第4話 魔法の獣業

「は~狼の狩りってすげえなあ…狐の逃げ道なくなってたぞ」


俺は木の上から狼を観察していた。


「あの狐も昨日は素早く兎を仕留めてたのにな…」


それでも強いものが弱いものを食らう。それが森だ。


「なんにせよ…よくわかる。他の動物を見てるだけで…面白い」


この前の猿との一件から俺は積極的に観察をするようになった。

沢山いる動物たち。その中から参考になる動きを真似る。

ここ最近は仕留めれないことがない。食べ物の問題は完全に解決していた。

しかもさらにいいことがあった。

流石というかなんというか…森の動物たちはちゃんと水の在処を知っていた。

小柄な熊を見つけた時に後をつけていたら小さな湖のようなところにたどり着いたのだ。それ以来、見失わないようにその水場の近くを拠点にしている。


「でもまずいんだよなあ…火が欲しい」


飢えも渇きも問題なくなったが…やっぱまずい。あと寒い。毎度毎度動物の死体に囲まれて寝るのは良い気分じゃない。ただ毛皮が暖かいので最近はそれで凌いでいる。木の皮で自分に巻いて。木の皮って頑丈なんだな。

魔法をもっと使えないといけないが…教えてくれる人はいない。


そんな状況にも転機がおとずれる。

それはたまたまだった。


「あれ?あいつじっとして何してんだ?」


いつも通り木の上から偵察。たまたま目に入った動物がいた。

木の根にひっそりとしている小動物。特徴的なのは長い尾。しかもその先がとがっている。ネズミ?リス?なんだろう?

なにはともあれ見たことない動物だったのでしばらく観察してみることにした。


「動かねえな…」


ほんとに動かない。ピクリともしない。やっぱ観察止めるか…?と思っていた時に動きがあった。

それはオオサンショウウオみたいなやつが来た時に起こった。

気づかないままそいつが木の根のとこに近づいたとき、ネズミのような、リスのようなやつが尻尾を突き刺したのだ。


ビクンッ


するとその尻尾を突き刺されたオオサンショウウオみたいなやつが動かなくなった。

そしてそれをそのまま小動物が食べ始めた。


「…何今の?毒?」


気になる…


「ゼーレ」


俺はゼーレを投げつけあの謎の生物を殺す。


「さて…とりあえず切るか」


毒なのか何なのかわからないがとりあえず切ってみる。特に尻尾のところから出てくるものはちゃんと見る。

だが尻尾の中身をそこら辺の虫に飲ませたりしても死にはしなかった。

逆に体全身から感じたのは…


ピリッ


「うわ、静電気?いや…魔力?」


ほんの少し電気っぽさを含んだ魔力だった。


「これは…」


魔法に近いものを使う動物もいるのか?

軽くその動物が持ってた電気の魔力を自分の魔力で感じてみる。

何か自分の魔力を掴んできている気がした。


「もっと…見たい。探そうこいつ」


俺はそこからの数日はこの電気動物を探すことに注力した。

見つけたら観察。さらに殺して魔力を感じてみる。


驚いたのは狐やオオサンショウウオのサイズも倒せるところだ。かなり強力。

観察、そして自分に還元。実験を繰り返す。そして…


「ごめんね、普段はあまり狙わないけど…今日は実験なんだ」


兎をわしづかみ。


サンダー


ビクビクビクッ


どうだ…?


手を離すと兎はそのまま落ちていき…動かなかった。


「できた…できた!!できた!!魔法使えた!」


シールド以外で初めて使えた。でもこれで分かったことがある。


「火を出すやつ見つければ…」


使える?火の魔法。そしたら肉を焼けるかもしれない。暖かい夜を過ごせるかもしれない。一気に希望が出てきた。


俺はより一層、動物探し、特に火を使うやつ探しに力を入れた。

そして…見つけた。


見つけたんだ…


「竜じゃん」


竜だった。え?そんなのまでいるの?この森。

でかい…

見るからに圧倒的な力を持っている。

それでも熊を相手に火を吐くところを見かけた。


「あれの観察は…疲れるなあ」


見つかったら殺される。神経を尖らせ続けないといけない。

それでも一日やってみた。わかったことと言えば…


「普通の動物じゃあ火を吐くまでもなく殺せちゃうから全然見れない」


余りにも一方的すぎる。観察してても弱点がない。

ただ寝床は分かった。

今日はそれで十分ということで一回湖の方に帰った。


次の日…


竜の寝床の方に向かう。その際も周りを見る。竜以外に火を使うやつがいれば一番手っ取り早いがそう簡単にはいかない。

結局また竜のところに来てしまった。


「仕方ない…観察続行だ…」


また熊とか強いやつきたら火が見れるかなと思い竜の後をつけていく。


ガアアアッ


あっ小動物捕まった。


「?」


だが俺は違うところに気を取られた…


「木や地面にぶつかった?擦ったから?鱗が…」


1枚だけ落ちた。竜がいなくなった後にそれを拾う。


コンコン


硬いな。それでいて軽い。そして何より…


「少しだけ魔力がある…」


だから何だと言われると困るが…

前の電気動物より魔力というものを持っているかもしれない。

もしかしたら火以外も…


「あ~…バカかなあ…でも…」


俺は竜の後を追い、そして…


「ゼーレ」


竜の前に立ちふさがった。


「やっぱ近くで見て…感じるしかないよね」


――あとがき――

スペインに勝ちました~日本代表おめでとうございます!盛り上がりましたね~!


こちらの作品カクヨムコンに出してます。


面白かったり次が気になる方は星やコメントやレビューお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る