第10話 かつ丼
「とりあえず一回軍に連れていこう」
リーダーらしき人が声をかける。
「名前は?」
俺はそいつに名前を尋ねた。
コンパ「ちょっ…」
アンコ「失礼だよ」
知るか。偉そうにしてるだけはありそうだが。
「いい。何も知らないんだろうし。私はインチェ。この調査隊の隊長だ。よろしく」
「よろしく~」
インチェ「さて…これから色々話を聞きたいんだけどいいか?それとも疲れてるなら明日でも…」
「疲れてないよ?大丈夫。でも何か食べたい」
インチェ「そうか…じゃあご飯食べたら話そう」
コンパ「疲れてないのか…」
アンコ「急展開すぎて休憩なしだったもんね。私も少し疲れたかも」
ゼア「歩き方が下手なんだよ。森の移動はあの子の方が上だな」
アンコ「そんな~」
インチェ「おい、コンパ。この子を軍の食堂に連れてってやれ」
コンパ「了解。行こうか」
コンパとアンコとゼアについていくと…
「いいにおい…」
美味しそうな匂いのする部屋に来た。
コンパ「好きなの頼んでいいぞ~」
「なにこれ?」
コンパ「ん?」
アンコ「アッ文字も読めるか怪しいのか」
「うん、何なのか分からないのとか。カツってなに?」
コンパ「良い所に目をつけるではないか!!」
アンコ「よりによって」
コンパ「いいぞ~沢山食え~!おばちゃん、カツ丼大盛2つ」
「あいよ~」
ゼア「私はシチューで」
アンコ「あたしはカレー」
少しの間待っていると料理が出てきた。
なるほど。頼んだら出てくるのか。
コンパ「良し、あっちに席あるから食べるか」
確かに多くの人が座って食べている。箸もかなり久しぶりだ。そういえばこんなの使ってたな。
コンパ「いただきまーす!」
アンコ、ゼーア「「いただきます」」
とりあえず食べてみる。
サクッとしている。あつあつ。
「おいしい~!これ豚か!?美味しい」
これは豚だ。森でも食べてた。でも…美味しさは別次元だ。
コンパ「だろ~食え食え~」
ゼア「食べて豚って気づくって…」
美味しい。これは美味しい。焼いたのか?でも焼いてもこうはならなかった。米も久しぶりだ。
コンパ「はは、良い食べっぷり」
アンコ「よかったねえ」
箸も思ったより覚えてた。普通に使える。
ただ…
「うう…」
コンパ「やっぱ多かったか?」
アンコ「そりゃ大盛って兵士の大盛だからね…子供に食べさせる量じゃないでしょ」
まさか残すことになるとは。
ちなみに残りはコンパが食べてくれた。
コンパ「少し休むか?」
「いやいい。話聞きたいんでしょ?」
コンパ「おう…」
アンコ「子供ってこんなに元気なもの?」
ゼア「ずっと警戒して生きてきただろうからな。体力は常人離れしてるな」
俺たちは少し良さそうな部屋に案内された。
コンパ「失礼します」
インチェ「どうぞ」
中にいたのはインチェとその部下?1人だ。
立派な椅子と机に座っている。
インチェ「元気なようなので質問を始めよう」
「うん」
インチェ「まずは森にいる前のこと覚えてるか?」
「少しなら」
インチェ「OK。誕生日はいつだ?」
「えっと…ラストの48日だったはず」
インチェ「今何歳かわかるか?」
「わからない」
インチェ「森には何歳から入っていた?」
「5歳くらい?」
インチェ「ふむ…その森に入った日付はわかるか」
「わからない」
(ラストの48日が誕生日。今はリヴの21日。5歳で森に入ったとなると地の年のどっかで入ったのか。今の体つき的に5歳とは思えない。ってなると天の年も回って…この子は今…)
インチェ「多分君は今7歳だろうね。2年近く森にいたと考えられる」
「へ~」
インチェ「興味なさそうだな」
「今更だし」
インチェ「そうか…そうだな。じゃあ次の質問、君の出身はわかるか?」
「わからない」
分かるけど言わないほうが良い気がした。
インチェ「そうか…思い出したら言ってくれ」
「は~い」
インチェ「じゃあそろそろ…シュラの森についての質問に行こう」
