第9話 生き抜く魔法
コンパ「モーテって言うのかよろしくな」
コンパって男が笑顔で声をかけてくる。人懐っこいのか、警戒心がないのか。
それでもマントを俺にかけてくれた。
アンコ「連れて帰るってなったけど、この子服もあれだし…買い物とかしないとだね~」
確かに俺は軽く毛皮を纏ってるだけだ。こいつらみたいにしっかりしてはいない。
ゼア「…」
ゼアは少し後ろからこっちを気にしてる。
「おっ?」
俺は木の上にいる蛇に気づいた。
「よっと…」
俺はその蛇を一刀両断。
「ご飯ゲット~」
そのままゼーレを少し小さくし、皮とかを剥く。
コンパ「いやいや…こんなの食べなくても…あとでいくらでも食べさせてやるから」
アンコ「気持ち悪い…よくそんなことできるね…」
コンパとアンコが慌てて止めに来た。別に慣れたら…
ゼア「その剣…いや剣なの?形が変わったけど」
そこにゼアが口を挟んできた。
アンコ「あっそう言えば」
そういえばまだ扇子型しか見せてなかったか。
「変わるよ、普通の剣にもできる」
ゼア「…すごいな。何かその剣は異質な感じがする」
「まあ…いい剣だよ。普段は邪魔だからしまうんだけど」
そう言って俺はゼーレを消した。
コンパ「ええええ!?そんなこともできるのか?」
ゼア「…」
そんなに驚くか。
コンパ「俺なんて結構大きい槍持ってるから大変なのに…」
それは少し思っていた。なんでわざわざ持ち運んでいるのだろうと。
コンパ「いいなあ…この槍もしまえれば便利だなあ」
アンコ「
コンパ「あれ全然できない」
アンコ「ゼアは出来るじゃん」
ゼア「私のはそこまで大きくない。小物が入るくらいだ」
「なにそれ?」
「「「それは知らないのかよ!!」」」
つっこまれた。やっぱ人間世界のことが分からん。
ゼア「君は逆になんの魔法を使えるんだ?
探りか?まあいいか。
「
アンコ「そんなに!!??」
コンパ「マジかよ」
この2人息ぴったりだな。リアクションが似てる。
アンコ「え?見せてもらってもいい?」
そんなに興味津々になることか?でもゼアですら興味ありそう…
「
俺は軽く口から火を噴いた。
コンパ「すっご」
アンコ「すご~!」
ただゼアだけはリアクションが違った。顔が引きつっている。
ゼア「いま…どうやった?」
「??」
ゼア「どうやって魔法を使った!!??」
うわ…なんだ?
コンパ「ゼア落ち着け…どうした?」
アンコ「らしくないよ~?」
ゼア「気づかなかった!?」
ゼアが2人を見る。
コンパ「俺はさっぱり…」
アンコ「私も…」
ゼア「今の魔法は子供がやるようなものじゃない。才能のある子が無意識に魔法を使える例はある。でも今の…この子の
コンパ「?」
コンパはよくわかっていないようだがアンコは気づいた。
アンコ「本当だ…実用的すぎる。私たちは兵だから当たり前に見える魔法だったけど…普通は生活のための魔法だから。マッチ棒の代わりくらいがこの子の年齢なら普通だわ。戦える民間人っていうのもいるけど…子供の時点でこれをやるのはおかしい」
ゼア「うん、魔法を使えるのを見た時、誰かに教わったのかなって思った。でも違う。自己流でしょこれ」
魔法一回でここまでわかるのか。すげえな。
「うん、頑張った」
ゼア「理屈は?」
「知らない。竜が吐いてるの見た」
コンパ「竜!?ここ竜がいるのか!?」
アンコ「え?いるの??」
「いる…普通にいる」
ゼア「よく生きてたな君」
「まあ避けてたから…」
今でも勝てるかと言われたら…ムリな気がする。
ゼア「その竜が火を吐くところを参考にしたってこと?」
「そう。大変だった」
(((だろうね!)))
まさか自己流とは思わなかった3人。
コンパ「でもこれだけすごいならほんとに貴重な話を聞けそうだ。歓迎するよ」
ならありがた…
グウウウウウウゥゥ
「さっき蛇食べれなかったから…お腹空いた」
コンパ「携帯食料食うか?」
コンパが何か取り出す。なんだこの棒。
でも悪意は感じない。
パクっ
「うま!」
アンコ「こんなので美味いって…今までどんな食生活だったの…」
アンコが目元に涙を浮かべる。
コンパ「さて…この森を抜けて少し歩いたらカラムだぞ~」
確かに大きな壁が見える。飛んでるときに見たことがあったがこれだったのか。
「あれ?調査隊の皆さん?早いですね。どうしました」
その壁までたどり着くと門番みたいなやつが声をかけてきた。
「ちょっと…やべえの拾ったんで」
誰がやべえのだ。
「そうですか。人数確認しますね…」
「1人…この子供分多い」
「そのようですね。誰も死んでいないだけいいと思いますが。この子はどうしたんですか」
「拾った」
「え?この子のこと?」
「そうだ…とりあえず軍で保護する。通してやってくれ」
「わかりました…一応ここにサインだけお願いします」
「わかった」
少し手間取ったようだが通れそうだ。
コンパ「着いた~!」
アンコ「ようこそ!」
「人だらけ…」
コンパ、アンコ「「いやどういう感想!?」」
――あとがき――
モーテ、とうとう人間世界へ!!
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