第18話 迫る運命
3か月って早いんだな。リヴの21に森から出て…その次の日には3か月後の調査が決まった。今はマミの24。明日がいよいよ調査の日だ。
「エルタどうしてるかな?会えるかな」
とはいってもこの調査で全てを踏破する必要はなくそれなりに進む。安全な道、今後も使えるルートの確保が今回のメインらしい。
コンパ「明日だ~。グリレット大将に会えるな~」
アンコ「憧れだもんね」
コンパ「ああ、あの人みたいになりたいな」
俺その人のことあまり知らないんだよな…
「大将で最強だっけ?どんな人なの?」
アンコ「う~ん逸話は色々あるよ。熊を殴り殺したとか、木に寄りかかって居眠り中に頭突きして木をへし折ったとか」
コンパ「あれ実話らしいけどな。でも本当にすごい人なんだ。モーテの指導をしてる元大将のプーゴさんと今のグリレット大将。この2代でカラム国は一気に力を付けた」
「ふむ?」
コンパ「そりゃ帝国とかの方が総合の軍事力としては強大だけどさ、グリレット大将は3帝にも迫る強さって言われてる」
「ごめん、3帝って何?」
コンパ「ん~っと帝国軍の頂点に立つ3人だ。1人いたら戦場が激変するって言われてる。圧倒的な武力で皇帝とほぼ同じくらいの権力を持ってる人たち」
「そんなのいるんだ…」
アンコ「今の3帝って結構若いんだよね?最近なんか話あったっけ?まあ話聞いたときって基本、甚大な被害が出てるから話が無いのは良いことだけど…」
コンパ「話が逸れたな。グリレット大将は言うて優しい人だぞ。部下をかばったりした話も沢山あるしな。プーゴさんと組んでた時と違って戦略を練るディクト少将が副官にいるから最近は無茶も少ないらしいし。例え森でヤバいやつに会ったとしても問題ないと思うぜ」
森での心配はしていない。正直、兵士が全滅しても俺は生き延びれる自信がある。
プーゴ「なんだ?グリレットの話か?」
そこにプーゴが来た。
コンパ「プーゴさん!?お疲れ様です」
アンコ「お疲れ様です」
プーゴ「ああ、良いよ。もう訓練は終わってるしな」
「明日でカステに戻るんだっけ?」
プーゴ「ああ、グリレットがこっちに来る代わりだな。有事に儂が備えることになる」
コンパ「引退しても引っ張りだこですね」
プーゴ「仕方ないのう。早くお前らも育って儂に楽させてくれ」
コンパ「はい!」
アンコ「頑張ります…」
プーゴ「お前らは全員調査隊のメンバーか」
コンパ「そうです」
プーゴ「そうか。グリレットに会うのも久しぶりか?」
アンコ「軍に入ったときに一回あったくらいかな?」
コンパ「こっちの支部に移ってからは会ってないな。基本カステを守ってる人だし。あっでも一回こっちに来たんだよな?2年前くらいに」
アンコ「あの時は機会がなかったから。私たちまだ戦場に出る感じじゃなかったし」
プーゴ「そういう話を聞くと儂が引退して結構な月日が経ったと感じるな…」
コンパ「そういえばグリレット大将の大将昇格と共にプーゴさんが引退しましたね」
プーゴ「あれはグリレットのやつが儂より強くなった時にしようって決めてたんだ。大将を退く2日前か?模擬戦でグリレットが儂に3連勝してな。これはそろそろだなってことで大将を代わった」
コンパ「そんなことが…」
アンコ「それもっと広まってていい話じゃ…?」
プーゴ「知らんのか?少なくともインチェのやつは知ってると思うぞ?あいつディクトの頭でっかちと仲良かったし」
コンパ「えええ?!」
プーゴ「ディクトがグリレットの副官になってしまったから最近は組んでないが以前はインチェとディクトの2人組はよく見た。そうなると今回の調査隊は懐かしい光景になるかもな。インチェも行くんだろ?」
アンコ「はい、いま頑張って書類作業とかを終わらせてるところだと思います」
可哀そうだな。
プーゴ「基本3~4人組となると今回はグリレット、ディクト、インチェの3人組がみれるかもか。儂もその場にいたいものだ」
コンパ「うわ、それ言われるとすげえな」
アンコ「ね、その3人が先頭でそのすぐ後ろが私たちだよね。モーテ君の道案内が必要だから」
俺は既にコンパの班に入ることが確定している。コンパ、アンコ、ゼア、おれの四人組だ。
「その陣形…俺は未だに不満だけどな」
アンコ「まあまあ、もうちょっと私たちを信じて」
そう、この陣形は結構俺は文句を言っていた。森の獣は狩りのプロだ。正面から襲うということはほとんどあり得ない。基本死角から襲ってくる。だからグリレットだかを後ろにした方が良い。俺が前にいればいいだろうと言っていたのだがそれは通らなかった。トップは前に行くもの…という謎の伝統があるらしい。愚かな…
プーゴ「明日頑張れよ。無事でいろ」
「「「了解」」」
俺たちはそこから自分の部屋に戻って早めに寝た。
そして…運命の日。
次の日。シュラの森調査の日。
インチェ「さて…うちのとこからは全員揃ってるな。あとはグリレット大将とディクト、カステからの兵を待つだけか」
大将たちは少し前から首都を出ていて、今日のこの森の手前で合流する予定らしい。昨日にはだいぶ近くにいたらしいが休息をしっかりとるために会う機会はなかった。
だが、ついにその人影が見えてきた。
「え?」
インチェ「きた」
グリレット「おお~!インチェか!会うのは久し―――――――――――」
先頭にいた大男がインチェに声をかける。
だが俺はもうそんなことどうでもよかった。耳に入りすらしない。
ドシンと心が重くなる。
「あt…あっあぁぁお母……」
無意識に閉じ込めていた記憶が像を結ぶ。
体が震える。心臓の音が聞こえる。
俺は見覚えがある…この大男を。この…大剣を…
「うっっっああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
目の前の男の姿が記憶と重なった。
手にはもうゼーレが握られていた。
【さあ、はじまりだ】
――あとがき――
こっからが本編です
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