「はいはい、あそこシュラの森って言うんだ」
インチェ「それも知らなかったのか…まあ当然か」
「まあ森の中身は知ってる」
インチェ「じゃあまず、私たちはあの森を安全に通れないかと考えている。正直に、出来ると思うか?」
「無理」
インチェ「理由は?」
「獣が多い、道も悪い、特に夜は最悪。一晩明かしたら多分全滅。昼でも慣れてないと死ぬ」
インチェ「それは現役の兵士でもか?」
「兵士がどうかは知らないけど…調査隊の人たちじゃあ無理だと…いや、ゼアだけは違うかも」
インチェ「彼女は違う?どういうことだ?」
「勘が良い。急に襲われても逃げれるなら…何とかなるかも。他は無理な気がする」
インチェ「一応私は彼女より強いぞ?」
「それでも、寝てるときに襲われても対応できないといけない。森で蛇が上にいたのに気づいてなかったから…」
インチェ「なるほど…じゃあ私たちは獣の急襲に対応できたとして…それならどうなる?」
「……森での動き方も素人だからとてもしんどいんじゃない?」
インチェ「そこは訓練するよ。そしたら抜けれるか?」
「大物の獣、魔獣っぽいのに会わなければ。竜とか大蛇とか」
インチェ「君でも勝てない?」
「勝てない」
インチェ「でも君は生きてるなら避けれるってことだろ?」
「うん、住んでるところが大体決まってるから」
インチェ「そこを避ければいいんだね?今、それを大体でいいから書けるかい?」
「できる」
インチェ「わかった。ペンと紙を」
部下らしき人が紙とペンを持ってきた。
インチェ「お願いできるか?」
「いいよ~」
俺はさっさと書いていく。竜、大蛇、デカい蜂、デカい鳥、よくわからん魔法っぽいのを使うやつ、そしてエルタ。その住んでいるあたりを大体書いていく。
「できた」
インチェ「…ほんとかい?」
「どうして?」
インチェ「この書いてあるところは通れないってことだよね」
「うん、お勧めしない」
インチェ「このエルタってのは何者だ?他のより遥かに広い領域で指定してるけど」
「よくわからないけど…その領域は入った瞬間にエルタが来るから無理」
インチェ「そう…」
インチェ(もしこの話が本当なら想像より遥かに危険な森だ。しかもエルタとかいうやつの領域が厄介すぎる…これを迂回しないといけないならこの計画の見直しがいる)
インチェ「エルタというのを討伐するというのはどうだ?」
「あ゛あ゛?」
インチェ「ダメかい?」
「許さない。できるわけないしさせない」
俺は明確に怒りを向ける。
インチェ(なんて殺気…子供が出していいものではないな)
インチェ「そうか…ありがとう。今日はここまででいい」
「はや、まあいいなら俺、色々観に行きたい」
インチェ「コンパに連れてってもらえ」
「りょうーかい」
俺はさっさと部屋から出てコンパのところに向かった。
部屋に一人残ったインチェは…
インチェ「ディクトへ急ぎの連絡をしたい。魔法通信具を持ってきてくれ」
――あとがき――
淡々とした質疑応答。面白かったかな?この話。
そして疑問に思っただろう誕生日当たりのやり取り。この世界の暦の話になります。
天の年
1ミケル
2ガブ
3ラフィ
4ウルール
5サマ
6オリフィア
7ザリ
地の年
1ルーシ
2リヴ
3サン
4ベル
5マミ
6ベーゼ
7ラスト
日にちは47か48日で天と地の年は対称。
天の年、地の年どちらも333日で1年。
年の数は1年で増えるものの誕生日を祝うのは2年に一回。
(例)モーテの誕生日は地の年ラストの48日
同じ7番目である天の年ザリの48日にも年を重ねるが誕生日を祝うのはその翌年のみ。天の年では祝わない。
分かったでしょうか…説明下手ですいません。
わかりづらいよ~って方はコメントで言ってください。近況ノートに図貼ります。
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