第15話 基礎魔法

プーゴ「剣や己の体に魔法をかける付与エンチャント、魔力を溜めて放つ衝撃ショック、そして魔力の盾を作るシールド。これが人間の使う3大基礎魔法だ。お前はシールドに関しては問題ないから残り二つをやっていく」


だがここに俺は文句があった。


「俺のシールドってついさっき破られたばっかなんだけど…問題あるでしょ」


プーゴ「お前如きが儂の攻撃を防げるわけないだろう。今は十分だ」


それでも納得いかない。防げないというのは死に直結する。


「嫌だ、シールドでちゃんと防ぎたい」


プーゴ「十分だって…」


「なわけねえだろ!死ぬだろうが」


プーゴ「💢生意気なガキだな」


いつの間にか他の兵が訓練を止めてこっちを見ている。


「死にかけたことない人が出てくんな!!」


プーゴ「戦場を知っとるわ!」


「なら防御の大事さわかってるでしょ!」


プーゴ「守るだけじゃ兵はダメなんだよ!!勝たなきゃいけないんだ!」


「はあ?!何言ってんだ!?逃げる、生き延びるが最優先だろ!!」


本当に何を言ってるんだ?勝たなきゃいけない?あほか。逃げればいい。生きてれば勝てる相手を狩って食べていける。


プーゴ「…根本的な考え方が違うのか」


「あ?」


プーゴ「君は今までずっと…生き延びるためだけに力を使ってきた。でも我々は違うんだ」


「はあ?死ににいくの?」


プーゴ「当然死なないことは大事だ。だが我ら兵士は後ろに守るものがある。そのために戦うんだ」


「守るもの?」


プーゴ「家族や親友や国民全員を守るために戦う必要がある。そのためには我々は敵から逃げれない、倒さなければならない」


「ふ~ん?大変だ」


プーゴ「まだわからないか」


「うん、めんどくさいね」


プーゴ「いずれ分かればいい、だから…早く訓練に戻れお前らぁ!!」


足を止めていた兵士に怒鳴るプーゴ。

兵士が一気に散っていった。


兵士たち「は~守るものか…なんか久しぶりに意識したかも…」

    「わかる。気が引き締まったな」

    「強くならないとな」

    「俺とか奥さんいるから…」


少し活気づいたか?


プーゴ「というわけで…付与エンチャント衝撃ショックの練習をする」


それはそれとしてこっちも進む。


「へいへ~い」


少し不満だが仕方ない。何かこいつらの考え方があるのだろう。


プーゴ「魔力の放出は出来るか?」


「あまり意識したことない…」


プーゴ「今までの魔法は森の獣を参考にしてたんだったか?」


「うん」


プーゴ「う~む…付与エンチャントの方がまだ教えやすいか?手を出してみろ」


「ほい」


プーゴは俺の手に自分の手を重ねる。


プーゴ「付与エンチャント


プーゴが俺の手に付与エンチャントをかけた。


「これは…」


プーゴ「その感覚を覚えろ、そして自分で使えるようにしろ」


武器や自分の体だけじゃなくて他人の体にもかけれるのか。

でも…


「これってどんな効果あるの?」


身体強化ボディバフと違ってあまり違いが…


プーゴ「身体強化ボディバフは筋肉を活性化するからスピードやパワーを上げるが付与エンチャントはどっちかというと保護する感じに近い。魔力を上手く使えば破壊力とかも出るが…試してみるか?」


プーゴが木刀をこっちに投げてきた。

そしてプーゴ自身も木刀を持つ。


プーゴ「付与エンチャント。よし、少し打ち合うか」


プーゴの剣には付与エンチャントがかかる。それと打ち合うのか。


打ち合ってみると一太刀目でこっちの木刀にひびが入り…

二太刀目で完全に折れてしまった。


ゼア「あ~だよね、私と手合わせしたときも使ってこなかったから…やっぱ使えないんだね」


ゼアは訓練が余裕なのか、ちらちらこっち見てるな。

いや…それよりこの木刀か。


「結構違う…」


プーゴ「だろ?これを極めると拳で剣と打ち合うなんてことも可能だ」


それはする予定がない。


プーゴ「あと衝撃ショックは…食らいまくればいいか」


ん?

そこからは酷かった。ひたすらに組手、そして…


プーゴ「衝撃ショック!!」


ひたすら吹き飛んだ。

強すぎるだろこの爺さん。


「くっそ…」


プーゴ(いや…結構しっかり吹き飛ばしている。本来なら付与エンチャントで受け身を取らないとやばいと思うんだが…身軽さ、受け身の上手さに加え…)


プーゴ「衝撃ショック


「ぐっ!」


プーゴ(少し受け流され、吸収されている…それだけ強烈な打撃を使う獣もいたということか…)


「ふぅ~」


吹き飛ばされすぎて無心になったのか…集中できてる。

無心でしかし一気に距離を詰める。


プーゴ「!!??」


ゼア「あら?」


迷わず首を狙って剣を振る。

しかし振り切れなかった。付与エンチャントの腕で止められたか…


プーゴ「あっぶな」


ゼア「今のって私の動きじゃん。予備動作なしでスルッと動くやつね。よくできたなあ…仕留めるための動きに関してはトコトン得意なんだね」


プーゴ「衝撃ショック


シールド


吹き飛ばされた。拳を振る動作をしてないのに…


プーゴ「別に魔法だからなこれ、殴る動作無しでも出せるぞ。フェイントになるよな」


「少しびっくりした…」


プーゴ(少し…だもんなあ。シールド間に合ってたし。危機察知能力も化け物すぎる)


「う~ん、なんとなくわかるんだけどなあ。自分でやるってなると上手くできないなあ」


気晴らしにゼーレを軽く振ってみる。


「こんな感じでぴゅーっと…」


あれ?今何か飛んだ?

その飛んだものは演習場の他の兵士たちの方へ…何かロープを登っている?

そのロープを切ってしまった。


「「「「「「「「「「「「「え??」」」」」」」」」」」」」


全兵士がポカンとしたその瞬間。ロープごと登っていた兵士が落ちていった。


コンパ「なんでだ~~~~!!!??付与エンチャント!!」


あっコンパもいる…

付与エンチャントで体を守ったのか。

他の兵士もそれぞれ自分なりの方法で身を守ったようである。


「けが人がいなさそうで…よかった」


プーゴ「良くねえよ!」


プーゴに拳骨を食らう。


プーゴ「今のは斬撃スラッシュだ!本来は付与エンチャントで剣に魔力を乗せるイメージ、そして衝撃ショックの魔力を放つイメージをして斬撃の形にして出す応用魔法だ!なんでそっちが先にできるんだ!!」


「知らないよ…ていうか、この剣はもう俺の体みたいなもんだし」


プーゴ「…それができるなら他の魔法もすぐできるようになる…てかなれ。今日中に。そうじゃないと殺すぞ」


「本気でその気なら俺はすぐに逃げ出す」


プーゴ「冗談だ。続きをやるぞ」


俺はこの日のうちに付与エンチャント衝撃ショックを粗いながらも覚えることに成功した。


「は~つかれた~」


プーゴ「お前この後、特別訓練みたいなのなかったか?」


「…帰る」


インチェ「ダメだ。ウッド


「ありり…」


伸びてきた木に捕まってしまった。

訓練は続く…


――あとがき――

プーゴさんの兵士としての考え方は結構この作品の根幹にも触れている発言です。覚えておいてください。


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