第5話 竜の強さ

「ガアアアアアアア!!!」」


圧倒的な雄たけびと共に竜が俺に襲い掛かってきた。


「よっほっ」


もう慣れた木登りで逃げていくが…


ボキボキボキ


「うそん」


木ごと折ってきた。他のやつらとは格が違う…木の上はだめだな…。


ヒュッ


爪!


シールド


しっかり防いだ…つもりだったが…


ビキビキビキ


「!?」


シールドが割られた。俺は飛び退いて爪を避ける。

竜は口を開けて襲ってくる。そのまま食べる気か!?

でもこれはゼーレがある俺にとっては怖くない。


その場にゼーレだけ残して俺はギリギリで避ける。身代わり。

竜がゼーレに嚙みつく。

その瞬間血しぶきが上がった。


「お~口の中に刺さったら流石に血出るか」


ゼーレが竜の口に刺さっている。


「ゼーレ」


後は回収。さらに…


サンダー


竜の体に電気を流してみる。気絶してくれたら助かるが…


「ぶっ!?」


尻尾で薙ぎ払われた。


「がはっおえっ…」


一撃でこれか…これはやべえ…

竜の方は痛がってはいたが全然余裕そう…結構ぶっすりいったのに。

また来る。サンダー全然効いてねえな!


シールド


もうあっさり破られる。爪で薙ぎ払われた。


「枝…」


宙を舞った俺は上手くそこから木の上にエスケープ。

木が折られる前に次の木に…


ボッ


うわ…


「がああ!」


待ち望んでいた火をここで吐いてきた。

でも…正直今は無理!死ぬ!


「のわ~~~!!!!!」


転げ落ちながら逃げる…いや…だめだこりゃ。





ボシャン




「うt水飲んだ…ごほっ」


いつの間にかいつも使う池まで来ていたらしい…助かった…


木にも火が移って燃えてしまっている。これこのまま森がなくなるんじゃ?

とも思ったがそんな心配吹き飛ばされた。

そして俺も吹き飛ばされた。


竜が羽を勢いよく羽ばたかせただけで突風が起こったのだ。しかも…


「いってえ…切れた!?魔力?」


切断性能のある風…近くの木は切れ、燃え移った火も風の勢いで消えた。

俺は池にまた吹っ飛んだ。


「逆岸まで泳いで逃げるか?」


まじでそれがありなくらいだ。勝てる気がしねえ…

泳ぐプランですら今の体の痛みで出来るかわからない。


そんなこと考えながらプカプカ浮かんでいると竜が羽を羽ばたかせる。


「また来る?」


すぐさま身構えたがそうじゃなかった。


バサッバサッバサッ


「あ~そうだよね…普通羽って飛ぶためにあるもんね」


竜が飛んだ。向かう先は当然…


「飛べるのはずるだろおおおおおお!」


俺の方。


――「こら!!!サンダー使ってるときに水をこっちに向けない!危ないでしょ!」


「危ないの?」


「水と雷は混ぜるな危険よ」


「へ~」



なんでこんなこと思い出すかな…

少し潜る。もし竜が水苦手なら…


バッシャアアアアア


そんな奇跡は起こらなかった。躊躇わず入ってくる。

それでも少し水で遅くなったところで俺は竜の首にゼーレを突き立てる。魔力のある鱗は硬いが…何とか肉まで届いた。そして…


シールドサンダー!!!」


自分の身はシールドで守りながらサンダーを竜に流し続ける。


「混ぜるな危険アターーーック!」


「ギャアアアア!!!!」


理屈は知らない!でも危ないんだろ!一番効いてる手応えがあった。

竜が身を捩って池から飛び出る。俺は竜にゼーレを突き刺してしがみついたまま我慢。

やばいやばい!空飛んでる!!

しばらく竜が飛び、池から離れると…


グワッ


竜が一気に体を振り回した。


「うわッ」


5歳の腕力では当然耐えられない。

振り落とされる。


シールド


地面に叩き落とされる前にシールドを張る。転落死は免れた。


竜が俺を追って上空から迫ってくる…もう動けねえ…

ムリか…そう思った瞬間。


ビクッ


竜が少し離れたところで止まった…


「なんで?」


少し怯えてる?


「ガアアアアアアア!!!」」


火が来る!?もう池は…水はない!


シールド


防げないだろうな…

と思った瞬間に竜が急に這いつくばった。


ボムッ


あっ吐こうとしてた火が竜の口の中で暴発した。


何が起こったんだ?

いつの間にか竜の近くに何かいる。


音もなく。


その美しい姿を見せる。


「エルタ…!?」


そこにいたのはエルタだった。久しぶりに見たがやっぱ綺麗…

でもなんで?助けてくれた?

それに…


竜とエルタが話しているように見える。分からないけど…




『私の聖域を燃やす気か?』


『すいません…』





分からないけど…エルタが止めたのか?竜を?そんな一瞬で?

そんなことを思ってたらいつの間にかエルタが俺の後ろに回ってきていた。


「あっエルタ…ありがと…ウエッ!?」


エルタが俺を咥えたかと思ったら放り投げた。


「なん…d」


ビュッ


エルタに詰め寄ろうとした瞬間、目の前の地面に線が引かれた。

そこで初めて気づいた。

線を境目に…エルタのいる方の草は生い茂っている。

これは初めてエルタとあった場所でもそうだった。


「入るな?」


コクッ


エルタが頷く。

森の中に…明確にエルタの場所があるのか…

それはエルタが竜を含む他の動物とは別格だということ。

それだけの力があるということ…現に俺はまだエルタの動作がほとんど見えていない。

いつの間にか竜が倒れ、いつの間にか俺の後ろに回り込み、いつの間にか線を引いた。

そのままエルタは去ってしまった。




いつの間にか傷は治っていた。


――あとがき――

今のところサバイバルファンタジーじゃないか!って?いやまあ…そうだけど…

それはいいんだ!ダークになる予定なんだ!


面白かったりエルタ何者!?って思ったりした方は星やコメントやレビューお願いします。カクヨムコンに出してるので応援よろしくお願いします。

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