第13話 人との組手

コンパ「よ~し、じゃあやるか」


ゼア「待ってコンパ。モーテ君の相手…私がしていい?」


コンパ「!?珍しい」


ゼア「ちょっとね。いい?モーテ君」


「いいよ~。あとこれって魔法あり?」


ゼア「ん?いいよ」


「おっけ~」


コンパ「じゃあ…用意はじめ!」


ファイア


ゼア「いきなりか」


ゼアが横に飛んで躱す。

そこに俺は斬りかかる。


ゼア「あら?」


しっかり受け太刀された。


「あ~やっぱだめだ。身体強化ボディバフ


ゼア「ふ~ん?」


身体強化ボディバフと使った俺相手でも余裕で捌いてくる。やっぱこの人強いな。


ゼア「こっちからも…」


ゼアの体が揺れる。

俺は何も考えずに剣を構えた。

そこにゼアの攻撃が飛んでくる。


コンパ「防いだ!?」


ゼア「…感覚か」


「あぶな…」


突然来る感じだ。不思議な感覚。エルタに近いか?


ファイア


ゼア「ちっ」


範囲攻撃でゼアを遠ざける。

そこからは木刀の間合いの中かつ、ゼアの持つ小型ナイフの間合いの外で打ち合う。これなら俺に危険はない。

しかし警戒すべきは…


ゼアが手裏剣をまた投げてくる。


モーテ「それはわかってる」


俺はそれを木刀ではじいた。


ゼア「どうかな?」


既に懐に入り込まれている。


シールド


そのゼアの攻撃をシールドで止めた。これは俺の王道パターン。防いでから仕留める。

はずだったが…斬りかかったときにはゼアはもう剣の届かない距離に引いていた。


「う~ん」


ゼア「人間相手だと違うでしょ?やっぱ一番の違いは…相手も考えるってところだよね」


ゼアがまた急に距離を詰めてくる。

クソ…まずい距離。


何とか木刀とシールドで防ぐがしんどい。

俺は木刀を手放した。


ゼア「え?」


「身代わりの術、からの~」


触れば終わりだ…


サンダー


ゼア「シールド


だがギリギリで止められてしまった。


ゼア「人間相手の時は逆に相手も魔法使ってくるよ」


くっそ…


ゼア「そして…やっぱ人間相手に慣れてないね」


相手が武器持っててこっち素手はやばいか?

ゼアがナイフを突き出してきたところを2本まとめて蹴り上げる。


「良し」


そのまま行けると思ったが…

腹に強烈なのが入った。これは…肘?かなり低い体勢で…

まじか…


コンパ「そこまでかな。ゼアの勝ち」


くそ…


ゼア「ま、ずっと森にいたんじゃしょうがないし、子供としては強すぎるくらいだから」


コンパ「ほんとだよ…ゼアとここまでやれるとは…」


「くそクソくそ!死んだ…!」


コンパ「死?模擬戦だよこれ?」


「負けたら死んだと一緒だ」


コンパ「!!」


ゼア(そういう環境で育ってきたからか…感覚で危機的な攻撃を防げてる印象があったけど…理屈抜きでも負けないことが生きることに繋がってたんだね)


ゼア「模擬戦は負けて成長していくものだから。人間相手も少しづつ覚えていこう」


「くそ~!うん」


コンパ「ゼア、対人戦を覚える必要あるか?」


ゼア「身に付けて損はないでしょ。それに…」


コンパ「それに…?」


ゼア「いや、何でもない」


アンコ「いた~!3人とも!何してるの~!朝食食べよ~!」


コンパ「もうそんな時間か…お~!」


やったご飯だ。自分で狩らなくてもご飯が出てくるなんてすばらしい。


アンコ「今日のメニューは焼き魚、お米、味噌汁にキュウリの和え物だって」


コンパ「いいね~、俺はお米大盛で」


美味しそうな匂いでご飯が出てくる。魚?これが?


「魚ってこんなになるの?」


コンパ「食べたことないか?」


「覚えてない、森にいた時も捕まえる方法がなかったから」


コンパ「そうか~美味しいぞ~」


ゼア「魚を釣るという概念すら持つ前に森に放り出されたのか…」


アンコ「本当によく生きてたねこの子」


魚が食べれるってのは知っていたが…水の中は冷えるし動きづらいし化け物がいるしでいいことがない。結構早めに諦めた覚えがある。


すると声が聞こえた。軍の誰かか?


軍人「おい!通知でたぞ!コンパ!その子についても書いてある」


コンパ「お!?なんて書いてあります?」


軍人「お前が昨日言ったように軍で預かる。さらに教育もするってよ」


コンパ「やっぱか」


軍人「あと…」


コンパ「?」


軍人「お前らが行ってた、シュラの森調査隊のメンバーにその子が入ってる」


コンパ「ああ~そりゃそうか」


軍人「そして…3か月後に再度調査に行く予定だってよ」


コンパ「は?」


アンコ「まじ!?もう決まったの!?」


ゼア「…」


軍人「しかも…グリレット大将が来る」


コンパ「はあああああああ!!!!!????なんであの人が!?」


アンコ「…嘘でしょ?カラム国最強が…わざわざ首都の防衛を捨ててまでくるの?」


ゼア「びっくり」


だいぶ大騒ぎだな。そんなになのか?


「全然わからん」


コンパ「モーテ君は多分、森の案内を頼まれる」


「ふむふむ」


コンパ「それにあのグリレット大将がついてくる」


「だれ?その人?」


コンパ「…まあ当然か。大将はこの国で最強の兵士だ。普段は首都のカステ…まあ一番大きい町を守ってるんだが…次のシュラの森の探索についてくるらしい」


「暇なの?その人」


コンパ「ちげえよ!それだけシュラの森の調査が大事ってことだ!」


軍人「あとそれに伴って、お前らシュラの森調査隊は別訓練があるっぽいぞ」


コンパ「うえ~~!?」


アンコ「やだー---!!!」


ゼア「2人とも…後ろ」


気づいてないのか?こいつら。


インチェ「コンパとアンコは訓練二倍だな」


「「インチェ少将!!??」」


「ねえ、この魚の取り方と焼き方知りたい」


インチェ「…食堂のおばあさんに聞いてくれ」


――あとがき――

運命が近付く…


面白かったり次が気になったり、これは3か月後…って思った方は星やコメントやレビューお願いします。

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