第21話 初めまして

インチェ「そんな…まさか…」


転がってきたグリレットの首。

そして先程のディクトの死。


カラムの兵の心を折るには十分過ぎた。

森からモーテも出てくる。


コンパ「モーテ…なのか?」


アンコ「ひっ…こわい…」


ゼア「別人…いや…戻ったというべきか」


ゼアは初めてモーテに会った時を思い出す。


あの躊躇なくコンパを殺す気のあった冷酷な目。

今と同じ目だった。


モーテが覇気を失った、戦意すら喪失した兵士たちを一方的に蹂躙しだす。

しかしゼアはその行動が不思議でもあった。


あの子が目的のために躊躇なく殺せる人間って言うのは知ってる。森での生活も聞いてたから…私たちを殺す目的は?確かに今現在、一方的とはいえ兵士相手はノーリスクじゃない。あの森の中で…なにがあった?


コンパ「なんだこれ?」


アンコ「もうやめてよお…」


インチェ「くそ…ウッド


インチェが動いた。

モーテを捕えようと木が伸びていくが…


「ふんっ」


全然捕まらない。


動きがどんどん洗練されてる?人殺しのために洗練されていってる?


魂×1ワンソウル斬撃スラッシュ


インチェ「アース


土の壁を出して防御…

だがモーテの斬撃スラッシュが切り裂いてきた。


インチェ「なんだこの威力…」


モーテからは考えられない威力。だが、グリレットを殺したという事実が常識という概念を許さない。


インチェ「大将を倒したんだ…7歳の子供が…子供ですらないこいつは」


間違いない。ただの子供をはるかに超越している。


インチェ「ウォーター


水量でモーテを押しつぶす気か…確かに今のモーテ相手に近接は…


魂×2トゥーソウル斬撃スラッシュ


水ごと切り裂いた…


インチェの左手が斬り飛ばされる。

しかもその隙に懐に入り込んでる…早…


アース!!」


インチェが自分の足元の地面をせり出させて上手く躱した。流石。


だがすぐさま私の近くの兵士が倒れた。ゼーレを投げたのか…

私たちが戦いに入れず見てるだけになった心の隙をついて…

そのままインチェに迫る。ゼーレの強みだな…

投げても手元に戻せる…


インチェ「ウッド


インチェも小さい刀を出す。珍しい。

ゼーレのことも知ってたからかちゃんと魔法と体術で対応できて…


あっ


魂×1ワンソウルサンダー


ゼーレに意識が割かれたその隙をついて素手で触れてのサンダー

インチェまでやられた…が…モーテの様子も少しおかしい。


「あれ?魂が入ってこない?生きてる?」


インチェの死体に近づき確認するモーテ。

なにしてるんだ?


「死んでる…なんで?」


今ここでこの子を殺した方が…いやでも…


「ゼーレで斬る必要があるってことかな?斬撃スラッシュは許容してくれるのか…」


私にはやることがある…だから…


コンパ「インチェ少将…」


アンコ「うっ」


モーテの凶行に未だ向き合えない2人。でもそんなことも言ってられない。


コンパ「やめろおおおお!!モーテ!刺突ピアース!!!」


コンパが動いた。モーテも素早く躱す。相変わらず敵意の察知が早い。


コンパ「なんで…何があったんだ!?ハイムって…!!」


それは私も気になる。

でも…


「いいよ…俺が弱かった…もう…割り切った。清算済みだ」


禍々しさが増した。


コンパ「クソ!!!」


コンパがモーテに攻撃を仕掛ける。こちらも覚悟が決まったようだ。


コンパ「何があったかは知らない…が、もう見てられない。せめて…せめて…として…俺たちの手で」


そうきたか…


コンパ「アンコ、大丈夫か?」


アンコ「できない…年が離れてても…友達を…」


コンパ「かといってほっとくわけにはいかないだろ。向き合うぞ…俺は」


アンコはつらいだろう。コンパも気さくに絡んでいたが、モーテを一番かわいがってたという点ではアンコだ。

だがそんな会話の余地すら…隙すらモーテは見逃さない。


コンパに斬りかかる。ほっといたら致命傷レベルで斬られている。


コンパ「ぐっ」


アンコ「コンパ!!!~~~~~~~~もう!ファイア!」


モーテとコンパの間に火が割って入る。うーん良い炎。


アンコ「だめだよ…モーテ君。もう…回復ヒール


さらにコンパに回復ヒールをかける。

良くコンパも即死しなかったな。体格もあるだろうが何発か攻撃を凌げてたのが大きい。


コンパ「ゼアも!モーテは俺たち3人で止めるぞ!それが…俺たちにできることだ!」


アンコ「もう…もう殺させない!!!」


私にも声をかけてくる。でも…


ゼア「それは出来ない」


コンパ「!?気持ちはわかるが…」


ゼア「そうじゃない」


アンコ「ゼア?どうしたの…?」


「?」


ゼア「収納ボックス


私は収納ボックスからある羽織を取り出しそれを身に纏う。


コンパ「その服…」


アンコ「え?」


2人は気づいたかな?


「ずっと…気になってた。ゼアだけ何か違う。そして…グリレットの首を見た時…少し笑った」


流石に表情を隠しきれなかったか…びっくりしたせいで油断した。


ゼア「そうだね…じゃあ…改めて…」


私はゆっくり話し出す。


ゼア「帝国暗部所属、ゼアです。皆さん


――あとがき――

ゼア…


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1章はこっからぞっとする展開が続きます。

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