眠れないというのは十分異常事態。
プーゴ「グリレット…無事か?」
今、森の調査中のはずの愛弟子に思いを馳せる。
もう死んでいるが…
ただここまで不安感というものを感じ取れる時点で他とは別格であることが伺える。
兵士「あれ?プーゴさん。どうしました」
外に出るとまだ起きている兵士が珍しそうに聞いてきた。
プーゴ「いや…何か事件や報告来てないか?ヴィナチとかから」
兵士「いや…聞いてないですけど?ヴィナチ?グリレット大将のシュラの森調査が気になりますか?」
プーゴ「いや、聞いただけだ…」
ビービービービー!!
兵士「うわ?」
プーゴ「…」
プーゴが一気に顔をしかめる。軍用施設に備え付けの非常事態宣言のアラームだ。
プーゴ「なああにがああったー-!!」
アラームに負けない声量で怒鳴るプーゴ。おかげで数十秒後には他の兵士がプーゴの元へ連絡に駆けつけることが出来た。
兵士「報告します。カステの南の方で…大量殺人が現在進行形で起こってるとのことです」
プーゴ「犯人は?」
兵士「確認できません。ただ明らかな戦闘の跡も見られると。住民からの報告ですが一気に何件も来たので非常事態としたそうです」
プーゴ「…俺がとりあえず行く、動ける兵から現場に来い。一般人の避難誘導だ。他国の進行の可能性も一応考慮しろ。全兵たたき起こせ、非番のやつもだ」
兵士「そこまで?」
プーゴ「嫌な…嫌な予感がする。責任は俺が取る動け!」
兵士「了解!!」
プーゴもすぐさま走り出す。
プーゴ「
そして外に出た瞬間に分かった。
プーゴ「血の匂い…死の肌感覚…これまじでやばい人数死んでるぞ…」
歴戦の兵士の持つ感覚が告げる。
それとは違うが森での感覚を身に付けたモーテも…
「空気が重くなった。遠くでもプレッシャーがあるなあ…プーゴが動き出したかな?」
しっかりプーゴの存在を感じ取っていた。
――あとがき――
頑張れプーゴさん…
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