第7話 飛躍

「熊の巣穴見っけ~!」


熊をサクッと仕留めて巣穴を確認。十分俺が入るし草が敷き詰められてたりとかなり快適。


「良し、ここで寝よう」


雨風を凌げる家を手に入れた。

順調なサバイバル生活。

さらに良いこともあった。


「なるほど…魔力を体に流すってよりは魔力で全身の筋肉を元気にする感じなのか」


完全につかんだ。


身体強化ボディバフ


これを使えば普段より速く動ける、力もある。行動範囲が広がることに直結するのでかなりありがたい。新発見が続出である。やはり結構動くといる動物が違う。面白かったのは…


「コウモリか…こんなとこもあるんだな」


池から結構離れるため拠点にはしなかったが、洞窟があった。そこにはコウモリが住んでいて、洞窟付近ではよく見かけた。

コウモリって動きが独特なんだ。羽も羽なのか?って感じだし。しかもぶら下がるのが当たり前。色々と他の動物とは違う。

とりあえず真似してみたら。


「頭に血が…しんど…ムリ」


ぶら下がるのはまず無理。なんか頭やばい。

当然仕留めてみると…


「目は?」


こいつら見てないのか?いや…あった。ちっせえよ。


「夜でも動けるんだもんな…目を使ってないだろやっぱ」


そうなるとどうやっているのか…気になるがわからなかった。

そんなこんなで動物からヒントは貰うものの人間にできない。そんなものも多く見つけていたがそれがあることをきっかけに一気に解決する。


そのきっかけとは…


ウィンド


風の魔法を発動。そして…枝が切れた。


「よっしゃ!」


風魔法の成功である。風を起こすことは出来ていたものの切れる風じゃなかった。

その解決法は…


「風の線で切るイメージなのかな?なるほど」


扇子に線で魔力をイメージ、そこから風魔法を使うと切れる風になることが分かった。

ここで大事なのは魔力の形があるということ。


「羽の形にしたら飛べるんじゃね?」


やってみた。できた…けど…


「30㎝くらい?浮いた。ジャンプした方がましでは?」


まだまだ実用的ではなさそう。

でも後は鍛えるだけ。


そして…


「なんとなく風の感じが分かるようになってきた」


普段は気にしていなかった風向き等に敏感になった。

肌感覚か?って思考になったところで…


「肌の強化ってできるのかな?」


できる気がした。竜は鱗に魔力を流している。それと同じでは?と

それで完成したのが…


感覚強化センスバフ


おお、これすげえ、めっちゃ肌ピリピリする。敏感になってる。


ヒュ


「なんかいる!ウィンド


その方向に風魔法を放つと手ごたえがあった。

確認に行く。


「リスか…」


リスの小ささでも反応できるのか…

肌だけじゃなく、目は?耳は?できるか?


意識する…


「うわあ…」


開けた別世界。木々の、葉っぱの1本1枚がクリアに、森の喧騒が聞こえる。

そして…これは本当に別世界、別の音域への扉でもあった。

それに気づいたのは数日後…


「うるさいなあ…」


洞窟の近くに来た時に気づいた。いつもよりうるさい。ていうかなんだこの異音は。

その発信源は…


「コウモリか?」


そうと分かれば早速仕留めて…いや…孤立させるか?


ウィンド


俺はコウモリの群れに軽く攻撃。バラバラになったところで1匹だけ追う。


「やっぱり…音出してるな…」


コウモリを追いながら…音に意識を向ける…ただ意識を向けすぎると…


ズルッ


「うおっ!?」


木を伝って動いていたが少し踏み外した。ギリギリで枝をつかむ。

そのまま枝から枝へ腕で移動。何とか落ちずに済んだ。


「あっぶねえな…夜だと上手く視えねえな」


足場の位置すらしっかり見ないといけない。結構難しいぞこれ。

コウモリの方はすいすい飛んでいくし…


「あれ?あいつこっち見てるか?」


障害物を潜り抜けるのは良いとして…後ろを振り向いてる覚えがない。曲がったりの時に横目で捉えてるかもしれないが…


「マジで音だけで動いてんじゃないかこいつら!?できるのか?そんなこと?」


信じられない…でも説明はつく。

じゃあ…動いてない物、音を出さない物をどうやって…


「なるほど…だからピーピー騒いでるのかこいつら」


そこまで分かれば十分。仕留める。


ファイア


俺はコウモリを燃やし。解体してさらに調べていった。


そう、そして俺は火が使えるようになっていた。

それは身体強化ボディバフウィンドで得た経験からだった。


「体の中で魔力を火に変えるのは間違ってない。でもそこで俺の体を守る必要がある」


以前はそれが出来なかった。でも、身体強化ボディバフで体の中のことも少しわかってきた。ウィンドで魔力に形を作ることを覚えた。火に変えた魔力を別の魔力で覆ってしまえば体内は守れる。


こうしてファイアもマスター。焼いた肉の方がやはり美味しい。


着実に俺は森での生活を極めていった。


――――――――――――――――――――――――――――


「ディクトさん、やっぱあのシュラの森の迂回で時間取られます」


ディクト「そうですか…しかしあそこの森は危険とされていますから…強行突破するにも調査は必要かと…グリレット大将はどう思います?」


グリレット「シュラの森を抜けれるとしたらどれだけのメリットがある?」


ディクト「そうですねえ…シンプルにインジオ国に攻め入りやすくなります。兵の進行にかかる時間、それに伴う費用の減少。前に制圧したハイムと森の2方向から攻められるとすれば戦略的にも優位に立てます。あと森の資源にも多少は期待できるでしょう。ぱっと挙げられるのはそれくらいでしょうか」


グリレット「そうか…空いてる兵はいるか?」


ディクト「それはあまりいませんね…残念ながら」


グリレット「むう…長期的に見たら…」


ディクト「はい、間違いなくシュラの森の調査、開発は価値があります」


グリレット「インジオ国との争いが落ち着き、兵に余裕が出来次第、調査隊を出せ。それまでは辛抱だ」


ディクト「かしこまりました」



――あとがき――

急展開の予感??名前が急に色々出てきましたね。まだちゃんと追える必要はないですよ。


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